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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第6章 聖女の覚悟と涙

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第83話 髪を切った聖女

翌日、学院でも王宮でも、大騒動だった。


リリアとセレナが髪を切るという暴挙に出たからだ。


実は、この国では女が髪を切ることは、出家を意味する。


そのため、


「聖女様とセレナ様が出家した。」


と大騒ぎになった。


ただ、当人達にその気はない。


リリアが髪を切った理由は、レオニスにはなんとなく分かった。


おそらく、セレナの仕業だろう。


でも、レオニスは思う。


今の時代、日本でも、失恋して髪を切る女はどれくらいいるだろうか。


「セレナ、お前、なんてことしたんだ?」


とアルベルトは頭をかかえる。


「何よ、お兄様、似合っているでしょ?」


セレナは胸を張る。


「そう言う問題じゃありませんよ。

女が髪を切るとはですね。」


アルベルトは説明するが、


「そんな大袈裟な。

どうせ、伸びるんだから、問題ない。」


とセレナは聞く耳を持たなかった。


一方で、リリアは、髪を切る意味を知らなかった。


そのため、もしかしてやらかしたのかと、不安そうである。


そこへレオニスがやってきた。


レオニスはセレナとリリアを見て、


「おおっ、似合ってるじゃないか。」


と笑顔で言った。


リリアは、まだレオニスを見ると、目頭が熱くなるのを抑えきれない。


正直、あんなことがあった後だから、気まずかった。


でも、レオニスは何事もなかったかのように、普通に接してくれた。


それが、嬉しかった。


レオニスがリリアを見たのは、その時だけだった。


エレノアがようやく通学できるまで回復し、今日が初登校。


そのため、レオニスはずっとエレノアに付き添っている。


レオニスの瞳は、リリアを見る瞳とは、まったく違っていた。


熱く、とても優しい。


全身で、エレノアが愛しいと語っているのが伝わってくる。


ルシアンが、


「リリア、その髪は?」


と驚きを隠せない。


「何よ、似合わない?」


リリアは言う。


ルシアンは首を横に振る。


「似合っている。でも、それは……。」


言いにくそうなルシアン。


リリアは、


「言っとくけど、出家なんてする気ないわよ。

髪なんて、ちょっと鬱陶しかったから切っただけ。」


と言い放つ。


「そうか。リリア、なんか変わったな?」


ルシアンがリリアを見る。


「そうかな?ただ、誰かさんに私を振ったこと後悔させないとね。

私、いい女になるって決めたから。」


「リリアは、今でも可愛いよ。」


ルシアンは小さな声で呟いた。


だが、その声は小さく、リリアには聞こえなかった。


カイルはセレナを見て、ため息をついた。


「あなたと言う人は全く。」


セレナはカイルを見た。


「どう?カイル様?似合っている?」


「ええ、似合っていますよ、あなたらしい。」


とカイルは優しく微笑んだ。


そして、


「でも、結婚式までには髪伸ばしてくださいね。」


と伝えると、セレナは珍しく静かになった。


ざわざわとしたざわめきが止まらない。


リリアは、


「下々共、私はこの国の聖女である。

この私を崇めなさい。」


と一喝した。

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