(番外編)レオニス姫①
セレナ、エレノア、ヴィオレッタ、リリア、そしてヴィオレッタに付き添ってきたレオンハルトの五人は、お茶会をしていた。
話題は、先日開催されたルミナリア祭のことだ。
「レオニス殿下、素敵でしたわ。」
とうっとりするヴィオレッタに、レオンハルトは、
「まあ、認めてやらんでもない。ただ、あいつ、なんであんなことできるんだ?」
と頷いた。
セレナは、
「あのあとさ、すごい反響で、うちでもやってほしいって声かかるんだけど、
レオニスが承諾しなくて。」
と、がっかりと肩を落とす。
「それは仕方ありませんわ。
殿下は王太子で、芸人ではありませんもの。」
エレノアはきっぱり言った。
「でも、レオニスが歌ってくれたら、寄付金もがっぽり入るのにな。
そしたら、病院だって、学校だってすぐ建てられそうなのに。」
リリアも俯く。
そんな時、セレナが唐突に言った。
「ねえ、レオニスの姫姿、見たくない?」
その瞳は、悪戯っ気に輝いている。
レオンハルトも、
「そうだな、俺達はさんざん見せものにされて、
あいつだけ美味しいとこ持っていってたもんな。
のったー。」
と賛同する。
「レオンハルト様、いけませんわ。」
そう言いつつ、ヴィオレッタはレオンハルトが着たドレスを取り出す。
用意がいい。
リリアは、
「でも、王太子はダメなんじゃないの?」
と一応止める。
「大丈夫だ。公にはダメだが、私的なら問題ない。」
レオンハルトは不敵に笑う。
セレナはエレノアを見る。
「そういうことで頼んだよ、エレノア。」
エレノアは戸惑いつつも、好奇心には勝てなかった。
俺は執務室で仕事をしていた。
そこへノックが響く。
カイルが取り次いだのは、セレナ、レオンハルト夫妻、リリア、エレノアだった。
「殿下、お忙しいでしょうか?」
エレノアが遠慮がちに俺を見る。
「いいや、もう終わったところだ。」
俺はエレノアに微笑む。
「どうしたんだ?何か用か?」
「エレノアが、レオニスにお願いがあるんだって?」
セレナが茶目っ気たっぷりに言う。
俺は、これはろくでもないことに違いないと確信した。
「一応聞くが」
と前置きし、
「要件はなんだ?」
と尋ねる。
エレノアは目を伏せ、それから上目遣いで俺を見た。
「あの、殿下。この衣装を着て欲しいのです。」
その仕草があまりにも可愛くて、俺は思わず頷いてしまった。
「やったー。」
とセレナが叫ぶ。
こうして俺は、まんまとセレナの思惑にはまってしまった。




