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暁月

吹き荒れる嵐の中を進んでいく。一歩足を踏み出すごとに体に響く衝撃が重くなってゆく。

その先に人間とは思えない動きで悪魔の周りを飛び回っている白夜さんの姿が見える。風を切る蹴りの音がオレの耳に届いた。

「貴様ァ、この瘴気の中で何故動ける」

「アンタの知ったこっちゃないッス!」

「そこの出し殻はともかく」

アンジュを一瞥いちべつした悪魔の眼がオレに向く。

「どこぞの馬の骨までが」

「何様のつもりだ、テメェ」

拳銃を向けたオレに悪魔が嗤う。

「王様だよ!王!何を聞いていた!吾妻に纏わりつく塵芥ちりあくたが!」

「三下まる出しっすよ」

「何ィーー?」

振り返った悪魔に放たれたドロップキックがその頭を粉砕する。

「纏わりついてるのはアンタの方っすよ!!ッ白蓮センパイを返せ!!!」

視界の端でアンジュの瞳が赤く光るのが見えた。

「白蓮?藪中の分家がどうかしたかァ?」

「人を殺しといて顔も思い出せないのか!!」

砕かれた頭が声を出しながら不気味に復元されていく。

「凄いな!お前は猿の顔が思い出せるのか」

悪魔の挑発に、言葉もなく目を見開いた白夜さんの三つ編みが爆ぜるように解けた。金の尾羽さながらに長髪をたなびかせ光の矢と化した肢体が悪魔へ撃ち込まれる。

軽く払った腕に白夜さんが弾き飛ばされ、浅い水面に身を沈めた。

「無駄な努力が好きだなァ」

「そうでもない」

突如として現れた赤い髪の男が悪魔の戴く冠に銃弾を撃ち込む。その瞬間、黒い霧が晴れた。

「弾が当たれば誰であっても、”必ず一つあるものを奪うことができる”」

夜の帳が降りゆく中、闇に浮かぶ月を背景に暁色の髪が炎の様に揺らめいていた。

あきら!!」

3年前に消えた姿に隊長の声が響く。

「白蓮・・・パイセン・・・」

「お望みどおり結末を変えてやるよ」

横たわる白夜さんが、か細い声を出す。

「・・・ホント、クソダサ厨二病・・・過ぎるッスよ」

笑顔の白夜さんをチラリと見た白蓮さんが悪魔に告げる。

「さっきはよくもやってくれたな」

「何が起きたか分からんが今さら貴様に何が出来る」

冠を探す悪魔に白蓮さんが答えた。

「もう終わってる」

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