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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第5章 漆黒の王子と二つの懐妊

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第51話 寵愛という名の権力

「何の騒ぎだ?」


俺は騎士団長に尋ねる。


「実は、陛下が7妃様の侍女に寵愛を与えられまして、7妃様がご立腹なのです。」


俺はため息をついた。


7妃も侍女も、かなり若い。

自分の子供ほどの年齢の妃を持つとは、国王は相当な女好きだ。


話には聞いていたが、正直呆れる。


国王は若い妃には甘く、


「だからな、これは……」


と、言い訳のように口ごもっていた。


まったく、情けない限りだ。


「殿下、来てくださいましたか?」


宰相もまた、俺にどうにかしろと言わんばかりに声をかけてくる。


「私にどうしろと?」


俺は宰相を睨む。


「女の怨念とは恐ろしいものです。7妃様は現在、最も寵愛を受けておられます。陛下も強くは出られません」


その寵愛している惻妃の侍女に手を出すとは、本当に最低だな。


俺は再びため息をつく。


正直、関わりたくはない。


だが、このままでは帰らせてもらえそうにない空気だった。


「陛下」


俺は国王に声をかける。


「おお、レオニス。良いところに来た。何とかしてくれ」


「何とかと仰られても、陛下の妃の問題でしょう。私にどうしろと?」


その間にも、7妃は声を上げる。


「わかりました。私がこんな思いをするなんて……。もう生きておられません」


「待て。余はお前に死なれては困る」


国王は慌てて宥める。


そこへ、別の妃、おそらく8妃が口を挟む。


「放っておけばいいのよ。どうせ死にはしないわ」


さらに火に油を注ぐ。


「やめなさい。このような場で争うものではありません」


二妃が制止するが、もはや収拾はつかない。


……実に醜い光景だ。


別に妃たちが、国王を純粋に愛しているわけではない。


寵愛はそのまま権力に直結する。


つまりこれは、権力の奪い合いに過ぎない。


何とも強欲な話だ。


「7妃様」


俺は静かに声をかけた。


「7妃様が死ぬ必要はありません」


7妃がこちらを見る。


「あなたに落ち度はありません。悪いのはすべて、見境のない陛下ですから」


国王が俺を睨む。


「陛下が節度を欠くのは今に始まったことではないでしょう。病気です。それも、かなり重い」


「それに、あなたのように愛らしい方がそばにいながら、他に目が向くなど、本来あり得ません」


7妃は、わずかに表情を緩めた。


「私は……美しいですか?」


「ええ、美しいです。本当に、あなたのような妃を持てることは羨ましい限りです」


俺はわざと大袈裟に言う。


「陛下も、あなたを特別に思っておられる。もしあなたが死ねば、陛下は嘆き、自らの愚かさを悔いるでしょう」


嘘くさいな、と内心で思う。


実際には、すぐに次の妃を迎えるに違いない。


だが、7妃はまだ若い。言葉をそのまま受け取る。


「だから、あなたが死ぬ必要はありません」


俺は、7妃を見た。


「死ぬべきは、あなたではない」


場がどよめく。


侍女は顔を青ざめさせ、


「陛下、お助けください」


と国王にすがりついた。


国王は黙り込む。


7妃の機嫌を取るため、侍女を切り捨てるかを考えているのだろう。


国王にとっては、ただの一夜の相手だ。


側妃になる条件は、あくまで爵位をもつ貴族であること。

身分の低い者なら、どこぞの貴族の養女にして取り立てるか、家に爵位を与える。


だが今回は、そこまでの価値もないらしい。


「しかし、侍女を殺せば、あなたは嫉妬に狂った女と噂されるでしょう」


7妃が問う。


「では、どうすればよいのです?」


俺は少し考えた。


「王宮から追放してはどうでしょう」


「そうすれば、あなたも陛下も、その侍女を目にすることはない。すべてをなかったことにできます」


7妃は黙って考える。


侍女は泣きながら国王に縋る。


「陛下、私はここを追い出されたら、行く場所がありません」


「手当くらいは出るだろう。あとは自分で何とかするんだな」


俺は淡々と言った。


国王はしばらく沈黙した後、


「……釈然とせんが、よかろう。この者を追放する。余は7妃を愛おしく思う」


と、高らかに宣言した。

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