第十三話 一撃
そうして新年を迎えて、寒さも増して雪が積もり始めた一の月。私はナバウ様に、フェイントを入れて攻撃をしていた。だがナバウ様はギリギリで攻撃をかわしていたので、彼に一撃を入れることはできなかった。
なので私は、考えた。どうすれば、ナバウ様に一撃を入れられるのかを。まず、フェイントはダメだ。ナバウ様は、ギリギリでだがかわすから。そうして考えていると、ひらめいた。それなら、息もつかせぬ連続攻撃はどうだろう? よし、今度からそうしてみよう。
そして吹雪になることもあり、極寒の寒さになった二の月。私は息もつかせぬ連続攻撃で、ナバウ様の余裕を失わせていた。真上からの振り下ろしから、左からの薙ぎ払い。更に右上からの振り下ろしからの、突き。するとナバウ様は、両手で剣を挟んで突きを止めた。そして、告げた。
「ふーむ。この私に、手を使わせるとは……。ユーミ王女、成長しましたね……。さあ、どんどん攻撃してこの私に一撃を入れてください!」
「はい!」
そして私は、息もつかせぬ連続攻撃を繰り出した。突きからの、右からの薙ぎ払い。更に左上からの振り下ろしから、右上からの振り下ろし。だがやはりナバウ様は、剣を両手で挟んで止めた。良いところまで行っているのは確実だが、どうしてもナバウ様に一撃を入れることはできなかった。
そうして雪もやみ、少し暖かさを感じられるようになった三の月の下旬。どうしてもナバウ様に一撃を入れられない私はその夜、ベットの中で一生懸命に考えた。どうしたらナバウ様に一撃を入れられるのかを。
フェイントを入れると、ナバウ様は余裕がなくなりギリギリでかわす。息もつかせぬ連続攻撃をすると、ナバウ様は両手で剣を挟んで止める。うーん、どうしたらいいだろう?……。
しばらくの間考えていると、ひらめいた。そうだ、連続攻撃の途中に、フェイントを入れるのはどうだろう?! うん。これは今まで、やったことがない。だから、やってみる価値はある。よし! 早速明日、やってみよう! そこまで考えた私は、明日を楽しみにして眠った。
そして次の日。ナバウ様と対峙した私は、剣を頭上に構えた。するとナバウ様も、身構えた。私は頭上からの振り下ろしと見せかけて、素早く剣を引いて突きを放った。するとナバウ様は、ギリギリでそれをかわした。だが、まだだ。私は、連続攻撃を続けた。次は左上からの振り下ろしと見せかけて、右からの薙ぎ払い。だがそれもナバウ様は、ギリギリでかわした。だが、まだだ。まだまだ!
私は更に、連続攻撃を仕掛けた。左からの薙ぎ払いと見せかけて、突き。私は全力で、突きを放った。いけーー!! ナバウ様は両手で剣を挟んで止めようとしたが、剣先はそれよりも早くナバウ様の鎧にゴッと当たった。その瞬間、私とナバウ様の時が止まった。
私は一瞬、何が起きたのか分からなかった。だがナバウ様は、今まで見たことが無いような笑顔を見せた。そして、告げた。
「お見事です、ユーミ王女。とうとうこの私に、一撃を入れましたね……」
そ、そうですよね! 私は、あの剣聖ナバウ様に一撃を入れたんですよね! それを自覚すると、徐々に喜びが湧いてきた。そしてそれは、とうとう爆発した。
「や、やりましたわ! 私はついに、ナバウ様に一撃を入れましたわ! バンザーイ!」
私は剣を捨て、両手を上げてしばらく踊りまわっていた。でもしばらくすると、気持ちは落ち着いてきた。それを見たナバウ様は、やはり微笑みながら告げた。
「ユーミ王女。この私ナバウは、あなたを剣士として認めましょう」
それを聞いた私は、戸惑った。なので、ナバウ様に聞いてみた。
「え? 剣士? 剣聖じゃあ、ないんですか?」
「はい。私が認めるのは、剣聖ではなく剣士です」
私は、さっきの喜びも吹き飛んで落ち込んだ。
「え、ええーー……」
するとナバウ様は、説明した。
「でも私に認められた剣士は、あなたが初めてです、ユーミ王女。それだけでも、大したものです。あとはユーミ王女、あなた次第です。あなたがこれから剣士として人々のために戦い人々を救っていれば、やがてあなたは剣聖と呼ばれるでしょう……」
それを聞いた私は、納得した。な、なるほど。そうなのか……。でも私は、聞いてみた。
「で、でも人々のために戦うって具体的にはどうすればいいんですか?!」
するとナバウ様は、答えてくれた。
「私の場合は、旅をすることです。私も初めは、ただの剣士でした。でもモンスターに襲われて困っている人々のために戦っていると、やがて剣聖と呼ばれるようになりました」
「な、なるほど……」
それを聞いた私は、すぐに決心した。
「よし! それでは私も旅に出ますわ!」
「そうですね。剣聖になるには、それが良いですね」
そしてそう言ったナバウ様は、少し考える表情になった。そして、提案してきた。
「ならば私と一緒に、旅をしませんか?」
「え? ナバウ様と旅を?!」
「そうです。ちょうど私も、そろそろ旅に出ようと思っていたところです。それにやはりユーミ王女を、一人で旅をさせるのは危険だと思うので……」




