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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第7章 正妃の資質

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第101話 王太子妃の補佐官 後編

俺は、王太后の宮を出ると、ぐったりと疲れていた。


そんな俺を、エレノアが笑顔で出迎えてくれる。


「お帰りなさいませ、殿下?お疲れですか?」


その可愛い笑顔に、俺は一気に癒された。


「エレノア。」


俺は思わず、エレノアを抱きしめる。


突然抱きしめられたエレノアは、「きゃっ」と小さく声を漏らした。


「エレノア、君はまるで天使のようだ。

私は今、怖い魔女達にいじめられて、とても疲れているんだ。

いやしてくれないか?」


耳元で囁く。


――その瞬間。


背後に、はっきりとした気配を感じた。


振り返ると、チェルシー夫人が冷ややかな目でこちらを見ている。


「殿下にとって、私達は悪い魔女なんですね。」


ぞくり、と背筋が震えた。


何故だろうか、この人には頭が上がらない気がする。


エレノアが不思議そうに俺を見る。


「あの方は?殿下?」


「ああ、こちらは、チェルシー夫人だ。

しばらく、エレノアの補佐官としてつとめることになったんだ。」


俺はエレノアにチェルシー夫人を紹介する。


「まあ、私はエレノア・フォン・クラウゼルです。

チェルシー夫人、よろしくお願いいたします。」


「私は、ローズ・チェルシーと申します。

エレノア様、どうぞよろしくお願いします。」


チェルシー夫人も丁寧に挨拶を返した。


「エレノア様は、殿下のお心を掴まれるだけあって、美しく成長なされましたね。」


目を細める。


エレノアは小さく首を傾げた。


「私は以前、殿下の母君であるアンネローゼ様に仕えておりました。

それで幼い殿下とエレノア様にも面識があるのです。

もっともお二人は幼かったので、覚えておられないかもしれませんが。」


「まあ、そうなのですか?」


どうやらエレノアはチェルシー夫人を気に入ったようだった。


応接室では、いつもの面々が呑気にお茶を飲んでいた。


エレノアがチェルシー夫人を紹介する。


すると、セレナが唐突に口を開いた。


「エレノアも大変だよね。あんな大姑がいて。」


「あんな怖いおばあちゃん、はじめてみた。なんで、姑ってああなんだろう。

ネチネチネチネチと嫁の粗探しばかりして。」


セレナはため息をつく。


「うちもさあ、カイルママがうるさいんだよ。

レオニスと違って庇ってもくれないし。」


「セレナ、あなたは私の援護がなくても充分、母上とやりあえているではないか?」


カイルは珍しく頭を抱えていた。


どうやらヴァルディス男爵家でも、嫁姑の小競り合いは絶えないらしい。


「それに比べて、ヴィオレッタはいいよね?

王妃様、優しそうじゃん。」


ヴィオレッタは、それに対してため息をつくだけで答えない。


代わりにレオンハルトが口を開く。


「そんなことねーぞ。母上は外面がいいだけだ。

何かとヴィオレッタにケチつけるわ、側室を押し付けようとするわ、

縁を切ってやるって、一蹴してやった。」


「へえーそうなんだ、それは意外だね。」


セレナはそう言う。


王妃のことだ。上品な口ぶりで厳しいことを言う姿が、容易に想像できた。


「王妃様のいうことも最もですよ、レオンハルト様。

現在、王室では後継者になり得る方が少ないことが問題となっています。

これは王室存続の危機とも言えます。」


チェルシー夫人が静かに言葉を挟んだ。


「王家では現在、王位継承権があるのは、レオニス殿下だけです。

殿下がこのままお子を授からずに何かあった場合は、

必ずまた王位を巡って争いが起こります。」


「陛下は妃の数だけは多いですが、あまり実をなさなかった。

陛下の実子は、レオニス殿下、レオンハルト様、後、姫君が一人。」


「そのため、殿下に何かあった場合は、

レオンハルト様か、王弟であるオルレアン侯のどちらかが王位につくでしょう。」


レオンハルトは面倒くさそうに言う。


「俺は、王位なんていらない。

そんなもん叔父上に譲るさ。」


らしい物言いだった。


俺は少し考えてから言う。


「私に何かあった時は、レオンハルトに託したい。」


「ふざけるな、そんな面倒ごと押し付けたら許さんからな。」


レオンハルトは即座に返した。


エレノアは顔を曇らせる。


「殿下、何故そんなことを。」


どうやら、俺に何かあったのかと不安にしてしまったらしい。


「エレノア、そんな顔しないでくれ。私は君を未亡人にする気はない。」


そう言って、抱き寄せる。


レオンハルトはヴィオレッタを見ていた。


ヴィオレッタは何かに気づいたように、静かに微笑む。


「私は大丈夫ですわ。この子と二人、強く生きていきます。

そして、レオンハルト様よりも素敵な旦那様捕まえますわ。」


「てめー、絶対そんなことさせるかよ、俺は長生きしてやる。」


レオンハルトは叫んだ。

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