第84話 男装女装の文化祭
国王の帰還が決定した。
帰還に伴い、国王は各国の要人をルミナリアに招いた。
王妃はじめ、今回はエレノア達妃候補、
といっても、エレノアとクラリッサの二人だがその準備に追われていた。
今回は、妃教育のテストとも言うべきものだった。
俺は俺で、要人達をもてなすための情報収集をしていた。
さらに学院では、学校行事が目白押し。
生徒会長という立場もあって、エレノアは大忙しだ。
俺は、病み上がりのエレノアを心配していた。
「エレノア、あまり無理するな。まだ、病み上がりなのに。」
「殿下、大丈夫ですわ。」
エレノアは微笑むが、俺の不安は消えない。
「学校行事だけでも大変だろ?
私から王妃様にエレノアの負担を減らすようにお願いしてもいいんだぞ?」
「殿下、私は元気になりました。
それに殿下は私に対し、過保護がすぎます。」
エレノアは、俺を見る。
俺はため息をつく。
「仕方がないじゃないか?
エレノアが心配で心配でたまらない。」
「だから、もう大丈夫ですって。」
俺とエレノアのやり取りを見て、セレナは
「バカップルめ。」
と呟いた。
学院行事といえば、ルミナリア祭と剣術魔術大会が後に控えていた。
ルミナリア祭とは、日本で言うところの文化祭にあたる。
お祭りといえば、やはりセレナだろう。
上級生でもないのに、すっかり場を仕切っていた。
しかも今回は、リリア提案でチャリティー活動も行われる。
「で、今年の文化祭ですが、男装女装をテーマにします。」
セレナは、多数決ではなく言い切る。
「女子は男装、男子は女装をします。」
セレナの言葉に、周りはざわめく。
「なんですか?それ?」
アルベルトはセレナを睨む。
「じゃあ、皆さん、例えばレオニス。
レオニスの妖艶なる女装、見たくないですか?」
リリアは、
「みてみたいかも。」
と呟く。
周りの女子もノリノリだ。
しかし、担当教諭が、
「セレナさん、流石に殿下はいけません。
王室に対する不敬に当たります。」
ときっぱり告げた。
どうやら、俺は助かったらしい。
「じゃあ、仕方ないですね。
でも、例えば、モグラ王子じゃなかった、レオンハルトとかは?
こちらも中々色っぽい黒髪美女になると。」
一瞬の沈黙。
「いいかも、レオンハルト様の女装みたい。」
「きっと、お綺麗だわ。」
と、熱烈な賛同を得る。
レオンハルトは、
「やんねーぞ、絶対。
第一、おかしいだろ?俺だって、王子だ。
不敬だ、不敬。」
と騒ぐが、セレナは、
「あんたは王子じゃなく、侯爵でしょ?」
と一刀両断する。
しかも今回は、教諭も割ってこない。
そして、セレナは言う。
「ちなみに、ルミナリア祭には外部から客人も来ます。
その中には、ヴィオレッタも来るんだよ。
ヴィオレッタは、レオンハルトの女装楽しみ〜って言ってた。」
ヴィオレッタの名前を出されて、レオンハルトも
「ちっ、仕方ない。」
と観念した。
レオンハルトが観念したことで、男装女装は確定した。
俺は、それを見て苦笑した。
そんな俺を、セレナは見る。
「レオニス、あんた、自分だけ助かったと思ってんでしょ?
でも、レオニスには大切な役目がある。」
「なんだ?それ?」
俺はセレナに聞く。
「レオニスには、歌って踊ってもらう。」
セレナは、ドヤ顔で言い放った。




