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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第7章 正妃の資質

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第104話 偽りの姫 後編

「国王陛下、発言をお許しください。」


そう申し出たのは、アステリアの大臣だった。


「許す。」


国王は尊大に言う。


「ありがとうございます、陛下。」


大臣は頭を下げる。


「確かに今回の件は、クラリッサ姫の監督責任は免れません。

ですが、姫の言うように、行き過ぎた忠誠心故に起こしてしまった過ち。

当事者本人も、自ら過ちを認め、命を断っております。」


「ですので、どうか両国のためにも、穏便に済ませてはいただけませんでしょうか?」


俺は、キッパリと言った。


「アステリア国王陛下にも以前申し上げたが、友好と婚姻は本来、切り離して考えるもの。」


「私は、たとえ侍女がしでかしたこととはいえ、姫を信頼できない。

姫は、王族同士の結婚に信頼と国益が必要であると言ったが、

すでに信頼関係は破綻している。」


「故に、婚約は直ちに破棄、国へ戻られよ。」


「レオニス殿下、お若いな。」


大臣は俺を嘲笑う。


「そんな理屈だけで、王族同士の婚姻が解消できるわけありません。」


「それに、元はと言えば、このような事態を招いたのは、殿下の責任ではありませんか。」


「聞くところによると、殿下はエレノア嬢に骨抜きにされて、周りが見えなくなっていると言うことを聞いています。」


「エレノア嬢は、大変嫉妬深く、惻妃候補を次々と排除なさっているのでしょう。

この国の聖女リリア様も、その被害に合われたとか。」


「しかし、殿下はエレノア様の色気に惑わされ、現実が見えていない。

一国の王太子ともあろうものが情けない。」


俺は、ため息をついた。


「どうあっても私の寵妃の評判を下げたいと見える。」


「だが、そのような事実はないし、ここにいる誰もがそうでないことは知っている。」


「私がエレノアに溺れていることだけは、事実だが、それ以外の真実はない。」


「クラリッサ姫が私の関心を得られないとを堂々と言うが、

それは、クラリッサ姫が私のエレノアより劣っていると言っているのと同じだな。」


「何?クラリッサを侮辱するか?」


セドリックが声を荒げる。


「侮辱するも何も、エレノアの魅力に惑わされているのは、セドリック王子、あなたも同じであろう。

私の婚約者と知って、なおも求婚するのだから。」


俺は、セドリックを見て、鼻で笑う。


「だが、残念なことにエレノアは、セドリック王子、あなたには興味がないと見える。

むしろ、迷惑がっていたぞ。」


「今日この場で、はっきりと言っておく。

今後、エレノアに言い寄ったりしたら、許さない。」


「私はアステリアへの進軍も厭わないことを宣言する。」


大臣の顔色が変わる。


「セドリック殿下、それは誠にございますか?

他国の王太子妃を妃に娶るなど、あなたはアステリアを戦場にするおつもりか?」


セドリックは何も言わない。


これまで黙って事の成り行きを見守っていた国王が口を開いた。


「両者、それくらいにせよ。」


国王は、ため息をつく。


「大臣の言う通り、これ以上はこちらもことを大きくするつもりはない。」


俺は国王を睨む。


「じゃが、クラリッサ姫にアステリアの大臣よ。

お前達はもう少し殊勝な態度を示すがよかろう。」


「王太子とアステリアの縁談は、確かに両国の友好を強化するためのものだ。」


「本来であれば、王妃の娘との婚礼をと望んでおったが、

王太子にはすでに決まった相手がおり、それは叶わなかった。」


「それで、姫を惻妃にとのことであったが、それは表向きの話。」


国王の言葉に、クラリッサの顔色が変わった。


「実は、アステリア国王から直接頼まれたのだ。」


「クラリッサ姫、そなたの母は最下層の奴隷。

それを国王の寵愛を受け、その一族は子爵まで成り上がった。」


「だが、それでは満足せずに、国を揺るがすような大罪を起こし、

一族は皆殺しとなった。」


「そなたは、姫であるが罪人の娘でもある。

国に居場所がないゆえに、王太子の惻妃として迎えてほしいと国王に頼まれたのだ。」


「娘を持つ父としては、余も国王の気持ちはわかる。」


「だから、惻妃ということで、承諾したのだ。」


国王は、一呼吸置いた。


「余の言いたいことは、わかるな。」


「自分の立場をわきまえよ。

決して王太子の寵妃と争うことを考えず、

王太子の関心を得られるように努力せよ、良いな。」


国王は、キッパリと告げた。


クラリッサには、先ほどまでの勢いはなかった。


俺は、出自や身内の罪など、クラリッサ本人の責任ではない――そう思った。


だが、あえて口にはしなかった。


この世界は、国家反逆罪、特に王室を侮辱するような罪人には厳しい。


そして、それは無関係の家族や身内にまで及ぶ。


なんとも、不条理なことだな。


俺は、そう思わずにはいられなかった。

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