(番外編)レオニス姫⑤
俺は受難を乗り越え、ようやく花園にたどり着いた。
花園では、王太后、王妃、そしてエレノアがお茶をしていた。
セレナは、
「王太后陛下。」
と声をかける。
「セレナ、どうしたのですか?」
王太后は笑顔で迎えた。
その様子は、まるで本当の祖母と孫のようだ。
ヴィオレッタ、リリアも挨拶をする。
俺も挨拶しようとするが、ヴィオレッタがすかさず口を挟む。
「王太后様、王妃様、お話があります。」
そして、なんと俺をレオンハルトの側室として紹介した。
レオンハルトもさすがに、
「何考えてやがる。」
と怒る。
「そうですか。でも、ヴィオレッタ、あなたはよろしいの?」
王妃の言葉に、
「私は今、このような体ですので、レオンハルト様のお相手ができません。
ですので、いいんです。」
ヴィオレッタは、正妃らしい完璧な答えを返した。
「なあ、これ、どうやって落とし前つけるんだよ。」
レオンハルトが呟くが、俺もそれは知りたい。
エレノアは、その話を聞いて俯いていた。
今、どんな顔をしているのか分からない。
王太后と王妃は、俺を見る。
「ほおー、美しい。レオンハルトが心惹かれるのも仕方ないな。」
「本当に。レオンハルト、こんな美しい姫をどこに隠していたの?」
二人はすっかり盛り上がっている。
レオンハルトは大きく項垂れた。
このまま俺は、レオンハルトの側室にされるのか。
しかもヒールが辛くて、俺はレオンハルトに支えられている。
セレナは、
「ヴィジュアル的には、全然ありなのにね。」
と訳の分からないことを呟く。
もう、誰でもいい、なんとかしてくれ。
そう思った、その時だった。
エレノアが突然立ち上がる。
そして、俺を睨みつけた。
「エレノア?」
思わず声が漏れる。
そんな俺に、エレノアは、
「そうですか?私というものがありながら、レオンハルト様の側室になられるんですね。」
と怒鳴った。
その言葉に、
「エレノア、壊れた。」
とセレナは喜ぶ。
レオンハルトも、
「落ち着け。」
と言うが、その声は届かない。
「そんな訳ないじゃないか。第一、私はレオンハルトの側室にはなれん。」
俺が言うと、レオンハルトはため息をつき、
「お前も落ち着け。」
と言った。
セレナは、
「当たり前のことすぎて、全然カッコよくないから。」
と笑いこける。
「そんな姿でおっしゃられても、全く説得力ありませんわ。」
エレノアは、レオンハルトに支えられている姫姿の俺を見て言う。
「エレノア、君が何に傷つき、怒っているのか分からないが、
私なんて、君の足元にも及ばない。」
エレノアは俺を見た。
その瞬間、王太后と王妃が吹き出す。
「レオニス、おいたがすぎますよ。」
と王太后は笑う。
「陛下が見たら、大変でしたわね。
それこそ、側室にしたいと騒ぐことでしょう。」
王妃はさらに気持ちの悪いことを言う。
「エレノア、私にとって君が一番美しい。
だから、機嫌を直してほしい。」
俺はエレノアに言った。
エレノアの表情は、少しだけ柔らいだように見えた。
セレナは、
「その格好で何言っても様にならないけどね。」
と笑った。




