表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第4章 女王と忠犬

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/47

第34話 王の責任

毎週土曜部21時更新

本日も雨にため、更新いたします


国王が退出した後、場の空気は一気に緩んだ。


張り詰めていた緊張が解け、自然と会談のような流れになる。


「殿下、今回も大いに乗り切りましたな。」


騎士団長が感心したように言う。


「どうかな?」


と俺は軽く肩をすくめた。


ルシアンは、変わらず真面目な顔で口を開く。


「父上、そうは言っても、私の子供を孕っているんです。

せめて、子供のためにも、今後の見通しを立てないと。」


どこまでも堅物だ。


一方でアルベルトは、厄介事が終わった途端、完全に気を抜いていた。


明後日の方向を向いている。


当然、その態度にクラディス伯爵の雷が落ちる。


エレノアもまた、静かに問いかけてきた。


「殿下、お子はどうなさるんですか?」


「殿下のお子でしたら、王宮で引き取りませんと。」


その表情は、真剣そのものだった。


それを見て、俺は思わず口元が緩む。


「エレノア、そんなことを考えていたのか?

君は、可愛いな。」


エレノアは、不思議そうにこちらを見つめる。


「子供なんて、最初からいないさ。」


「はい?」


エレノアだけでなく、アルベルトとルシアンも同時にこちらを見る。


「第一、3人同時に妊娠なんて、おかしいだろ?

要するに、私達はいいカモだと思われたんだよ。」


「レオニス、あなた、最初からわかっていてんですか?」


「ああ。そもそも彼女達とて、側室や惻妃を望んでいたわけではあるまい。軽率な貴族から金銭を引き出すつもりであったに過ぎぬだろう。」


それを聞いたルシアンは、今さらながら怒りを露わにする。


「なんと、不敬な。」


「ルシアン、怒るな。別に彼女達だけが悪いわけじゃないだろ?

私達も実際に楽しんだんだし。」


俺は落ち着いた声で諌めた。


「じゃあ、最初からお金を渡しておけば。」


アルベルトが軽く言った瞬間、伯爵の拳が落ちる。


「アルベルト、さっきも聞いたが、お前、彼女を満足させるだけの金を用意できるのか?」


アルベルトは言葉を失い、黙り込む。


「それにな、金だけ渡しても解決しないさ。プライドを傷つけたら、遺恨を残す。

女の怨念ほど怖いものはないからな。」


「アルベルト、遊ぶなとは言わない、だが、最後まで相手に恥をかかすな。」


俺は静かに言った。


ルシアンはまだ納得していない様子で口を開く。


「だからと言って、あんな下賎なものに舐められるのは。」


「ルシアン、私達はそんなに偉いのか?王だ、貴族だと言っても何の生産性もない。

ただ、国民の上に成り立っているだけの存在にすぎない。

そういう意味では、私達は彼女達より劣っている。」


場の空気が少し変わる。


「お前達は、なんで彼女達が身を落とすことになったか、考えたことはあるか?

彼女達が身を落としたのは、貧しいからだ。そして、そういう道しか選べない現状なんだ。」


自然と、前世の自分がよぎる。


好きでホストになったわけじゃない。


生活のため、梨香子の夢を支えるためだった。


「だが、彼女達が悪いのか?違う。

そういう道しか選ばせることしかできない社会と制度に問題がある。

つまりは、王侯貴族である、私達の責任だな。」


場が静まり返る。


やがて宰相が、静かに口を開いた。


「殿下、尊いお考えですな。して、殿下はどうなさるおつもりで?」


その問いは、試すような響きを持っていた。


「そうだな、とりあえず、一部の貴族だけでなく、全ての女性に、国民に教育をつけることかな?」


俺は答える。


「自分で、人生を選べるような武器を身につける。最低限、文字の読み書きや計算はできた方がいいだろう。」


その言葉に、ざわめきが広がる。


「女や下民に教育?」


「そうだ、教育の機会は平等に与えるべきだ。」


俺ははっきりと言い切る。


「貴族ではない女に教育?」


ルシアンは納得していない。


「ルシアン、単純に力の差はあっても、能力まで劣るとは限らないだろう。現に、私もお前も、テストではいつもエレノアに負けているじゃないか。」


俺は軽く笑う。


「それに私がもし、王となったとして、女性が宰相でも騎士団長でも、優秀なら構わないが。」


俺は言った。


それは、自分にとっては当たり前のことだった。


だが――


その一言が、この場にいる者たちに与えた衝撃は、決して小さくなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ