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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第8章王家の婚姻

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第108話 聖女の婚約④

「はあ〜……。」


リリアは深いため息をついていた。


「何ため息ついてるのよ。幸せ逃げるよ。」


いつものように、セレナが軽口を叩く。


「リリア、ルシアンのことを考えているのですか?」


エレノアが優しく尋ねた。


リリアはエレノアを見る。


「そうなの。

もう暴走しちゃって、私の気持ち置き去りなんだから。」


頬を膨らませる。


「私、ルシアンと結婚したいなんて、一言も言ってないのに。」

そう言って、むくれた。


ヴィオレッタが不思議そうに聞く。


「リリア、ルシアンのこと嫌いなの?」


リリアは少し考えてから答えた。


「そんな風に見たことなかった。

だって、私、ずっとレオニスしか見てなかったもん。」


今は、リリア、セレナ、エレノア、ヴィオレッタのいつものお茶会だ。


「まあ、“光の王太子”と比べたら、ルシアンも可哀想だよね。

あいつ、ずるい男だから。」


セレナは肩を竦める。


ヴィオレッタも小さく頷いた。


エレノアは、どこか複雑そうに苦笑している。


「ねえ、ところでリリア。

前から聞きたかったんだけど、あんた、レオニスのどこが好きだったの?」


セレナは興味津々で聞いた。


「えっ?だって、かっこいいじゃん。」


リリアは即答する。


「何それ、見た目ってこと?」


セレナは茶目っ気たっぷりに笑う。


「違うわよ。

言うことも、することもかっこいいじゃない。」


「スマートだし。

私は、華のある男がタイプなの。」


リリアは言い切った。


「まあ、あの男と比べたら、全ての男が地味に見えるわ。」


セレナは呆れたように笑う。


「でも、ルシアンも悪くないと思うけどね。

ズレてるけど、あんたに真剣だし。」


「見た目もそこそこいいし、何だかんだ言って、天才魔術師様じゃん。」


ヴィオレッタも賛同する。


「私も、充分ありだと思いますわ。」


リリアは顔を赤くしながら、ぷいっとそっぽを向いた。


だが、その様子は、まんざらでもなさそうだった。


エレノアは、そんなリリアを静かに見守っていた。


一方その頃――


事件は起きていた。


いつまで経っても帰ってこないルシアンを迎えに、

宰相がヴァンデル侯爵家を訪れたのだ。


「ルシアン、いつまで他家に迷惑をかけているんだ。帰ってこい。」


「嫌です。帰りません。父上が認めてくださるまでは。」


宰相は深くため息をついた。


「ルシアン、そんなに聖女様が良いのか?」


ルシアンは真っ直ぐ父を見た。


「はい。」


迷いなく答える。


「私は、リリアを一目見た時から惹かれていました。」


「リリアを諦めるくらいなら、死んだ方がましです。」


ルシアンは、そう叫んだ。


そこまで本気なのか。


宰相は額を押さえながら、再びため息を吐く。


「……わかった。

聖女様へ婚約の申し入れをしよう。」


ついに折れた。


「父上……では、認めてくださるのですね!」


ルシアンの顔が一気に明るくなる。


「だが、聖女様が何と言うかは分からんからな。」


「はい!断られても、絶対に諦めません。」


ルシアンは力強く言い切った。


「やったな、ルシアン。」


レオンハルトは笑みを浮かべる。


「レオンハルト、ありがとうございます。

あなたのおかげです。」


そう言って、ルシアンとレオンハルトは固く手を取り合った。


――だが、その二人の頭からは完全に抜け落ちていた。


そもそもの発端が、リリアの“偽装婚約計画”だったことを。

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