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信頼

退院を前にして病室で着替えるオレに隊長が言う。

「来年に藪中家の代替わりの儀式が行われる」

ネコとの旅行中に買った少々お高いYシャツに袖を通しながら応じる。

「そこに悪魔が現れるってことですね」

「確実にな」

「それはヤツの3年後って言葉を信じてですか?」

シャツのボタンを留めながら訊ねる。

「アレの素性は徹底的に調べ上げた」

暗い面持ちで隊長が続ける。

「お前には藪中の守護者ガーディアンとして参列してもらう」

その言葉に心が揺らぐ。

「それがこの旅の目的だったって事ですか」

吾妻の護衛としての矜持を貶させた気がして、盾突くような言葉を吐いてしまう。

「だったら最初から言って下さいよ。オレ、アンジュの誕生日の時から・・・ネコの専属として旦那様に呼ばれた時から・・・何も説明されてませんよ!!」

命令に従うことに苦はない。ただ何も伝えられていなかったことに納得ができず、つい言葉に出してしまった。

「お前が知る必要はない」

「隊長」

あまりの言葉に言い返そうとエドガーを睨みつけた。その瞳は酷く暗い。その表情にオレは口をつぐんだ。この人の言葉にはいつも意味がある。教えがある。愛情がある。それを思い返してオレは言葉を口にする。

「この旅はネコの護衛ってことでいいんですよね?」

「それは果たせ」

ふっと笑った隊長が告げる。寂しそうな笑みで。

戦友のニ十一にそいちさんと弟子の白蓮さんの二の舞は避けたいと隊長が思っていることを、オレは理解した。その自責と期待も。

説明できない理由があるのだと、ぐっと感情を心に押し込んだ。

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