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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第6章 聖女の覚悟と涙

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(番外編)甘い誘惑の先④

抱き抱えられ、連れて行かれたエレノアは、レオニスに乱暴にベッドへ押し倒された。


エレノアは、どうしたらいいのかわからなかった。


その表情には、恐怖、恥ずかしさ、安心、好奇心、そして少しの期待。

様々な感情が入り混じっている。


あどけなさと色香が同居した、その顔。


レオニスは内心、ずるいな、その顔は、と思った。


怒っているはずなのに、怒りが静まりそうになる。

そう心の中で呟く。


それでもレオニスは、


「エレノア、私は君をこんなところで抱く気はない。」


そう言い放ち、エレノアから離れた。


それから終始、何も言わない。

エレノアを見ようともしない。


エレノアは、恐る恐る口を開いた。


「殿下、怒っていますか?」


やっと出た言葉は、何とも間の抜けたものだった。


レオニスは答えない。


だが、しばらくの沈黙の後、


「怒っている。君がこんなに軽率な真似をするとは思わなかった。」


一言、そう告げた。


「失望させてしまいましたか?」


エレノアはしゅんとする。


「君に失望することはない。ただ・・・。」


レオニスは一瞬、目を伏せる。


「ただ、私はこんなことをされたら、一瞬たりとも君から目を離せなくなる。

安心して、公務にも赴けない。」


「申し訳ありません、殿下。」


エレノアは謝罪する。


「もし、偶然にも君を見つけられなかったらどうなっていたか、

そう考えたら、居ても立っても居られない。」


レオニスは静かに言った。


その怒りは、エレノアを責めるものではない。

エレノアを心配してのものだった。


「本当に申し訳ありません、殿下。このようなこと、二度と致しません。」


エレノアはもう一度謝る。


「まだ、怒っていますの?」


潤んだ瞳でレオニスを見つめる。


レオニスはため息をついた。


そして、


「もう怒っていない。」


と答えた。


「では、何故、こちらを見てくださらないの?」


エレノアは詰め寄る。


レオニスは自分の上着を脱ぎ、エレノアにかけた。


「そんな魅惑的な姿で近寄られたら、私の理性が持たなくなってしまう。」


そう言って、わずかに頬を赤くする。



一方で、リリアはルシアンに、


「リリア、君は何を考えているんだ?」


と怒られていた。


「ごめんなさい、ルシアン。お金は必ず返すから。」


リリアは言った。


「お金はいいし、そもそもそういう問題じゃない。」


ルシアンはリリアを見る。


その表情は真剣だった。


「君にもしもの事があったらと思ったら、私はどうしたらいいのかわからなくなってしまう。」


ルシアンは、本気でリリアを心配していた。


「ルシアン、もしかして、心配してくれた?」


リリアは問いかける。


「当たり前だ。リリア、君はレオニスしか見えていないだろうが、

私は、君を特別に思っている。」


気の利いた言葉ではない。

華やかさもない。


それでも、その誠実さは、確かにリリアの胸に届いていた。



セレナは部屋に入った瞬間、大はしゃぎだった。


そして、カイルの雷が落ちた。


「まったく、あなたと言う人は。」


「えっー、何でこういう展開になるの?ここは恋人らしく、ムーディに。」


「なりませんよ、そんなことには。」


カイルの説教は続く。


「カイル様、せっかく、私を買ったんだから、少しは。」


セレナの言葉に、カイルは、


「本当に、無駄な出費です。」


とキッパリ答える。


「出費って、カイル様ひどーい。」


セレナは噛み付くが、カイルの説教は朝まで続いた。


その後、任務の方は、レオンハルトとアルベルトによって無事、完了された。


「全く、お前達は、何考えてるんだ?少しはヴィオレッタを」


レオンハルトはヴィオレッタを見習えと言いたかったのだろうが、


セレナに遮られた。


「ヴィオレッタも来る気満々で、流石に妊婦だから断るの大変だったんだよ。」


その言葉に、レオンハルトは、


「そうか、じゃあ、あいつも帰ったら説教だな。」


と不敵に笑った。


後日。


セレナ、ヴィオレッタ、エレノア、リリアの四人は、お茶会をしていた。


それぞれの出来事を語り合い、女子トークが炸裂する。


エレノアの話を聞いて、


「やっぱ、レオニスかっこいい。」


とリリアが言った。


「あの男はずるいからね。」


セレナはそう言って、ニヤける。


「で、リリアはどうだったの?」


リリアは少し照れながら報告する。


「新しい恋の予感だね。」


セレナが軽口を叩き、


「そんなんじゃないもん。」


とリリアはそっぽを向いた。


「セレナはどうでしたの?」


エレノアが尋ねる。


セレナの表情が暗くなる。


「カイル様の朴念仁。」


そして、ありのままを話す。


ヴィオレッタはそれを聞いて苦笑する。


「でも、ヴァンデル卿は屈強の騎士ですから、いかなる場合でも任務を放棄する方ではありませんわ。

今回は、任務よりもセレナを優先した、、、。」


エレノアは静かに言った。


セレナの顔が、ぱっと明るくなる。


「そうか、そうよね。そうだよね。」


セレナは満足げに微笑んだ。

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