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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第6章 聖女の覚悟と涙

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(番外編)甘い誘惑の先②

俺は、エレノア達のピンチを知らずにいた。


実はこのところ、王宮内ではある貴族の不正が問題になっていた。

国庫を横領しているというものだ。


状況証拠はあるが、決定的な証拠がない。


だが、その貴族が、とある酒場兼娼館で胡散臭い取引をしているという情報が入ってきた。


その情報が確かなら、決定的な証拠を掴めるかもしれない。


そう思い、俺、レオンハルト、カイル、ルシアン、アルベルトで、その娼館に潜入調査をすることになった。


敢えて大臣や重鎮、その部下達を使用しなかったのは、相手を油断させるためだ。


俺達であれば、単に遊びに来ているように見え、特に警戒されないだろう。


娼館の前に立った瞬間、わずかに胸の奥がざわついた。


理由は分からない。


「やあ、公費で花園に行けるなんて幸せです。」


とはしゃぐアルベルト。


「アルベルト、油断するなよ、これは任務なんだぞ。」


アルベルトを諌めるルシアン。


こうして、俺達は娼館へ向かった。


一方で、セレナ達は新たなピンチを迎えていた。


セレナ達が売られた先は、娼館だった。


娼館の女主人は三人を見て、


「これは上玉だね。高く売れそうだ。」


と満足げに笑い、男に金を渡す。


その視線は、品定めをする眼だった。


男達は金を受け取り、出ていった。


「まあ、着ているものも上等だし、肌の血色も良く、しかもかなりの美人だ。どこぞの貴族のバカ娘と見える。」


女主人は、値踏みするようにエレノアとリリアを見る。


「今夜は上客が来るんだ。早速、今夜から客をとってもらうよ。」


そう言って、三人は連れて行かれ、準備をさせられた。


湯浴みをし、いつもよりしっかりと化粧を施される。

そして、露出が多く、体のラインがはっきりと出る衣装を身に纏わされた。


エレノアは、プラチナブロンドの髪とスカイブルーの瞳を持つ、妖艶な美女へと変わる。


リリアは可憐さを残しつつ、それでもなお男の庇護欲をそそる美しさを放っていた。


二人を見て、女主人は満足そうに頷く。


「これは、思っていたより化けたじゃないか。

あんた達もここで一生を終えたくはないだろ?

うまくいけば、今日の上客にだって気に入られる。

そうしたら、囲われ者として一生楽に暮らせるからね。」


そして、セレナを見る。


女主人は、


「まあ、これはこれで、一部のマニアには受けそうだね。」


そう言った。


セレナはすかさず、


「女の価値は、胸の大きさにあらず。」


と叫んだ。


そして、夜になった。


エレノアは、慰み者になるくらいなら、舌を噛んで死ぬ覚悟でいた。


リリアは、ただただ震えている。


セレナは、呑気に娼館の中を観察していた。


女主人がやってきて、


「じゃあ、あんた達、仕事だよ。」


と、上客の元へ連れて行かれる。


女主人は上客に向かって、


「今夜はとびっきりいい初物が入りました。

どうぞ、気に入った娘がいたら、可愛がってやってください。」


と微笑む。


「それは、楽しみですね。」


どこか聞き覚えのある声、アルベルトの声だった。


セレナは、助かったかも、と思った。


そして、上客達の前に、妖艶な美女と化したエレノア、リリア、そしてセレナが差し出される。


――その瞬間。


空気が、一瞬だけ止まった。


視線が交差する。


誰もが理解するには、十分すぎる一瞬だった。


「何考えてるんだ、あいつら。」


レオンハルトの呆れ返った声が、高々に鳴り響いた。

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