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ムサビとベムスターが好きだった叔父の物語  作者: 巳ノ星 壱果


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23話 最後のプレゼント

 第23話 最後のプレゼント


 髪を切ったあと、

 にいちゃんと母と海鮮丼を食べに行った。


「にいちゃん、一緒に写真を撮ろうか?」


 コロナ禍だったから、

 あまり近づくことはできなかった。


 にいちゃんの顔も、

 私の顔も少し見切れていた。


 画像を送信したあと、

 にいちゃんがぽつりと言った。


「あ、にいちゃんの顔が見切れている」


 そう、にいちゃんはナルシストだった。


 うっかり忘れてしまっていた。


「また撮ろうね。靴、私がプレゼントするよ」


 弱っていく、にいちゃん。


 やせ型のにいちゃんなのに、

 薬の影響なのか、

 足がパンパンに膨れ上がっていた。


 スニーカーが入らないと聞いていたから、

 私は、どうしても靴を買ってあげたかった。


 履きやすいサンダルを、

 にいちゃんにプレゼントしたかったのだ。


「これがいいんじゃない?」


「でも色が、」


 そうやって、細かいところにこだわるのが、にいちゃんだった。


 一時間ほど靴屋をうろうろして、

 ようやく、にいちゃんのお気に入りが見つかった。


 すぐに履き替えて、嬉しそうに笑っていた。私に気を遣って笑ってくれたのかもしれない。

 でもにいちゃんの顔をみてるのが嬉しかった。


 私は今でも忘れられない。


「ところで、いっちゃん。次はいつ来るんだい?」


「またすぐに会いにくるよ」


 そう言い残して、私は地元へ帰った。


 あれから、もうLINEの返事が来なくなるなんて、あの時の私は想像もしていなかった。


 あの時は、また次があると思っていたのだ。


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