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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第4章 女王と忠犬

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第39話 波紋の始まり

あの夜、私はエレノアを部屋まで送り届けた。


そして、バラの意味を教えてやった。


エレノアは茹で蛸のように真っ赤な顔になり、しどろもどろに言い訳をしていた。


その反応が、あまりにも可愛らしく、俺は大満足だった。


次の日の学院。


アルベルトが、いつものようにやってくる。


「レオニス、さあ、参りましょう。

私達のパラダイスへ。」


「行かない。」


俺は、即答した。


「何故?」


とアルベルトは不思議そうに首を傾げる。


「もう、行く必要がないからだ。」


きっぱりと言い切る。


「そうですか?寂しくなりますね。

きっと、レオニスが来ないって知ったら、悲しがる方も多いでしょう。」


そう言って、残念そうに肩をすくめると、結局はいつも通り付き合いの良いルシアンを連れて去っていった。


エレノアはこのところ、姫や王子の出迎えの準備に追われており、忙しそうにしている。


とりあえず、今のところ女王から俺に対する反応はない。


おそらく、水面下で様々な思惑が動いているのだろう。


姫の方も、お見合いのような茶会や舞踏会が開かれているが、まだ良い結果は聞こえてこない。


セドリック王子は、時折クラリッサを伴ってどこかへ出かけている。


どうやら、王子とクラリッサは仲の良い兄妹のようだ。


そんなことを考えていると、


「お待たせして、すみません。」


エレノアが小走りで駆け寄ってきた。


「別に、君を待つのは嬉しいことだから、気にしなくていい。」


そう言って、自然に歩き出す。


カイルが、無言でその後に続く。


俺は、エレノアにそっと耳打ちした。


「ねえ、カイルまかないか?」


エレノアはきょとんとした顔をする。


「だって、邪魔じゃないか?私はエレノアとイチャイチャしたい。」


エレノアの顔が、一瞬で赤く染まる。


エレノアとの約束。


他の婚約者の前ではいちゃつかない。

学院の生徒の前、人前でもいちゃつかない。

結婚するまでは節度を守る。


この件については、俺もかなり譲歩している。


まあ、エレノアの言うことを聞くと言った手前、仕方がないのだが。


そう思った次の瞬間――


俺はエレノアを抱き上げ、カイルの隙を突いてそのまま駆け出した。


「お前、少しは気を利かせろよ。」


とだけ言い残して。


背後で、カイルの慌てた気配がしたが、構わない。


向かったのは、以前マリアと入ったカフェだった。


エレノアは店内を見渡しながら、嬉しそうに微笑む。


「殿下、素敵なカフェをご存じなんですね?」


その笑顔に、自然と頬が緩む。


だが、


「誰とお越しになったのかしら?」


次の瞬間、じとっとした視線が向けられた。


「いやあ、偶然通りかかっただけさ。エレノアといつか来ようと思って。」


俺は笑顔で答える。


嘘は言っていない。


この日の紅茶もフルーツケーキも甘く、とても美味しかった。


そして、隣にいるエレノアの存在が、それ以上に心を満たしていた。


そしてついに。


セドリック王子とカミラ姫が学院にやってきた。


歓迎の式典の中、エレノアは堂々と挨拶を行う。


その姿は、生徒会長として申し分のないものだった。


気品と威厳を兼ね備えた、誇るべき婚約者だ。


その後、エレノアが学院内を案内しようとした時、


カミラ姫の視線が、こちらに向けられた。


そして、静かに言い放つ。


「私は、レオニス殿下に案内していただきたいですわ。」

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