第49話 帰るべき場所
女王の帰国の日が決まった。
いつまでも外遊から戻らない女王に自国から何度も催促があったのだ。
女王は、俺に
「レオニス、お前も一緒に来ぬか?」
と何度も言う。
俺はその度、困った顔をする。
俺は、解放されるだろうか?
女王の俺への執着を見ると不安になる。
俺は、通学はなんとか許されたが、女王の気分によっては授業中でも呼び出される。
俺にとっては、この国を出るなどありえないことだが、女王の圧力に国王は屈することはあり得るだろうな。
俺が悶々とした日々を送っている最中、ようやく動きがあった。
王太后、お祖母様が女王の元にやってきたのだ。
「女王陛下、お久しぶりですね。」
二人は挨拶をする。
「初めてあった時は、あなたはまだ、ヴァレンシア公国の王妃でした。
時の流れは早いものです。
私はこうして年輪を重ねましたが、陛下、貴方はあの時のまま、いいえ、あの時よりさらにお美しくならました。」
「で、ルミナリアの王太后が何用か?」
女王はあくまで尊大だった。
「では、単刀直入に言います。レオニスを、孫を返していただきたい。」
王太后は、続けた。
「女王、聡明な貴方もわかっているはず。いつまでもレオニスを縛れないと。
レオニスは王太子で、この国を背をわないといけません。
それに、結婚も控えています。
そろそろ若い妃達に返してやって欲しいのです。」
女王は考えこむ。
「確かにな、王太后の言う通りだ。私も理解している。」
「本当はもう少し早く解放するつもりだったが、存外、レオニスが楽しくてな。
つい、離せなかったんじゃ。」
女王は笑う。
俺も愛想笑いをした。
こうして俺はようやく、自由の身になった。
王宮へ帰る途中、
「お祖母様、ありがとうございます。助かりました。」
俺は、王太后に礼をいう。
「父上が国のために私を女王に売り飛ばすつもりかと、内心はヒヤヒヤしておりました。」
王太后は笑う。
「流石にそれはないだろう。実は、お前の妃、エレノアから嘆願があってな。」
「エレノアから。」
俺の顔はパアッと明るくなる。
「嬉しそうじゃな。体を張ってエレノアを守ったことも聞いておる。そんなに好きか?」
「好きですよ、私は、エレノアを愛しています。」
俺は、即答する。
「まあ、今回は、エレノアも寂しかったようだ。他の妃達はともかく、あれが嘆願してくるとは思わなかった。私が、そんなにレオニスが恋しいのか聞いたら、真っ赤にして頷きおったわ。」
「お祖母様、申し訳ありません。私はこのまま自分の宮へ帰ります。」
俺は、王太后へ挨拶もそこそこへ自分の宮へ急いだ。
俺は、エレノアを見るなり、抱きしめた。
いきなり抱きしめられ、
「きゃっ」
と驚くエレノア。
「殿下、人前です。」
と真っ赤にするエレノア。
「仕方ないじゃないか、君が恋しくてたまらなかったんだから。」
数日後、女王を見送る式典が執り行われた。
女王は、俺に、
「世話になったな、レオニス。礼に何か褒美をやろう。もうしてみよ。」
と仰になった。
宰相は、「魔法石」と合図を送ってくる。
だが俺は、
「入りませんよ、そんなの。私もそれなりには楽しかったですから。思い出だけで充分ですよ。」
と辞退した。
「お前は、本当におかしなやつじゃな。」
と女王言う。
宰相は項垂れていた。
女王はエレノアをみた。
エレノアは、びくりとする。
当然jだ、あんなことがあったのだから。
そして、エレノアに、
「すまんかったな。そなたのレオニスを振り回して。」
と言う。
エレノアは、
「滅相もございません。」
と大いに恐縮する。
女王は、
「これは、本の詫びじゃ。」
とエレノアに青い魔法石が施されたネックレスを渡す。
「こんな高価なもの。」
「受け取っておけ。」
女王は、言った。
「結婚式にはまたくるからの。」
「ええ、是非ともお待ちしています。」
と俺は女王を見送った。
後日、ルミナリアはヴァレンシア公国の魔法石の採掘権の2割が認められた。
宰相は、大変この結果に満足した。
また、俺には大量の金貨が送られてきた。
流石は、大国だな。
宰相が、
「殿下はこれを何に使われるんです?」
と聞く。
「そうだな、利益は還元せねばならない。
とりあえずは資金不足で頓挫していた、病院と学校の建設費用、そして残りは全国の孤児院に均等に配ることにしよう」
「殿下、尊い行いです。早速、王太子の名前で執り行います。」
と宰相はひざまづいた。




