第35話 嵐の前の静けさ
毎週土曜日21時更新。
雨の日企画で、更新します。
あれから、俺達は平穏な日々を送っていた。
アルベルトは少しは自重するかと思ったが、こいつはやはりブレない。
「レオニス、ルシアン、お待たせしました。
新しい花園見つけましたよ。」
と、嬉しそうにやってくる。
「私は、絶対に行かんからな。」
ルシアンは全力で拒否する。
「お前、本当にブレないな。」
俺は呆れた。
「レオニス、ルシアン、この世は男と女しかいないんですよ。
人生を楽しまなくては。」
ともっともらしいことを言っているが、単に遊びたいだけだろう。
「お前、飽きないのか?」
と俺は聞いてみる。
「全く。レオニス、どうしたんです?」
「別に。」
と俺は短く答えた。
あの件が終わってからも、エレノアとはしっくりきていない。
最近のエレノアは、何か考え事をしていることが増えた気がする。
ただ、クラリッサやリリアのお茶会や舞踏会への誘いは増えた。
だが、エレノアからは一度もない。
エレノアとの会話は、挨拶を除き、業務報告のようなものだった。
嫌われるよりも、無関心でいられることの方が辛い。
「レオニス、参りましょう、私達のパラダイスへ。」
そうして、アルベルトに押し切られる俺とルシアン。
だが、俺の心は満たされることはない。
むしろ、虚しさだけが残った。
そんな中、国王からある命令が下された。
西の大国、ヴァレンシア公国の摂政女王、エリザベート・ヴァレンシアの接待役だった。
女王は年齢不詳の妖艶な美女。
元々は王妃であったが、夫と息子を亡くしたため、幼い孫に代わり、王を務めている人物。
希少価値の高い魔法石が採れるため、潤っている、我が国より格上の相手だ。
だが、その女王には無類の男好きという噂がある。
若い男のエキスを吸っているという、いわくつきの人物だ。
国王は、俺にその接待を命じたのだ。
「陛下、私を何だと考えているのです。私は王太子です。
男娼ではありませんよ。」
俺は陛下に噛みついた。
「わかっておる。じゃが、お前の得意分野じゃろ?」
と国王は平然と言う。
宰相も大臣も、異論はないらしい。
さらに厄介なことに、東の大国コーネリア公国のカミラ姫も、こちらに留学してくるらしい。
カミラ姫は第一王位継承者、次期女王となる人物だ。
しかも、コーネリア公国は交易の要となっている。
そのため、こちらも我が国より格上で、無視できない相手だ。
さらに、カミラ姫の目的は婿選び。
「安心せよ。王太子のお前を婿にやることはできん。
余には、カミラ姫と釣り合いのとれる王子はおらん。
そのため、お前の従兄弟の誰かが選ばれるようにせよ。」
と国王は言った。
最後に、アステリア王国からも第一王子セドリック・アステリアが留学してくるらしい。
なんだか、騒がしくなる予感がした。




