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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第6章 聖女の覚悟と涙

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第71話 諦められない恋

レオンハルトと別れた後、俺はエレノアと二人きりになった。


静かに流れる時間。

先ほどまでの騒がしさが、嘘のようだった。


今回の一件は、ルシアンから大体の経緯を聞いていた。

それでも、エレノアの口からきちんと聞きたかった。


エレノアは、隠すことなく、すべてを話してくれた。

その言葉一つひとつに、嘘はなかった。


話を聞き終えた俺は、そっとエレノアを抱き寄せる。


「不安だっただろ?君を不安にさせて、悪かった。」


腕の中の彼女は、


「大丈夫ですわ。」


と、やわらかく微笑んだ。


その笑顔に、胸が締め付けられた。


(それにしても、シルヴィアの件……早く終わらせなくては)

(エレノアが、いつまで耐えられるかわからない)


「しかし、レオンハルトはかっこいいな。

これでは、私の出る幕はなくなってしまいそうだ。」


軽く言ったつもりだった。

だが、エレノアは静かに頷く。


「あの方は、素敵な方ですわ。

口は悪いですが、お優しい。」


その言葉に、胸の奥がざわつく。

俺は思わず、眉をひそめた。


「エレノア、君はまさか、レオンハルトのこと。」


エレノアは、はっとしたように顔を上げる。


「何を言っているんです?殿下。そんなわけございませんわ。」


その言葉に、少しだけ安堵する。


「そうなのか、私は君が内心レオンハルトに惹かれるのではないかと不安だ。」


正直な気持ちが、口をついて出た。


「殿下、それは誤解です。

レオンハルト様はそれは魅力的、、、」


「やはり、レオンハルトは君から見ても魅力的なのか、、、。」


ため息がこぼれる。


「殿下、どうされたのです。」


エレノアが不安そうに俺を見つめる。


「エレノア、私はかなり嫉妬深い。

君がレオンハルトを褒める度に、モヤモヤしてしまう。」


「・・・・。」


「私は、君が他の男を褒める、いや、他の名前を呼ぶだけで、

複雑な気持ちになるのだ。」


まっすぐに、エレノアを見つめる。


エレノアは、少し驚いたように目を瞬かせてから、


「殿下が、嫉妬する理由なんてありませんわ。」


と言い切った。


そして、真っ赤になった顔を伏せながら、


「私は殿下だけですわ。」


と、今にも消えてしまいそうな声で囁く。


その言葉に、胸が大きく高鳴る。


「何?聞こえなかった。もう一度言ってくれないか?」


わざとらしく、そう問い返す。


エレノアは顔を上げ、じっとこちらを睨んだ。


「わざとですね、殿下。」


「怒るな、エレノア。

私が嫉妬したのは嘘じゃない。

君にはいつでも私だけを見ていて欲しいんだ。」


そう言って、そっと唇を重ねた。



その頃。


セレナとリリアは、カフェで向かい合っていた。


「で、どうだったの?視察。レオニスとはうまくやれた?」


明るく問いかけるセレナに、リリアは少しだけ視線を落とす。


「まあね。うまく行ったとは思う。でも、、、。」


実のところ、最近のリリアの聖女活動は、

セレナの助言を受けて、レオニスの気を引くために始めたものだった。


「何?レオニスになんか言われたの?」


リリアは首を振る。


「レオニスはありがとうって言って、褒めてくれた。」


「じゃあ、良かったじゃない?」


セレナは笑う。


だが、リリアはゆっくりと言葉を続けた。


「セレナ、私ね、最初はセレナの言う通り、レオニスの気を引くためにやった行動だった。

でも、こんな偽善者の聖女の私でも、人々は私のことを信じて崇めてくれる。

だから、レオニスのこととは関係なく、本気でその人達のために何かしたくなった。

まあ、形ばかりの聖女で無力なんだけど。」


小さくため息をつく。


「いいじゃん、リリア。あんた、聖女なんだから、人々のために戦いなさい。

それになんかあっても、レオニスがきっと守ってくれる。私もいる。」


セレナは、いつものように明るく笑った。


「うん、レオニスは優しいから。」


リリアは、静かに俯く。


(優しい……本当に、優しい)


以前も優しかった。

けれど、その優しさの向こうには、どこか近づけない壁があった。


でも、今は違う。

以前よりも、ちゃんと自分を見てくれている。

認めてくれている。

それは、確かに感じていた。


それでも――


(レオニスの視線の先にいるのは……私じゃない)


セレナは、その表情から何かを察したのか、軽く肩をすくめる。


「あんた、そんな報われない恋やめたら?

リリア、可愛いし、いくらでも他の恋があるでしょう?」


「無理だもん、そんなの。レオニスより素敵な人いない。」


セレナは少し考え込む。


「まあ、光の王太子に対抗できる奴はなかなかいないか?

ちょっと、いや、大分役不足だけど、お兄様なんてどう?

ルックスはレオニスに負けてないと思うよ。」


「いやよ、あんな軽い女好き。」


「だよね?やっぱり。」


二人は顔を見合わせ、笑う。


「それに、レオニス以外なんて考えられない。

セレナは、カイルに他に好きな人がいたら、すぐ諦められるの?」


リリアはまっすぐにセレナを見る。


「そんなの諦められるわけないじゃない?

ライバルなんてぶっ飛ばして、カイル様をゲットしてみせるわ。」


セレナは勢いよくガッツポーズを決める。


「あっ、、、。」


その姿に、リリアはくすっと笑い、


「でしょ?」


と答えた。

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