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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第6章 聖女の覚悟と涙

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(番外編)どっちが大事?

シルバー企画第一弾です

その日、セレナはむくれていた。

理由は、カイルだった。


「ねえ、カイル様。デートしましょう。」


「今日は殿下の護衛があるので無理です。」


カイルは即答した。


殿下の護衛――カイルの答えはいつもそればかり。

このところ、ちっとも構ってくれない。


それが不満だった。


「ねえ、護衛って言っても、要するにレオニスとエレノアの“おじゃま虫”よね。」


「……。」


「もうさ、気を利かせる――もといサボった方が、レオニス喜ぶよ?」


セレナはくすっと笑う。


「だって、カイル様がいたらエレノアにHなことできないもんね。」


「セレナ。あなたはなぜそんなに下品なんですか。」


カイルは呆れたようにため息をついた。


「くだらないことを言っていないで、私はもう行きます。」


そのまま、セレナを残して立ち去ってしまう。


翌日。


セレナは唐突にカイルへ問いかけた。


「ねえ、カイル様。私とレオニス、どっちが大事?」


「……。」


言葉に詰まるカイル。


「殿下は主君で、セレナは婚約者だ。」


「どちらも大切には違いないが、大切さが違う。」


いかにもカイルらしい答えだった。


「そこは嘘でも“私”って言うところじゃない?」


セレナはじっと睨む。


「私は嘘はつけない。」


即答だった。


「じゃあさ、私とレオニスが溺れてて、どっちかしか助けられないとしたら?」


「どっち助ける?」


「……。」


また沈黙。


そしてカイルは言った。


「殿下を優先します。」


セレナはさらに睨む。


「でも、セレナも絶対に見捨てません。」


「必ず二人とも助ける方法を探す。」


そう言って微笑むカイルに、


「カイル様、それはずるい。答えになってない。」


とセレナは顔を赤くした。


そして学院。


セレナの“質問攻め”は続く。


「ねえレオニス。エレノアとカイル、どっちが大事?」


「エレノアだ。」


即答だった。


「エレノアより大事なものなど、私にはない。」


「殿下……。」


エレノアは顔を真っ赤にする。


「カイル様、かわいそう。二番目なんだ。」


とセレナは呟いた。


次に、たまたま居合わせたレオンハルトへ。


「モグラ王子、ヴィオレッタとカイル様、どっちが大事?」


「あん?なんだよその質問。」


レオンハルトは面倒くさそうにセレナを見る。


「強いて言えばでいいから。」


「強いる必要もねぇな。」


「ヴィオレッタだ。」


迷いはなかった。


「ああ、ここでもカイル様一番じゃないんだ。」


「セレナ、そもそもカイルとレオンハルトって面識薄いですよ。」


アルベルトが冷静にツッコむが、セレナは聞いていない。


「よし、次は女子!」


そう言ってリリアへ突撃。


「リリア、レオンハルトとカイル様、どっちが大事?」


「そんなのどうでもいい。興味ない。」


即答だった。


「はい、両方振られましたー。」


セレナはため息をつく。


最後に、エレノアへ。


「ねえエレノア。カイル様とレオニス、どっちが大事?」


レオニスがじっとエレノアを見る。


エレノアは一瞬だけ迷い――


「殿下です。」


そして続けた。


「ですが、ヴァンデル卿も大切な方です。」


いかにもエレノアらしい答えだった。


「エレノアは私だけを思っていればいい。」


「殿下……。」


困ったように微笑むエレノア。


「レオニス、あんまり嫉妬深いと嫌われるぞ。」


レオンハルトが呆れ顔で言う。


「構わん。」


レオニスは平然と返す。


「二番目がいること自体が気に入らないだけだ。」


「……重い。」


セレナはため息をついた。


「相変わらず、重い、重すぎる、レオニス。」


一通り聞き終えたあとで、


「カイル様って、結局“二番目ポジション”よね。」


とセレナが訳の分からない結論を出す。


カイルは少し考えてから問い返した。


「ところでセレナ。」


「セレナはリリア嬢と私、どちらが大切なんです?」


「……。」


今度はセレナが詰まる。


考えた末、


「どっちも大切。比べられない。」


と答えた。


カイルは小さく頷く。


「そうでしょう。」


「どちらが大切かなんて、簡単には決められないものです。」


セレナはにっと笑う。


「じゃあ、カイル様と私、同じだね。」


カイルも優しく微笑んだ。


それだけで、セレナは幸せだった。

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