第37話 すれ違いの、その先で
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ダンスが終わった後は、諸外国の者も交えて歓談の場へと移った。
華やかな音楽の余韻が残る中、貴族たちは思い思いに言葉を交わしている。
そんな中、俺は、エレノアの側を離れなかった。
エレノアは困ったように小さく眉を寄せる。
「よろしいのですか?殿下。」
「まあ、殿下のことですから、何か考えがあってのことと存じますが、、、。」
遠慮がちにそう言う。
「さあ?それはどうだろうか?私は単に君と話たかった、
だって、最近のエレノアは冷たかったから。」
その言葉に、エレノアの目が大きく見開かれる。
「殿下、今はそんなこと言っている場合では。」
周囲の視線を気にしているのだろう。
だが、俺は引かない。
「だが、こうでもしないと君はすり抜けてしまうだろ?」
エレノアは、言葉を失ったように黙り込む。
俺は、そのまま続けた。
「私は、君と仲直りしたい。以前のように。」
「それとも、君は私のことを嫌いになった?」
真っ直ぐに見つめる。
エレノアは一瞬だけ視線を揺らし、やがて答えた。
「殿下を嫌うなんて、そんなことできるはずありません。これも策略のうちですか?」
まっすぐな瞳。
だが、俺は即座に否定する。
「私は、君とラブゲームをするつもりはないよ。
私にとって、君は特別だから。いや、君しかいない。
だから、どうか私を不安にさせないでほしい。
もう、正直、限界なんだ、冷たくされるのは。」
言い切ると同時に、俺はエレノアを抱き寄せた。
驚いたように、エレノアの体がわずかに強張る。
「人が見ています、殿下。」
あわあわと戸惑うその様子すら、愛おしい。
「構わないさ、私達は公認された仲だから。」
耳元で、静かに囁く。
「全部、君のいう通りにする。失望させたりしないから。」
俺は、抱きしめる力を少しだけ強めた。
エレノアはそれ以上何も言わず、静かに身を委ねてくる。
、、、、ようやく、届いた。
そんな感覚があった。
せっかくいい雰囲気だったというのに、空気を切り裂くように声がかかる。
「殿下、申し訳ありませんが、陛下がご立腹です。」
カイルが申し訳なさそうに言った。
「そんなのほっとけよ。勝手に怒らせておけばいい。」
即答だった。
「そんな、、殿下。」
カイルは明らかに動揺している。
「私にとって、外交問題がこじれようが、陛下が機嫌を損ねようが、どうでもいい。
私にとっては、エレノアの機嫌を取ることの方が重大だ。」
はっきりと言い切る。
その様子に、アルベルトが肩をすくめる。
「レオニス、いい加減にしてやってください。
カイルが可哀想です。」
エレノアも、小さく息をついてから言った。
「殿下、行ってください。私は待っていますから。」
その言葉に、俺はわずかに目を細める。
「仕方がない、可愛いエレノアにそう言われたら。」
そう言い残し、陛下の元へ向かった。
別室では、陛下と宰相が待ち構えていた。
扉を開けた瞬間、怒号が飛ぶ。
「レオニス、一体どういうことだ?」
「まあ、陛下、落ち着いてください。殿下のことです。何かお考えが。」
宰相は宥めつつも、期待を込めた視線を向けてくる。
だが俺は、肩をすくめた。
「私は、何かやらかしましたか?」
不敵な笑みを浮かべる。
「殿下?」
宰相が頭を抱える。
「それに、あの場で一番美しかったのは、エレノアでした。
それはまごうなき真実。
それとも、陛下と宰相はまさか、私のエレノアはあの二人に劣るとでも?
そうなら、かなり老眼進んでますよ。」
平然と言い放つ。
「そういう話をしているんじゃないわ!」
国王の怒声が、さらに大きくなる。
次の瞬間。
グラスが、こちらへと飛んできた。




