24話 深夜の高速道路
第24話 深夜の高速道路
にいちゃんと会ったあとから、にいちゃんからの連絡は来なくなった。
いつもすぐ返ってきていた返事も、来なくなった。
当たり前のように続いていたやり取りがなくなることに、私はとても寂しさを感じていた。
にいちゃんは、兄が勤務する病院へ転院していた。
「にいちゃんと連絡が取れないけど、大丈夫なの?」
そうLINEを送ると、
『ご飯を詰まらせて大変だったけど、今は大丈夫』
そんな言葉と一緒に、にいちゃんの写真が送られてきた。
ピースサインをしていた。
でも私は、その写真に強い違和感を覚えた。
にいちゃんの命は、もう長くない。
私は、すぐにそう感じた。
「すぐに会いに行こうかな」
そう言うと、
『まだ大丈夫だから』
兄はそう言って、私を止めた。
400キロの距離なんて、普段なら遠いはずなのに、
大好きなにいちゃんのためなら、とても近く感じていた。
私にとっての祖母。
つまり、にいちゃんにとっての母。
その祖母が弱っていく姿を見ていた私は、
にいちゃんに口酸っぱく言っていた。
「祖母は最後、ご飯が食べられなかった。
だから、にいちゃんはちゃんと食べて長生きしてね」
私は、その言葉をにいちゃんに言ったことを深く後悔した。
ご飯を食べられるうちは、長生きできる。
そんなふうに、私は思っていた。
もしかしたら、にいちゃんは最後まで
私の言葉を聞いていてくれていたのかもしれない。
にいちゃんのピースサインの写真が送られてきた、三日後の深夜0時。
母から電話がかかってきた。
「今から来れる?」
それしか言われなかった。
私は三十分で準備をして、すぐに深夜の高速道路を走らせた。
普段は法定速度でしか走らない私が、その日だけは、いつもよりスピードを出していた。
にいちゃんの最期に、間に合わせたかったのだ。
深夜の高速道路は、いつもより長い道のりに感じた。




