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出動、アニマルファング!

イヤフォンをして音楽を聞きつつ、自分の世界を作り出す。


志岐が朝にする日課で、趣味の様な物でもあった。


自分以外誰も入り込めない、音の世界。 自分だけの空想。 自分だけの音楽。


だからそれを邪魔されるのを志岐は嫌うが、今日もまた、頭を何かで叩かれる。


だが何時もの様な柔らかい紙で叩かれたような感覚ではなく、ガンッという擬音がピッタリな、何か少し固めの物で叩かれたような感覚だった。


「イテ! イテ! な、なんだ叩くな!」


イヤフォンを取って目を開けて、自分を叩いている犯人を睨むと、そこにはニコニコ笑っている糸江が、手にスマホを持っていた。


どうやら志岐の頭を叩いていたのは糸江のスマホだったらしい。


「どうした糸目」


「糸江だって。 それよりこのニュース見てよ」


糸江は志岐にスマホの画面を見せ付けると、どうやらテレビモードにしており、ニュースを見ているらしい。


『昨日、大型スーパージョスコにて、新たな悪の組織、クルジスが人質をとり身代金を要求しましたが、動物戦隊アニマルファングのレッド・タイガーが戦闘員を倒しましたが、怪人アラクネーに苦戦していた所、今噂の最強の一般人の助太刀を得て撃退しました』


これが昨日の志岐が関わった事件のニュースだと判断した時、志岐は拙いなーと思った。


「今この事件がネットでも噂になってるんだよ!」


テレビモードを終わらせ、ネットに繋いで掲示板を表示させる。


掲示板には昨日の事件へのコメントが幾つも書かれている。


『レッド・タイガーざまぁw 最強の一般人がヒーローやればいいんじゃんw』


『最強の一般人が戦えばいいというのは同意。 戦わないのはただ傲慢なだけ』


『レッド・タイガー蜘蛛糸緊縛ハァハァ』


『アニマルファングのメンバーが我が強い事で有名。 それ故にかチームワーク最悪らしいお』


『最強の一般人の情報誰か知らない? 政府が意図的に隠してるって本当?』


『多分隠されてる。 こういう風に活動してたら普通は情報の1つや2つ出てきても不思議じゃない』


どうも好き放題事件と最強の一般人、レッド・タイガーに関して議論しているらしい。


それを見た志岐は溜息を吐いた。


「因みに、下から2番目のは俺が書き込んだ。 やっぱし最強の一般人の情報は隠されているのか……これはもう自分で本格的に調べるかな」


「あんま無茶すんなよ」


はしゃぐ糸江に対して一応釘を刺して、音楽プレイヤーを弄る。


昨日は流れで戦ってしまったが、これからはより自重しないと隠し切れないかもなぁ……と、心の中で決めた志岐であった。






□□□□□


アイツは、一体……何者なんだ?


そう思いながら、獣羅は目の前にあるサンドバッグを殴り続ける。 時折蹴りも織り交ぜ、サンドバッグに自分の疑問を叩きつける。


昨日の自分の失態。 そして自分を助けてくれた、あの青年を思い出しながら、獣羅はアニマルファングの基地内のトレーニングルームで体を動かしている。


そこへ、後ろから神子が近寄ってくる。


「獣羅、お前が自主的にトレーニングしているとは珍しいな。 昨日怪人に苦戦したせいか?」


相変わらずのクールな表情と口調でそう聞かれる。


今までならそう言う事を言われれば反論、若しくは食いつく事をしていたが、獣羅はサンドバッグを殴り続けるだけだった。


「……? どうした獣羅、何時ものお前なら食いついてくると思ったが」


「ハァ……ハァ……神子、お前はあの最強の一般人ってのに対してどう思う?」


一旦運動を止めて息を整え、神子にそう尋ねる獣羅は、迷いのある瞳をしていた。


「ん…? まぁ、時折怪人を倒すらしいが、一般人であるなら、危険もあるし、我々ヒーローの仕事は一般人を守る事にあるから、自重はして欲しいと思うな」


「そうか……」


獣羅が運動に戻ろうとした時、基地全体にブーブーとブザーが鳴り響く。


ブザーを聞き、獣羅と神子はトレーニングルームを出て、走って作戦司令室に駆け込んだ。


既に中には他の3人もおり、アニマルファング全員が集合した。


「何があった?」


「中心区のスクランブル交差点で、昨日の悪の組織、クルジスが現れたそうよ」


神子が先にいた3人に声をかけるが、返答は女性オペレーターである刈屋(かりや)が答えた。


「状況はどうなの?」


今度は美玖が聞くと、刈屋は暫くパソコンを操作すると、6人の目の前にある大型モニターに映像が映し出された。


ネットに上がった写真で、身長2メートル半はある牛の顔に人間の体を持つ怪人が、子供を抱えて叫んでいる写真だ。


「現在、子供やスクランブル交差点にいた人々を人質として、破壊活動を行っているみたいね」


「子供を人質に取るだなんて、絶対に許せないわ……!」


正義感の強い美玖が拳を強く握り締め、司令室から飛び出していく。


「あっ! 待って美玖さん!」


「私達も行きましょう」


麗がすぐさま美玖を追いかけて司令室を出ると、それに続いて舞子、神子、獣羅も司令室を出て行く。


5人は基地の屋上に出ると、変身装置を取り出した。


「変身! ブルー・ホーク!」


美玖を青い光が包み込み、光がはじけると、首から下を覆う水色の全身タイツに、手首、肘、肩、胴体、膝から下の足を白と青の装甲が覆った。


そして、肩の装甲が変形し、鳥の翼の骨のような形になり、そこから青い光が展開されて青い翼になる。


顔は鳥をイメージしたようなヘルメットに、額の辺りは嘴のようにデザインされている。 口元は露出されているが、目元は水色のバイザーで覆われている。


続いて舞子が変身装置を取り出す。


「変身! ブラック・バイソン!」


舞子を黒い光が包み込み、それが剥がれると、首下は黒い全身タイツに、美玖と同じ部分に黒と白の装甲が現れるが、装甲は獣羅や美玖の物よりも大きく、分厚くなっている。


ヘルメットは、牛をイメージしたような形で、ヘルメットの横から牛の角のような物が生えている。 同じく口元は露出しており、顔は灰色のバイザーで覆われている。


「変身! イエロー・パンサー!」


次は神子が黄色い光に包まれる。


光は弾ける様に消えると、首から下は黄色い全身タイツで、間接部分に黄色と黒の装甲を展開した神子の姿があった。


しかし他の皆とは違い、手首の装甲には、折りたたまれた刃が装着されている。


ヘルメットは豹をイメージしており、少し丸めの猫耳に、豹柄にペイントされており、口元は露出されており、目はオレンジ色のバイザーで覆われている。


「へ、変身! ホワイト・バニー!」


麗は白く、キラキラとしたした光に包まれ、それが徐々に消えていくと、首下は白い全身タイツに身を包み、他の皆と同じ、真っ白な装甲が展開されている。


しかし足の部分の装甲は他の皆より大きく作られているが、スマートなフォルムで重さを感じさせない。


ヘルメットは、兎の様な耳がピョコンと着いており、目元は真っ赤なバイザーで覆われている。


「変身! レッド・タイガー!」


獣羅は昨日と同じスーツを身に纏い、動物戦隊アニマルファングが全員変身完了した。


「さぁ、行くわよ!」


美玖は肩の翼を羽ばたかせると、空へ飛び上がり、そのまま目標の位置まで飛んで行く。


「美玖に後れを取るなよ」


それを神子と舞子が、家の屋根や建物の壁を走り、追いかけていくのを見ると、獣羅も3人を追いかけて同じルートを走って行く。


しかし……


「きゃああああああああああっ!?」


叫び声を聞いて其方を向くと、ホワイト・バニーこと、麗が空高く跳び上がっており、重力に従い落下していく。


なんとか無事に着地したようだが、フゥと1人で安心している。


麗のスーツは、兎をモデルにしており、脚力の装甲に、何かを蹴る際やジャンプする際にブーストがかかって威力が向上するようにできている。


そのせいでジャンプし過ぎたのだろう。


「やれやれ……」


そんなお気楽な仲間を見て、獣羅はモヤモヤとした気持ちを抱え込んだまま現場へ向かう事となった。






□□□□□


そして此処は街の中央区のスクランブル交差点。


「ぐはははははは! 壊せ、ぶっ壊せ! 俺達クルジスの名を世間に広めるためにも、どんどん悪事を働け、戦闘員共!」


牛の頭に人間の体を持つ巨体の怪人は、脇腹に少女を抱えて笑っていた。


周囲のベンチや自転車、車や店を破壊する戦闘員を見て大袈裟に笑うと、脇腹に抱えている少女は泣き出してしまう。


交差点を囲むように警察は包囲網を展開しているが、少女やスクランブル交差点にいた人々を人質にされて下手に動く事ができない。


「銭型さん、どうしますか?」


そこには、銭型と、新米婦人警官もおり、この状況をどうするか考えていた。


「あの牛怪人、交渉にも取りあわねぇからな……ヒーローの到着を待つしかないな」


「そんな……悪人が目の前にいるのに捕まえる事も、交渉をする事もできないなんて……」


「まぁ、この辺が一般の警察の限界だな。 こればっかりはしょうがねぇよ」


そんな話をしている内に、彼らの頭上を5つの影が飛び越えていく。


赤い影は車を破壊しようとしていた戦闘員を、一撃で吹き飛ばし、黄色い影はすり抜けるように戦闘員の隙間を駆け抜け、通り抜けた後にいた戦闘員を切り刻む。


黒い影は人質の一部に手を出そうとしていた戦闘員から、人質を守り、そのままカウンターで弾き返し、白い影は着地と共にクレーターと衝撃波を生み出し、周囲の戦闘員を吹き飛ばす。


そして青い影は、牛の怪人に向かって一直線に飛び、蹴りを放つ。


「おっと!」


しかしそれは子供を抱えていない腕で防がれてしまうが、青い影こと美玖はそのまま飛び退き、5人で密集してポーズを取る。


「「「「「動物戦隊アニマルファング! 参上!」」」」」


この参上のポーズはどこのヒーローもやっている、云わばお決まりという物だ。


「ほう、お前たちが……丁度良い、お前等の首でもボスの土産に持って行くか」


「調子に乗らない事ね! アンタみたいな悪党はアタシが地平線の向こう側まで吹き飛ばしてあげるわ!」


「俺の名はミノタウロス! テメェ等をぶっ殺す男だ!」


そして、スクランブル交差点の中心で、ブルー・ホークの蹴りと、ミノタウロスの拳がぶつかり合った。

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