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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第3章 婚約ではなく、盟約

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第21話 王女と王太子

毎週土曜日21時更新です。


雨が降ってきたのに、気がつき、急いで更新しました。


雨の日企画、第3弾、お楽しみください。

あれから、カイルは何も言わなくなった。


いつもなら軽口を叩くアルベルトも、ルシアンも黙ったままだった。



次の日、学園は大騒ぎだった。


もちろん、俺とマリアの件だ。


煩わしいと思いながらも、俺は無視を決め込もうとしていた。


ただ、昨日とは違う。


カイルは、絶対に俺から目を離さない。


そのせいで、昨日のように抜け出すことはできそうになかった。


エレノアは、いつも通りだった。


責めることも、問い詰めることもない。


……本当に、愛想を尽かされたのかもしれないな。


俺は、エレノアに何か言われたかった。


責められてもいい。怒られてもいい。


でも――エレノアは、何も言わない。


そのことが、何よりも俺を苦しめていた。


昼頃になって、マリアが退学処分になるという話が耳に入った。


さすがに放ってはおけない。


俺は、すぐにその場へ向かった。


そこには、リリア、クラリッサ、セレナ、ヴィオレッタ、エレノア。


そして、マリアがいた。


マリアは明らかに怯えている。


「これはどういうことだ?」


俺が問いただすと、教師の一人が口を開いた。


「殿下。この者は罪を犯しました。殿下を唆し、連れ回したのです。普段の生活態度も乱れており、殿下を惑わせました。よって―」


「違うな。」


俺は遮った。


「マリア嬢を唆し、連れ回したのは私だ。罰するというなら、私を罰せよ。」


「いえ、そのようなこと……殿下を罰するなど……」


「なぜだ? 学院を抜け出し、サボったのは私も同じだろう。

教師なら、平等に裁くべきじゃないのか?」


静かに、だがはっきりと言い切る。


「学院では身分は関係ない。そう教えているのは、あなた達だろう?」


「それに、マリア嬢を誘ったのは私だ。王太子に誘われて、断れる人間がどれだけいる?」


俺は、教員を睨む。


「卑怯なのは、私の方だ。」


「罵るなら、私を罵ればいい。」


その場が、しんと静まり返る。


「ですが、レオニス殿。」


クラリッサが口を開いた。


「婚約者のいる殿方に軽々しくついていくのも、貴族としてどうかと思いますが。

あらぬ噂が立てば、嫁入りにも影響が出ましょう?」


――なるほど。


そう来るか。


「つまり、私がマリア嬢の名誉を傷つけた、と?」


軽く笑ってみせる。


「なら、責任は取らないとな。」


ざわめきが広がる。


「側妃が五人だろうが六人だろうが、私は構わない。」


「だが、いいのか?クラリッサ姫。」



「あなたは王女でありながら側妃になる。

その上で、さらに寵愛される側妃が別にいるとしたら?」


「今の四人は、国益のために選ばれた存在だ。」


「だが、マリア嬢は違う。」


俺は、一呼吸ついて、続けた。


「私が初めて自分で選ぶ側妃になる。」


俺は、クラリッサを見た。


「その意味がわからない姫ではないでしょう?」


「それが、あなたの祖国アステリアでどう見られるかも。」


クラリッサは、黙った。


「それに、あなたが一番わかっているはずだ。」


俺は続ける。


「私とマリア嬢の間に、何もないことを。」


「何せ、アステリアの兵が私をずっとつけまわしていたのだから。」


一瞬の沈黙のあと、


クラリッサは、ふっと笑った。


「……お見通しでしたか、レオニス殿。」


そして、あっさりと認める。


「私は少々、嫉妬深くてな。つい夫の行動を監視してしまう。」


「あなたほどの殿方なら、他の女に取られないか心配で仕方がない。」


「……別に責める気はありませんよ。」


俺は肩をすくめる。


「おかげで、安心して出歩けた。」


クラリッサは、くすりと笑う。


「レオニス殿。どうせ政略結婚なら、見目麗しい男の子供を産みたいと思っていた。」


「あなたは見た目だけじゃない。度胸もあるし、頭も切れる。」


「……ますます、あなたの子が欲しくなった。」


とても、一国の姫の発言とは思えない大胆な発言だった。


「それは光栄ですね。」


軽く笑って返す。


「ですが私は臆病なもので。種馬にされて、用済みで切り捨てられるのは御免ですよ。」


俺は、笑顔で答えた。


その後、マリアも俺も処分は見送られた。


マリアは何度も頭を下げてくる。


だが、


「こちらの事情に巻き込んでしまって、すまなかった。」


そう言って、俺の方から頭を下げると、彼女は慌ててさらに恐縮していた。


帰り道、カイルが口を開いた。


「殿下……すべて承知の上で、昨日の行動を?」


「半分はな。」


軽く答える。


「残り半分は、ただの気まぐれだ。」


カイルはわずかに眉をひそめた。


「ですが……アステリアの兵が、あなたに危害を加える可能性は?」


「ないな。」


即答する。


「今の段階で、あちらにメリットがない。」


少しだけ視線を落とす。


「もし狙われるとしたら――クラリッサ姫との間に子ができた後だろう。」


カイルは、何も言わなかった。


ただ、どこか複雑そうな表情を浮かべていた。


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