第三十五話 【命は栄える】
短い話が続いてしまって、すみません。
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自信がないことも多いのですが、それでも毎回、できるだけ文字数を増やせるよう頑張ります。
皆さんには、もっとふさわしいものをお届けしたいと思っています。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
ルビーは少し口を開けたまま、じっとこちらを見つめていた。その表情の意味はすぐには読み取れない。それでも、セラフェル家にいた時と同じように、冷静さを保っている。
「この子がダイキくんね」
長い沈黙の後、口にしたのはそれだけだった。
「そうよ。それに……お姉ちゃんには嘘をつけないから」
ルビーは妹に視線を向ける。
「マリア……ちょっと、話しましょうか」
二人は部屋へ向かい、俺は一人残されて、二人が何を話すのか待つことになった。
ルビーは正体に気づいているか、少なくとも疑っているはずだ。確かなのは、マリアが何を言おうと、それが仮説を裏付ける最後のピースになるということだけ。もしそうなれば、これまでの行動がすべて無駄になりかねない。
考えすぎかもしれない。単なる可能性の話だ。仮に気づかれたとしても、証明する手立てはない。容姿はすでに変わっているし、唯一の証拠であるあの船も完全に破壊された。証明できるものは何一つ残っていない。
あるいは、ルビーはかばうと決めるかもしれない。偽装死を知ってあんなに悲しんでいたのなら、今さら助けない理由があるだろうか?
考慮すべきことが多すぎる。分かっている。だが、いつも決まって早計な結論を出してしまう。
【我々が気づくまではね】
(またお前か? どうして勝手な時にばかり出てくるんだ?)
【我々にも確かなことは分からない。ただ、最も脆くなっている時ほど、我々の繋がりは強くなるように感じる。逆に、心が希望や前向きな感情で満たされている時は、互いに言葉を交わすことができない。奇妙なことだ】
(言いたいことはそれだけか?)
【それしか言えない。それに、ルビーが戻ってきた今、我々が長く共存できるかは怪しいものだ】
(は? どういう意味だ?)
完全な沈黙。
「どうでもいい」
テーブルに着き、パンを一つ手に取って二人が出てくるのを待った。
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部屋から出てくると、姉妹はテーブルに近づき、席に着いた。
「ええと、ダイキくん。マリアからあなたのことを色々聞いたわ。とても真面目で、言うこともよく聞くし、一度も困らせたことがないって。それに、戦闘舞踊まで教えてくれたそうね。それって……」
「すごいことなんだよ、お姉ちゃん! 分からない!?」
「ええ、とてもすごいわね」
ルビーはテーブルに肘をつき、両手を組んだ。
「妹のこんな姿を見られて、私はすごく嬉しいの。あのヤズミっていう馬鹿のせいで、この子はずっと一人ぼっちになるんじゃないかって、長い間心配していたから」
「ちょっと……」
「マリア、最後まで言わせて。ヤズミは必ず戻ると言ったのに結局帰ってこなくて、この子をとても悲しませたわ。あの時、マリアはまだ十四歳だったのよ。でも……妹を幸せにしてくれた男の子に会えて、本当に嬉しいわ」
身を乗り出し、俺の髪を撫でた。
その顔を見つめながら、瞳の奥にある輝きに気がつく。
真実の幸福。
「よし、料理の続きをするわね」
マリアが料理をする間、ルビーは新しいレシピを教えたり、今の味付けを工夫したりして手伝っている。
「見てて。すり鉢でペプロの葉をすり潰せば、芋や、特にお肉にぴったりのいい調味料になるのよ。風味が一段と増すわ」
「あ、お姉ちゃん、本当だ」
マリアはすり鉢を受け取ると、いとも簡単に何枚もの葉を粉々にし、細かい粉末にして料理に加えた。
再び揃った二人の姿を見ていると、どうしてもまたゼレニアのことを思い出さずにはいられない。
父が、粉まみれになった母の鼻にキスをしてからかっていたあの光景を。
忘れたと思っていた記憶が、まだ俺の中に生き続けている。
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夕食後、いつものように星空の下、庭に一人でいた。あの星々の並びは、なんだか違う気がする。おそらく完璧すぎるのだ。
石を一つ拾い上げ、木に向かって思い切り投げつける。
「相変わらず石を投げてるのね?」
不意に声をかけられ、驚いて手の中の石を取り落とした。
「大丈夫よ、ダ……ダイキ。私には隠さなくてもいいわ」
「やっぱり、気づいて……」
近づいてきて、俺の頭にそっと手を置いた。
「あなたのことは本当に悲しかったけれど、何かおかしいとは感じていたの。私、昔から勘が鋭いから。あなたがそう簡単に死ぬわけないって分かってたわ。心配しないで、秘密はちゃんと守るから」
「ありがとう。それから、その……ごめん」
「気にしないで。でも、今のあなたにはこれが必要だと思ったの。すべてを知っていて、それでも何もしない誰かが。それに、妹を悲しませたくないし、危険な目に遭わせたくもないからね」
家に入る前に、ルビーは振り返った。
「ああ、ダイキ。あなたは敬称をつけられるのが好きじゃなかったみたいだけど、ここではつけさせてもらうわね」
彼女は冗談っぽく「べーっ」と舌を出しながら、ウインクをした。
「それからもう一つ。あなたはもう、誰かのお兄ちゃんなのよ。名前はエリザベスっていうの」
そう言い残して、戻っていった。
(え……?)
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ベッドに横たわりながら、何時間もその名前を頭の中で反芻していた。
今この状況で眠るなど不可能だし、その言葉の意味を理解するのも同じくらい難しい。
ゼレニアを去ってから九ヶ月。一年になるまであと三ヶ月しか残っていない。
妹がすでに生まれているのなら、ジュリエットは俺が家を出た時にはすでに身籠っていたということだ……それに今になって気づくなんて。
俺は、誰かの兄になった。
だがその子は、本物の兄の顔を見ることはなく、ただの幻影を見るだけなのだ。
唐突にそんなことを伝えてきて、ルビーは何を期待していたのだろうか?
間違いなく、こんなに救われたような気持ちになることなど予想していなかったはずだ。
家族は生きていて、幸せに暮らしている。
それこそが、家を出た時に望んでいたすべてだったのだから。
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「ダァァァイくぅぅぅん。すっごく変だよぉぉぉぉ」
んん……?
「ダイくーーんっ!」
勢いよく跳ね起きた。
目の前にはヴァレリアがいる。
なぜここに?
「なんでわたしを置いていったの、ダイくん? ひどい、ひどいよっ!」
なぜ、そんなことを言うんだ……?
どうして、言葉を返せない?
「ずっとずっと、大っ嫌いだからねっ!」
その最後の叫び声で、現実のベッドの上で目を覚ました。
周囲を見渡す。
いつもの宿屋だ。
胸に手を当て、深呼吸をする。
ただの夢だった。
なぜあんな夢を見たのかは分からないが、見てしまったものは仕方ない。
最悪なのは、現実のヴァレリアも間違いなく俺を憎むであろうことだ。
次に顔を合わせる時が来たとしても、かつて向けてくれていた愛情は、置いて去った瞬間にすべて崩れ去ってしまったに違いない。
そして、おそらくはその方がいいのだろう。




