第89話 いざ、ルミナリア祭
ルミナリア祭当日。
今年のルミナリア祭は、今までになく大盛況だった。
レオンハルトは、黒髪の妖艶な美女に変身していた。
大柄ではあるが、それでも目を引く美しさだ。
「レオンハルト様、お綺麗ですわ。」
「レオンハルト様、可愛い。」
「すごいな、あれは。男と分かっていても、ドキドキする。」
と、大盛況だった。
「フン、そんなん褒められても嬉しくない。」
レオンハルトはうんざりしていた。
そんなレオンハルトを、ヴィオレッタは
「レオンハルト様、本当に女の私から見ても、うっとりしてしまいますわ。」
と目を細めて見つめていた。
一方でアルベルトは、こちらも大柄だが、可憐な乙女に変身していた。
しかもこいつは、ノリノリでなりきっている。
「いや〜ん、そんなに見つめられると穴があいてしまいます❤️」
そう言って、男装の女子生徒にわざとらしくまとわりつく。
どこまでも女好きだな、と俺は呆れた。
だが、アルベルトは調子に乗りすぎた。
男装の麗人と呼ぶにふさわしい姿のエレノアに、
「エディック様、助けて〜❤️」
と抱きつこうとした。
まったく、不敬なやつだ。
俺はすかさず、アルベルトをガードする。
そして、殺気を込めて睨みつける。
「アルベルト、おいたがすぎると痛い目みるぞ。」
低い声で言い放つ。
アルベルトは怯えた。
「そんなに真剣に怒らなくても。」
「エレノアに気安く触れることは、誰であっても許さん。」
俺は即答する。
「レオニス、お前、大人気ねーぞ。」
とレオンハルトはため息をついた。
そして、俺達の出番となった。
観客はすでに満員だ。
「ねえ、ちょっと緊張してきた。」
リリアが震えた声で言う。
「大丈夫だ、リリア。何か失敗しても私がフォローしよう。」
ルシアンは力強く、リリアを勇気づける。
「じゃあ、行くよ。」
セレナの掛け声とともに、俺たちは舞台へ上がる。
「うわー!」
「きゃー!」
大歓声が上がる。
一曲目は、日本では誰もが知っているロックバンドの曲。
色気のある歌詞に、ノリのいい曲だ。
ルシアンとリリアの演出も映えている。
観客たちも、自然と体が動き出していた。
セレナは、掴みはOKといった様子でVサインをする。
二曲目は、某アイドルグループの楽曲。
こちらも会場は一体となり、ハモり出す。
三曲目は、切ないバラード。
歌いながら、俺は会場のどこかにいるエレノアを探した。
エレノアは、レオンハルト、ヴィオレッタ、アルベルトとともに座っていた。
その表情は、とても満足そうだった。
ラストの曲で大盛り上がりを見せる中、
俺はエレノアに向かって、上着を投げた。




