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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第二章 婚約者の本当の姿

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第17話 命じられた婚約

毎週土曜日21時の更新です

5月24日21時、初めて番外編を公開します。

意外なことに、俺の謹慎は数日でとけた。


あれだけ、国王を怒らせたのだ。

もっと長くなるものと覚悟していた。


謹慎が解けるとともに、俺は国王から呼び出された。

今から国王に謁見しにいくところだった。


謁見の間には、国王の他に、


宰相、騎士団長、魔法師団長、クラウゼル侯爵、エレノア、そして、リリアがいた。


他にも神官関係者など、主要な者が集まられているように見える。


俺は、


「陛下、レオニス参りした。」


と挨拶をした。


錚々たる面々の前で、国王は一体何をしようというのだろうか?


俺は、不意にエレノアを見た。


謹慎して以来、エレノアに会えていなかった。

たかが、数日ぶりなのに、もう何年も会っていないような気がした。


エレノアは相変わらず、凛として美しかった。


が、その面持ちには、緊張が見られた。


「レオニス、王太子レオニスに命じる。」


国王が口を開いた。


「はっ、何なりと。」


俺は、跪く。


「聖女、リリアと婚約するように。」


次の瞬間、俺は耳を疑った。


宰相とリリアは、その様子から事前に知っていたように見られる。


エレノアは表情は変えていない。

でも、拳を静かにギュッと握りしめていた。


「できません。」


俺は、即答した。


ざわり、と謁見の間が揺れた。


「できません、だと……?」


低く押し殺した国王の声に、空気が一変する。


「殿下、それはあまりにも……」


騎士団長が口を開きかけるが、


「口を挟むな。」


国王の一言で、場が凍りつく。


「レオニス、お前は自分の立場を理解しているのか。」


「理解しているつもりです。」


「ならばなぜ拒む。」


国王の視線が鋭く突き刺さる。


「これは国のための決定だ。」


「国のため、ですか。」


俺は、思わず嘲笑する。


「その一言で、すべてが許されるのですか。」


一瞬、場が静まり返る。


神官の一人が口を開いた。


「聖女様は国の象徴です。王家と結ばれることは、民の信仰の安定にも繋がります。」


「つまりはこれは、民のためでもあるのです。」


宰相が言う。


「……なるほど。」


レオニスは小さく息を吐いた。


「では私は、そのための駒ということですか。」


再びざわめきが起こる。


「できるできないなど、お前の意思は聞いていない、これは命令だと言っているだろうが。」


国王は言った。


「私には、エレノアという婚約者がすでにいます。」


俺も引かなかった。


「それは、わかっている。だから、こうして、クラウゼル侯爵やご令嬢にも同席してもらっている。」


国王は続けた。


「何も、お前とクラウゼル侯爵令嬢との婚約を破棄しろと言っているのではない。

聖女とも婚約しろと言っているのだ。」


俺は、最初、国王の言っている意味がわからなかった。


俺のいた日本では、一夫一妻が当たり前。

ただ、この世界では、確かに一夫多妻制は認められている。


だが、俺自身は、エレノア一人を妻にすると決めていたのだ。


「私は、まだ王太子ですが。」


無意識に出た俺の言葉は、間抜けなものだった。


「それは、わかっておる。だが、前例がないわけではない。

国のためにもそれが一番だと考えたんだ。」


国のため、またそれか。


国王であれば、私情より国優先。

おそらく、国王自体もそうしてきたのだろう。


「それでも、俺はエレノア以外と婚約する気も結婚する気もありません。」


俺は、キッパリという。


「いつまで、そんなわからんことを言っているのだ。」


国王は怒鳴る。


「お前は、この国の王太子なんだぞ。」


「だったら、私は、王太子を、、、・。」


俺が王太子なんかやめてやると言いかけた時、再びひどい頭痛に襲われる。


レオニス、お前なのか。


お前はエレノアを思っているのは知っている。

だが、お前は国王の顔色見ながら、ずっと言いなりになるのか。


俺は、レオニスに問いかけた。


すると、レオニスが聞き入れたのか、頭痛は消えた。


「私が王太子に相応しくないのであれば、王太子の座を降ります。」


「殿下、何を言っているのです?」


宰相が呆然とした。


俺自身は、王太子の座などどうでもいい。

むしろ、重すぎる鎧のようだった。


多くの民の幸せよりも、一人の女性を幸せにして、穏やかに生活したい。


おそらく、王太子といった器では、ないのだろう。


周囲は、驚き沈黙する。


国王は頭を抱えた。


沈黙を破ったのは、エレノアだった。


「なりません、殿下。」


「殿下、女子一人のために殿下が王太子の地位を退くなど、あってはいけません。」


エレノアは俺を見て、さらに言い放つ。


「殿下が王太子を辞めるというなら、私は殿下との婚約を破棄します。」


「エレノア、、、、。」


俺は、驚いてエレノアを見た。


俺とエレノアの間に入ってきたのはリリアだった。


「ひどいです……エレノア様。」


リリアの震える声が響く。


「殿下は、エレノア様のために仰ってくださっているのに……」


涙を浮かべながら、首を横に振る。


「それなのに……婚約を破棄するなんて……」


「やはり、エレノア様にとって大切なのは……王太子妃というお立場なのですね。」


ざわり、と視線が集まる。


「どう受け取っていただいても結構です。」


エレノアは静かに言った。


「ですが、聖女様。」


ゆっくりとリリアを見る。


「殿下のお立場を軽んじるようなご発言は、お控えください。」


場の空気が張り詰める。


「わたくしは殿下をお慕いしております。」


リリアの瞳が、わずかに細くなる。


「……私はただ、殿下のお心を大切にしたいだけです。」


「でしたら――なおさらです。」


エレノアは言い切った。


「殿下が後悔なさる道を、選ばせるわけにはまいりません。」


俺は呆然とする。


ただ、俺にはエレノアが俺を思って言ってくれているということがわかった。


エレノアは言い訳しなかった。


「殿下、一つだけ言わせていただきます。

軽々しく、責務を放棄するなど仰ってはなりません。殿下は誰よりも民を思い、

何よりもこの国のことを考えておられました。殿下の理想を叶えるためにも、敢えて申し上げます。

私のことなどお気になさらず、殿下の道を進むため、聖女と後婚約なさいませ。」


キッパリという。


顔色一つ変えない。

冷たく見える。


だが、エレノアはかすかに震えながら、自分の感情を抑えているのがわかる。


クラウゼル侯爵も


「娘の言うとおりです、殿下。どうぞ、陛下の申し出をお受け入れください。」


と言った。


「クラウゼル侯爵、ご令嬢のお二方がそう言っておられるのです。

どうか、ご英断ください。」


宰相が言う。


国王も言った。


「クラウゼル侯爵、令嬢ご両人も了承したことだ、レオニス。これはお前の意志など関係ない。これは決定事項だ、良いな。」


こうして、俺の意思とは関係なく、リリアとの婚約が決まった。


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