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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第5章 漆黒の王子と二つの懐妊

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第61話 告げられない想い

俺は、エレノアを部屋まで送り届けた。


そこで、イザベラ夫人に声をかけられた。


「殿下、少しよろしいかしら?」


「もちろんですよ、義母上。」


と俺は微笑んだ。


イザベラ夫人は、お茶を出してくれた。


「殿下、あの子、エレノアなんですが……あのように融通が利かないと言いましょうか……。」


イザベラ夫人は、言葉を選ぶように続ける。


「完璧な妻を目指しています。

そのせいで、可愛げがないと感じられるかもしれません。

でも、それは私たち親の責任ですわ。」


イザベラ夫人は、カップの紅茶に口をつけた。


「恥を晒すようですが、私は夫が側室を持った時、怖気づき、嫉妬に狂ってしまいました。

そのせいで、醜い夫婦の姿を見せ、あの子を苦しめてしまいました。

元々は、感受性の強い、感情豊かな子でしたのに、いつの間にか、完璧な淑女と言われるまでになってしまいました。」


イザベラ夫人は、静かにため息をついた。


「でも、殿下、わかってください。

あの子は殿下のことを子供の頃から好いています。

だから、私のように嫉妬に狂い、夫に見捨てられるのが怖いんです。

臆病なのですわ。」


俺は、イザベラ夫人を見た。


「義母上、わかっております。エレノアは純粋で不器用ですから。」


そう言って、俺は微笑む。


イザベラ夫人は頷き、


「そうですわね。最近のエレノアは、少し良い意味で変わってきました。

周りが見えずに突っ走ってしまうところもありますが、きっと殿下ならどんなあの子でも受け止めてくださるでしょう。

どうか、娘をよろしくお願いします。」


と頭を下げた。


俺は恐縮しながらも、あえてイザベラ夫人に誓う。


「義母上、私は誓います。エレノアだけを愛し、必ず幸せにします。」


翌日。


俺とエレノアは、ヴィオレッタの様子を見に行った。


ヴィオレッタは、相手のことについては何も言わず、口を閉ざしていた。


それでも、振る舞いは礼儀正しい。


大臣である父に罵られようとも、耐えているようだった。


軽率な女性には見えない。


むしろ、相手を守ろうとしている。


そして俺には、ヴィオレッタの相手について、ある程度見当がついていた。


頑ななヴィオレッタに、俺はかまをかける。


「ヴィオレッタ嬢、レオンハルトは妊娠した貴方を放り出すような最低な男なのか?」


その瞬間、ヴィオレッタの顔色が変わった。


「レオンハルトは最低だな、男として。」


俺は、わざと挑発する。


「おやめください。レオンハルト殿下はご存知ありません。

それに、私はレオンハルト殿下に申し上げるつもりもない。」


ヴィオレッタは、きつく俺を睨んだ。


「やはり、そうなのか。」


俺は小さく呟く。


レオンハルト、俺の同い年の弟で、ヴィオレッタの元婚約者。


だから、ある程度の予想はついていた。


ヴィオレッタは、


「お許しください。私が悪いのです。どうか、レオンハルト殿下には……」


と泣き出す。


「落ち着け、ヴィオレッタ嬢。

私は別にレオンハルトを責める気はない。

ただ、レオンハルトにも君のことを知らせるべきだ。」


と俺は優しく諭す。


だが、ヴィオレッタは首を振った。


「いけませんわ、そんなこと。

レオンハルト殿下は、カミラ様の婿養子になる話が進んでいるのです。

そして、そのために王位復権が認められました。

ようやく、あの方の本来進むべき道に戻ったのです。

私のために、それを妨げることはあってはなりません。」


ヴィオレッタの決意は固い。


「エレノア様はご理解くださるでしょう?

私の気持ちを。」


ヴィオレッタは、エレノアを見た。


エレノアは一呼吸おき、


「ええ、わかりますわ。ですが、私も殿下の言うように、レオンハルト殿下にお伝えするべきかと。」


と静かに答えた。


レオンハルトは弟でありながら、ほとんど関わらずにいた。


そのため、どんな男なのか分からない。


これは、一度レオンハルトと話をしないといけないな。

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