第77話 愛と責任
「リリア、この方法はね、成功したら確実にレオニスの惻妃にはなれる。
でも、レオニスから愛されるのか、軽蔑されるのかわからない。
それにリリアも不幸になるかもしれない。」
セレナは言った。
「何よ、珍しく回りくどいわね。
早く、教えてよ。」
リリアは、苛立ちを隠さずに言う。
「それはね、既成事実を作ること。」
「既成事実?」
リリアは意味がわからないといった顔をする。
セレナは不敵に笑い、はっきりと言い切った。
「つまりは、レオニスに抱かれるってこと。
レオニスだって、聖女の純潔奪ったら流石に逃げられない。
ああ見えて責任感強いから、逃げたりしないんじゃない。
それにレオニスだって男だから、可愛いリリアに迫られたら
案外おちるかもよ。」
リリアは一気に顔を赤くし、慌てる。
「そんなこと、、、。」
セレナは、肩をすくめて言う。
「そんなこと純情なリリアには無理でしょ?
クラリッサならともかく。
愛情じゃなくて、責任取らせるだけなんだから。」
冷たく突き放すような言葉だった。
「まあ、色仕掛けはともかく、告白してきちんと振ってもらうのが
一番だよ。」
リリアは、何も言えなかった。
実のところ、告白する勇気すらなかったのだ。
「まあ、振られたら、私の胸はいつでも貸すよ。」
セレナがあまりにも明るく言うので、
リリアもつられて小さく笑った。
俺は王妃への謁見を申し出ていた。
だが、なかなか良い返事はもらえない。
そもそも、政敵である王妃が公務でもないのに、
俺と会ってくれること自体、難しい。
思わず、ため息が漏れる。
アルベルトが、呑気に言った。
「おや?元気がありませんね、レオニス。
そんな時は、パアーっと。」
「行かない。」
俺は、言い終わる前に即答した。
停学明けのレオンハルトも、
「お前、相変わらずだな。」
と、呆れたようにアルベルトを見ている。
「まあ、自分の女が体調悪いのに、遊びになんか行く気分じゃねーよな。」
レオンハルトはそう言った。
レオンハルトは先日、ヴィオレッタを連れて、
エレノアの見舞いに来てくれていた。
「あいつ、大丈夫なのか?
なんか、痩せていたし。
ヴィオレッタもかなり心配していたぞ。」
レオンハルトの視線が、まっすぐこちらに向けられる。
俺は、またため息をついた。
「王妃に何とか謁見しないと。」
どうやら、口に出ていたらしい。
「王妃だと?会わせてやろうか?」
レオンハルトが軽く言う。
俺は思わず、顔を上げた。
「お前、俺を誰の息子だと思ってるんだよ。
母親に会わせるくらいは、できるぞ。」
そうか。
レオンハルトは、王妃の息子だ。
最初から、頼めばよかったのか。
俺は、レオンハルトに向き直る。
「悪いが、頼めるか?
できるだけ、急いでほしいんだ。」
自然と、頭が下がっていた。
「わかった。今日にでも母上に聞いてみる」
レオンハルトは、あっさりと引き受けてくれた。




