勇者のロン
それからは早かった。すぐに神官が呼ばれ、書類に名前を書かされ、誓いの口づけをさせられたが、ロンが私を抱きしめて濃厚な口づけをし始めたので、続きは部屋でするようにと王様が言い、私達2人は兵士に引き離された。
私とロンは兵士に別々に連れていかれた。私が連れられた部屋には風呂があり、知らない女性達にあちこち洗われ、綺麗な服を着せられ、また別の部屋に案内された。どうしていいのか分からず部屋の真ん中にあるベッドに座っていると、バタンと大きな音を立て誰かが入って来た。見るとロンで、ロンも風呂に入ったのか上気した顔をしていた。そして走ってきたのだろうか?呼吸が荒い。
「ロン、びっくりしたわ。いつ勇者に選ばれたの?」
「知らない。ただ領主様に呼ばれて行ったら、王都の使者がいて、勇者に選ばれたから王都に来る準備をするように言われた」
「そう。でも昔から勇者の神託が下るならロンじゃないかって噂されてたわ」
「ミカ、そんな話はいい。俺達はもう夫婦だ。だから俺はもう我慢しない」
そう言うと、ロンは私をベッドに押し倒してきた。
ゲームの中の私は、旅立ちの日にロンに泣いてすがっていたが、別の意味で私はロンに鳴いてすがりっぱなしだった…。
3日目になると、私はベッドから起き上がれずにいたが、ロンは一人で身支度を済ませ、私に行ってきますと言い、旅立って行った。
「勇者って本当に強いのね…」
一人残された私は天井を見ながら呟いていた。
それにしても…結婚したし、これはミカルートと思っていいの?旅立ち前に選ばれたけど?大丈夫なの?
もしロンが他の女性を選んで帰ってきたら?怖い?ううん、これだけロンと愛し合えたんだから十分だわ。ロンを失っても綺麗な思い出のままいられる気がする。前世からのヒーローだったロンと会えたこと自体が幸運だったのよ。
怖がらずに、もっと早くロンの胸に飛び込めば良かったかしら?それも違う気がする。私が違う動きをしたから変わっていったのかもしれない。そんな気がしてならない。




