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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第6章 聖女の覚悟と涙

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第69話 脅迫と提案

俺がリリアと視察をしていたその頃。


エレノアは自席で授業の準備をしていた。


その時だった。


「エレノア、私とアステリアに来い。」


アステリアの王太子、セドリックが突然そう言い放った。


あまりにも唐突な申し出に、エレノアは怪訝な表情を浮かべる。


「何を言っているの?セドリック。」


「エレノア、お前の妹のことは聞いている。

陛下の子を孕ったと戯言を言い、陛下を謀った大罪を犯したそうだな。」


その言葉に、エレノアの顔色が一瞬で青ざめる。


それでも、


「何をおっしゃるの。そんなの嘘だわ。」


と、はっきり否定した。


セドリックは淡々と続ける。


「だが、妹の相手の子の父親が現れ、

今王宮は大騒ぎらしい。

おそらく、言い逃れはできんだろう。」


エレノアは首を横に振る。


「そんなことありませんわ。」


だが、その声はわずかに震えていた。


周囲がざわめき始める。


「やっぱり、あの噂本当なの?」


「やめなさい。不敬に当たるわ。」


ざわざわとした空気が広がっていく。


その空気を無視するように、セドリックはさらに言葉を重ねた。


「エレノア、今、お前がこの国にいるのは危険なんだ。

レオニスだって、こんなことが公になれば、お前を庇いきれない。」


エレノアはぎゅっと唇を噛み締める。


「レオニスはお前を庇えたとしてもお前自身だけ。

お前の家族はどうなる?

私なら、国へ戻ってお前とその家族も保護できる。

私の妃になれ、それで全てが解決する。」


セドリックは瞳を伏せる。


「無論、お前を正妃にすることは難しい。

だが、惻妃となれば、私は誰よりもお前を寵愛し、

決して悪いようにはしない。」


そう言って、震えるエレノアの手を掴んだ。


周囲の視線が二人に集中する。


誰もが、次の言葉を待っていた。


その空気を破ったのは、レオンハルトだった。


「うるせーな、人が寝てるのに。」


机に突っ伏していたレオンハルトが顔を上げ、セドリックを睨む。


「お前、本当にそれでも王太子か?」


「なんだと?不敬であるぞ。」


セドリックが眉をひそめる。


「不敬なのは、お前だよ、ばーか。

お前、第一ここをどこだと思ってるんだよ?

アステリアか?ここはルミナリアだぜ。」


レオンハルトはため息をつく。


「一国の王太子が、後宮の噂に振り回されて、

こんな公然で、騒ぎやがって。

今日、レオニスがいなくて良かったな。」


そう言って、エレノアの手を掴んでいたセドリックの手を振り解く。


「レオニスがいたら、アステリアに進軍していただろうよ。」


「何?」


「そりゃあ、自分の女を口説かれて、いい思いする男はいねえ。

お前は王太子の婚約者を堂々と口説いているんだ。

しかも、掻っ攫おうなんて騒いでる。

これは最早、戦争レベルだろ。」


セドリックは一瞬、言葉を失う。


「それにな、クソ親父は、第9惻妃、シルヴィアにゾッコンなんだよ。

シルヴィアの男だと名乗った男はとっくに不敬として粛清されちまった。

その裏で糸を引いていた第8妃も今は監禁状態だ。」


「嘘だと思うならお前、親父の前で言ってみろ。

すぐに首を落とされるから。」


レオンハルトは不敵に笑う。


「それにな、お前、女口説くのに、脅迫じみた口説き方するんじゃない。

何が、惻妃だ。

お前の言っていることは、要するに、便宜を測ってやるから、愛人になれってことだろうが。

そんなせこい口説き文句で落ちる女がいるかよ、ばーか。」


レオンハルトの笑い声が響く。


「なんだと?私を愚弄するのか?」


セドリックはレオンハルトの胸ぐらを掴む。


レオンハルトは不敵な笑みを浮かべる。


「やろうってんなら、相手になるぜ。王子様。」


次の瞬間、セドリックの拳が振り下ろされた。


レオンハルトも応じるように拳を振るう。


「やめてください。二人とも。」


エレノアの声が教室に響き渡った。

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