第24章 もう一人の転生者
土曜日の21時に公開します
本日も雨のため、更新します。
「セレナ、あなたは何を言っているんですか?」
アルベルトは珍しく頭を抱えた。
「え?だから、カイル様と結婚するんだってば」
あっけらかんと言い放つ。
「あなたはレオニスと婚約したでしょう?
しかも、あなたが望むならヴァルディス家に縁談を持っていく話もあったのに、それを止めて、王太后陛下にレオニスとの婚約を願い出たのはあなたですよね?」
アルベルトの声がわずかに荒くなる。
「そうだけど。それはカイル様と結婚するためだもん」
悪びれもなく続ける。
「王太后陛下にもちゃんとそう言ったわよ?“面白いからやってみなさい”って、許してくれたし」
つまり、王太后も承知の上か。
あの時は呆然としていて気づかなかったが、ヴィオレッタやクラリッサにはそれなりの“国益”があった。
だが、セレナだけは“本人の希望”と曖昧だった。
……なるほど、そういうことか。
「だって、カイルルートに入るには、レオニスとの婚約が絶対条件だったんだもん」
その一言に、俺は反応する。
「セレナ……君は、まさか転生者なのか?」
セレナも、はっと目を見開いた。
「レオニスもなの?どうりでおかしいと思った」
セレナの話をまとめると、こうだ。
日本ではオタクの女子高生。
この世界の元となったゲーム――
『光の聖女と王子たち』のプレイヤーで、カイル最推し。
ある日、交通事故で命を落とし、半年前にセレナとして転生したらしい。
俺も、ある程度は自分の経緯を話した。
「えっ、ホストだったの?通りで“それっぽい”と思った」
「それ、褒めてるのか?」
思わず返す。
俺とセレナの会話に、アルベルトとカイルは完全に置いていかれていた。
「レオニス……あなた、よくその話を理解できますね?」
アルベルトは半ば呆れたように言う。
当然だ。
だが、俺にとっては重要な情報だった。
少しでもこの世界のことを知りたい。
そう思ってセレナから情報を引き出そうとするが――
「ごめん、私、カイルしか興味なかったから。カイルルートしかやってない」
……役に立たない。
心底そう思った。
しかも、さらに厄介なことに。
「リリアはね、たしかレオニスルートに入るようにイベント起こしたはず」
セレナは自信満々に言った。
やはりか。
リリアが俺に執着してくる理由が、これで繋がる。
「なあ、セレナ。ひとつ聞くが――このままでいいのか?」
「へえ?何が?」
きょとんとした顔で返してくる。
「君はリリアじゃない。それに……光魔法の訓練だってあるだろう?セレナ、君、光魔法使えないんじゃないか?」
その瞬間、セレナの顔が一気に青ざめた。
本当に、残念なやつだ。
心の底からそう思った。




