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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第8章王家の婚姻

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第108話 聖女の婚約③

ルシアンは、行く当てもなく街を彷徨っていた。


父である宰相は、


「お前に聖女様の夫は務まらない。」


と頭ごなしに反対した。


だが、ルシアンは諦めきれなかった。


リリアがレオニスの惻妃候補として挙がった時、

ルシアンは一度、身を引こうとした。


それは、リリアの気持ちを第一に考えた結果だった。


リリアを忘れるため、アルベルトの遊びにも付き合った。


だが、忘れようとすればするほど、想いは募るばかりだった。


リリアがレオニスとの婚約を解消した時。


ルシアンは、嬉しかった。


もちろん、リリアには申し訳ないと思った。


だが、それでも――嬉しいという感情の方が勝ってしまったのだ。


だから、今回ばかりは反対されたからと言って、諦めるわけにはいかなかった。


とはいえ、勢いのまま家を飛び出したため、

行く当ても、金もない。


これからどうするべきか――


そんな時だった。


「ルシアン?お前、何してるんだ。こんなところで。」


偶然通りかかったレオンハルトが声をかける。


ルシアンは事情を説明した。


すると、レオンハルトは意外にも真面目な顔で頷く。


「そうか。お前、真剣なんだな。」


そして、


「なら、力になる。」


そう言って、ルシアンを自分の邸宅へ連れて帰った。


こうして、ルシアンのヴァンデル侯爵家での居候生活が始まったのである。


一方その頃。


宰相は、深く頭を抱えていた。


これまでルシアンは反抗らしい反抗もなく、

優秀で聞き分けの良い息子だった。


そのルシアンが、まさか家出するとは思わなかった。


しかも、


「聖女様を娶りたい。」


などと言い出すとは。


だが、何だかんだ言っても、大切な一人息子だ。


内心では心配でたまらなかった。


そんな宰相の不安を打ち消したのは、財務大臣の一言だった。


「宰相、実はお宅のご子息、数日前から我が家でお預かりしておりますので。」


宰相は、安堵の息を吐く。


「それは、ご迷惑をおかけして申し訳ない。

すぐにバカ息子を迎えに行きます。」


安心すると同時に、怒りも込み上げてきた。


財務大臣は苦笑する。


「事情は聞きましたが、何故そこまで反対なさるのです?

聖女様との結婚であれば、悪い話には思えませんが。」


宰相は、ため息をついた。


「聖女様は素晴らしい御方だ。

殿下のように器の大きい方であれば、お似合いだろう。」


「だが、ルシアンは器量が小さい。

とても聖女様に釣り合うとは思えん。」


それが、宰相の本音だった。


本来であれば、ルシアンに宰相職を継がせたい。


だが、本人は政治よりも魔法研究に興味を示している。


そのことについては、半ば諦めている。


だからこそ、なおさら聖女の夫には相応しくないと思ったのだ。


ヴァンデル侯爵家に身を寄せたルシアンは、

そのまま学院へも通っていた。


「リリア、必ず説得するから、待っていてくれ。」


ルシアンは真剣な眼差しで言う。


レオンハルトも腕を組みながら、


「そうだ。お前は黙って待ってろ。」


と同調した。


「ねえ、殿下。あれ、放っておいてよろしいのですか?

確かリリアは、偽装婚約を望んでいたような……。」


エレノアが小声で尋ねる。


俺は苦笑する。


「そうだな。すでに当初の目的を忘れているな。」


そう言って、優しく微笑んだ。

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