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第百三十五話「ざまあの時間」


 エルリックに治療薬を手渡すと、彼の瞳に深い感謝の光が宿った。


「本当に、ありがとうございます」


 その声には、長年の苦しみから解放されるかもしれないという、震えるような期待が込められている。

 エルリックの両手が、まるで宝物を扱うかのように慎重に薬瓶を受け取った。


「まさか…本当に魔力蓄積病の治療薬を作ってくださるとは」

「リオ先生の腕前ですから。

 俺たちは、ただ魔花を取ってきただけです。大した事じゃありませんよ」


 とは言うものの、あの魔花採取がどれだけ大変だったか。

 命がけの冒険だったことは、仲間たちが一番よく知っている。


 エルリックは透明な薬瓶を見つめ、わずかに躊躇していた。

 薬瓶の中で青白く光る液体が、まるで小さな星のように煌めいている。


 無理もない。


 長年、何十年も苦しんできた不治の病が、この小さな瓶一つで治るなんて信じられるわけがないだろう。

 希望と絶望の間で、心が揺れ動いているのが見て取れた。


「大丈夫ですよ、エルリック。

 リオ先生を信じましょう。あの人の作った薬で治らない病気なんて、この世にないはずです」


 エルリックが深く息を吸い、決意を固めた。

 その目には、もう迷いはない。


 そして…

 一気に飲み干した。


 透明で青い光を放つ液体が、彼の喉を通っていく。

 薬瓶の中の光が、まるで流れ星のように彼の体内へと消えていった。


 俺たちは息を呑んで、薬の効果を待った。


 一秒。


 二秒。


 十秒。


 …しかし。


 しばらく経っても、エルリックの身体に特に変化は見られなかった。

 表情も、体調も、何も変わっていない。

 まるで、ただの水を飲んだかのように。


 俺の胸に、嫌な予感が広がっていく。

 まさか…治療薬が効かなかったのだろうか?


「すみません!」

「もう一度、リオ先生のところに行って、薬を作り直してもらいます!

 きっと何か間違いが…」

「待ってください、タクヤ殿。

 もう少し様子を見ましょう。薬の効果が現れるまでには、時間がかかるかもしれません」


 その落ち着いた声に、俺は少しだけ冷静さを取り戻した。


 その時だった。


「ん、んぅっ…♡」


 アリシアが突然、俺にキスをしながら、震え声で呟いた。


「これは…やばい、です…♡」


 え?

 何が?


 彼女の表情を見て、俺は息を呑んだ。

 アリシアの顔は明らかに怯えていた。

 唇を重ねているにも関わらず、その瞳には紛れもない恐怖の色が浮かんでいる。


 しかも、その恐怖の中に、なぜか興奮も混じっているように見える。

 これは一体…?


「何がやばいんだ、アリシア?」


 聞こうとするが、彼女のキスで言葉が途切れてしまう。


「んむっ…アリシ、ア…っ」


 やっと彼女が俺から一瞬離れて、震えながら囁いた。


「エルリックから…と、とんでもない魔力が…溢れ始めて、います…♡」


 その声は、明らかに普段と違う。

 魔力に敏感な彼女には、何か俺には見えないものが見えているのだろう。


「これは…私が今まで感じたことのない…規模、です…♡

 まるで…太陽のような…いえ、それ以上の…っ♡」


 そして、また俺にキスをしてくる。

 今度は明らかに恐怖から逃れるためのキスだった。

 まるで、俺という存在にしがみつくように。


「ちゅっぱ…れろぉ…♡」


 アリシアの身体が小刻みに震えている。

 その震えは、寒さからくるものではない。

 魔力に敏感な彼女には、エルリックから放たれる膨大な力の波動が、はっきりと見えているのだろう。


 それほどまでに、凄まじい何かが…?


 一方、ミスティは相変わらずメスガキモードを全開にしていた。


「ふーん、つっまんないわねぇ〜」


 彼女が偉そうに鼻を鳴らす。

 両腕を組んで、わざとらしく肩をすくめる仕草は、完全に大人を小馬鹿にした子供のそれだ。


「結局ぅ〜、薬は効かなかったってことでしょ〜?

 どーせ無駄だったのよ。あたいの予想通りぃ〜」


 彼女は腕を組んで、鼻を高々と突き上げている。

 まるで「ほら、言った通りでしょ?」と言わんばかりに。


「こんな簡単に治る病気ならぁ、とっくに他の誰かが治してるわよねぇ〜。

 ねえねえ、おじさぁん? やっぱり失敗だったんじゃなぁい?」


 ミスティが俺に向かって、わざとらしく小馬鹿にした表情を見せる。

 その口元には、いつもの意地悪な笑みが浮かんでいた。


「あたいが言った通りでしょ〜? 無理だって最初からわかってたのよぉ〜。

 イケメンお兄ちゃんも可哀想に〜。期待させられて、結局ダメだったなんてぇ〜」


 彼女は意地悪な笑みをさらに深めた。


「まあ、所詮おじさんの考えることなんてこんなものよねぇ〜。

 あたいならもーっと上手くやれたわぁ。

 絶ー対にねっ☆」


 うん、いつも通りのミスティだ。

 安心する反面、少しイラッとくるのは俺の心が狭いからだろうか。


 でも…

 その瞬間、ミスティの表情が一変した。


 まるで、何か恐ろしいものを見てしまったかのように。

 彼女の目が見開かれ、顔色が見る見るうちに真っ青になっていく。


「え…ちょっと…待って…」


 ミスティが後ずさりする。

 その足取りは、完全に怯えた小動物のそれだった。


「何これ…何なのよ、この魔力は…」


 さっきまでの余裕綽々な態度は、どこへやら。


「嘘、でしょ…こんなの…ありえない…」


 メスガキの仮面が、音を立てて剥がれ落ちた。


「お、おじさん…これ…本当にやばいわよ…」


 ミスティが俺の服を掴む。

 その小さな手は、ガタガタと震えていた。


「あたい…怖い…こんなの初めて感じる…っ」


 彼女の手が震えている。

 それは、演技でも何でもない…本物の恐怖だ。


「カリオペラの時も怖かったけど…これは…違う…カ。リオペラは狂気だったけど…これは…純粋な、力…

 圧倒的すぎる…あたい、息が、できない…っ」


 ミスティが俺にしがみついてくる。

 その小さな体が、ブルブルと震えているのがわかった。


「ねえ、おじさん…あたいを守って…お願い…っ」


 目には、涙が浮かんでいる。


「さっきまでの強がり、全部嘘…ごめん…

 あたい、本当は怖くて仕方ないの…っ」


 ミスティは完全に子供に戻っていた。

 いつもの生意気な口調も、メスガキぶった態度も、すべて消え去ってそこにいるのは、ただ怯える一人の少女だった。


 一体、彼女たちには何が見えているんだ…?


 でも、俺にも本能的に何かを感じていた。


 空気が変わったというか…プレッシャーのようなものを感じる。

 エルリックから発せられる何かが、明らかに以前とは違っていた。


 部屋の空気が重くなり、まるで水の中にいるような圧迫感がある。

 呼吸をするたびに、肺が重く感じられる。


 窓ガラスがビリビリと微かに震えている。


 床がギシギシと軋む音がする。


 これは…ただ事ではない。

 何か、とんでもないことが起きようとしている。


「エルリック。試しに、軽く素振りをしてみてもらえませんか?」

「素振りですか?」


 その表情は、不思議そうではあるが、穏やかだった。


「剣の調子を確認したいのです」


 俺がもっともらしい理由を付ける。

 実際のところ、俺は彼の力の変化を確認したかった。

 もし治療薬が効いているなら…もしエルリックの封印されていた力が解放されているなら…何かしらの変化があるはずだ。


 エルリックは、静かに腰の剣を抜いた。

 美しい装飾が施された、見事な剣だった。

 刀身は月光のように白く輝き、古代の文字が魔法のように浮かび上がっている。

 その剣を見ただけで、これが尋常ではない業物だとわかる。


「では、軽く…」


 エルリックが剣を構える。


 その瞬間…

 部屋の空気が一変した。


 まるで、世界そのものが彼を中心に歪んだかのように。

 時間の流れが変わったような、不思議な感覚。


 アリシアは俺にキスをしながら、さらに激しく震えている。


「んーっ…ちゅぅ…♡

 やばい…やばい、です…っ♡」


 その声は、恐怖と興奮が入り混じった、何とも言えないものだった。


 ミスティは完全に俺の背中に隠れている。


「お、おじさん…あたい…もうダメ…っ。

 生意気とか…強がりとか…もうどうでもいい…っ。

 あたい、ただ生きていたい…お願い…守って…っ。


 そして…

 エルリックは本当に軽い感じで、素振りをした。

 ほんの軽い動作。

 まるで、朝の体操でもするかのように。


 風を切る音すら、それほど大きくない。

 むしろ、静かなくらいだ。


 しかし…次の瞬間。


 俺の目を疑うような光景が、窓の向こうに広がった。

 遠くに見える山脈が真っ二つに割れた。


 いや。


 真っ二つどころではない。

 山が、文字通り消し飛んだのだ。


 まるで、見えない巨大な刃が空間ごと切り裂いたかのように。

 山の上部が完全に消失し、その断面は鏡のように滑らかで美しい。


 そして、割れた山から大雪崩が発生し、地鳴りのような轟音が遅れて響いてくる。

 地平線の彼方まで、空間が歪んで見える。

 空が裂け、雲が吹き飛ばされ、鳥たちが悲鳴を上げながら一斉に飛び去っていく。


 衝撃波が遅れて届き建物全体がゴゴゴゴゴと揺れた。


「え?」


 俺が絶句する。

 言葉が出ない。

 思考が追いつかない。


 軽く、素振りをしただけでが消し飛んだ?


 いや、それどころか、その先の山々まで影響を受けている。

 山脈全体が、まるでナイフで切られたバターのように、完璧な断面を見せている。


 地平線の彼方まで続く、一直線の切断面。


 そんなことが可能なのか?

 これは、もう人間の領域を超えている。

 神話の英雄か、伝説のドラゴンか、あるいは神そのものか…そんなレベルの力だ。


 え、ちょっと待て。

 軽く、だぞ? 軽く素振りしただけだぞ?

 本気出したらどうなるんだよ、これ!?


 アリシアは俺から離れて、完全に放心状態になっていた。

 その瞳は焦点が合っておらず、まるで魂が抜けたかのよう。


「あれは…人間の力じゃ、ない…♡

 私が知ってる最強の魔法使いでも…あんな破壊は、不可能…♡」

「いえ…魔法じゃなくて…ただの、素振り…♡

 魔力を込めてない…ただ剣を、振っただけ…♡」


 アリシアが俺にキスをしてくる。

その唇は、恐怖で震えていた。


「ちゅっぱ…ちゅる…♡

 怖い、です…♡ でも…すごい…♡」


 ミスティは完全に腰を抜かしていた。

 床にペタンと座り込んで、ガタガタと震えている。


「う、嘘でしょ…

 あたい…さっきまで…バカにしてた…

 ごめん…ごめんなさい…っ」


 ミスティが泣きながら謝る。

 涙が頬を伝って、ポロポロと落ちていく。


「あたいが間違ってました…完全に、間違ってました…っ。生意気ぶって…調子に乗って…」

「でも…あんな化け物みたいな力…っ」


 彼女は俺にしがみついたまま、ブルブルと震えている。


「ねえ、おじさん…あたいたち…本当に大丈夫? あんな人を仲間にして…本当に大丈夫なの…?

 味方で良かった…敵だったら…あたいたち…一瞬で…山みたいに…」


 ミスティの声が途切れる。

 想像したくないのだろう。

 もし、エルリックが敵だったらという可能性を。


 エルリックも、自分の力に少し驚いていた。


「これは…」


 彼が剣を見つめる。

 まるで、久しぶりに会った旧友を見るかのように。


「久しぶりに、こんな力を出せました」


 そして、本当に嬉しそうに笑った。


「いえ、これでもまだ完全ではありません」


 え?


「本来の私なら、この十倍は出せるはずです」


 十倍?

 今ので十分の一?


 冗談かと思った。

 いや、冗談であってくれと心から願った。


 でも、エルリックの表情は真剣そのものだった。

 冗談を言っているようには、まったく見えない。


「長い間、制限されていた力が戻ってきた感覚です。

 魔力蓄積病がなければ、私は山脈全体を消し飛ばすことができます」

「かつて、魔族の大軍を相手にした時はそうしました」


 エルリックが懐かしそうに、まるで昔話をするかのように語る。


「数千の魔族が展開していた山を、一振りで消し去りました。

 敵も味方も、その光景に言葉を失いました。戦場が静まり返ったのを覚えています」


 それは、もう戦争ではない。


 天災だ。


 自然災害レベルの破壊力を持つ人間…いや、もはや人間と呼んでいいのかすら怪しい。


「でも、この力を使うたびに魔力蓄積病が悪化していきました。だから、最近は控えめにしていたのです。力を抑え、できるだけ普通に…」


 控えめで、これか。


 軽い素振りで山を消し飛ばすなんて、規格外すぎる。規格外どころか、規格という概念そのものを破壊している。


 これが、本来のエルリックの実力なのか。

 病気で三割の力しか出せない状態でも、既に最強と呼ばれていたのに…完治した今の彼は、一体どれほどの実力なのだろう。


 いや、考えたくない。

 考えたら夜眠れなくなる。


「素晴らしい…これで、僕は元の力を取り戻しました。リオ先生に、心から感謝します」

「そして、タクヤ殿」


 エルリックが俺に向き直る。

 その眼差しは、まっすぐで誠実だった。


「約束通り、ヴェリアント王国にお供します

 僕の剣を…あなたの王国に捧げましょう」


 ほっとした。

 エルリックが約束を守ってくれることになった。

 困難な任務だったが、何とか成功したようだ。


 でも、同時に不安も感じていた。

 これほどの力を持つエルリックが仲間になることの重要性と、同時に恐ろしさ。

 彼が敵に回ることはないだろうがその力は、諸刃の剣でもある。

 いや、諸刃どころか、全方位に刃が向いている剣だ。




 ◇ ◇ ◇




 エルリックは、プロイシェン王国の王様に別れの挨拶をしに行った。

 長年仕えた王国を離れるのだから、正式な手続きが必要だ。

 それに感情的にも、区切りをつける必要があるだろう。


 王様は、エルリックの決断を深く理解してくれた。


「君の恩は永遠に忘れない」


 王様がエルリックに言う。

 その声は、感情で震えていた。


「君がいなければ、我が国は何度も滅んでいただろう。君の剣が、どれだけの民を救ったか数え切れない」


 王様の目には、涙が浮かんでいる。

 それは、感謝と別れの寂しさが混じった涙だった。


「いつか戻ってきたい時は、いつでも歓迎する。

 君の席は永遠にここにある」

「ありがとうございます」


 エルリックが深々と頭を下げる。


「僕は、この国を忘れません。

 いつか必ず——恩返しをします」


 感動的な別れの儀式だった。

 まるで、物語の一幕を見ているかのような。


 プロイシェン王国の民たちも、エルリックの出発を悲しんでいた。

 街中の人々が集まり、彼に別れを告げる。

 道という道が、人で埋め尽くされている。


「エルリック様!」

「お元気で!」

「必ず戻ってきてください!」


 民衆の声が響く。

 その声は、心からの感謝と別れの寂しさに満ちていた。


 エルリックは、一人一人に丁寧に手を振って応えていた。

 まるで、すべての人の顔を記憶に刻もうとするかのように。


 彼が、どれだけこの国で愛されていたかよく分かる光景だった。

 これが、真の英雄というものなのかもしれない。




 ◇ ◇ ◇




 俺たちは、急いでヴェリアント王国に向かうことにした。

 期限の二ヶ月が迫っていたからだ…というか、もう数日しか残っていない。


 四人での瞬間移動は、体力消費が激しい。

 しかも、エルリックを加えた長距離移動は、俺にとって大きな負担だった。


 瞬間移動した瞬間…俺の意識が飛びそうになった。


「うっ…!」


 俺が膝をつく。

 視界がグラグラと揺れる。


 頭がくらくらして、立っていられない。

 まるで、脳みそが洗濯機の中でグルグル回されているような感覚。


 視界が真っ白になり、耳鳴りがキーンと響く。


 体中から力が抜けていく…

 その時、アリシアがすかさず俺にキスをしてきた。


「んーっ…♡」


 そして、治癒魔法がきた。

 彼女の舌から、温かい魔力が流れ込んでくる。


「『上級治癒魔法:リジェネレーション』」


 俺の体に温かい光が注がれ、疲労が一気に回復していく。

 まるで、冷たい水を浴びた後のような爽快感。


 アリシアのキス治癒は、本当に便利だった。

 いや、便利すぎる。

 もはや、これなしでは生きていけない体になってしまったかもしれない。


 それは普通に困る。


「ありがとう、アリシア」


 彼女は、嬉しそうに…いや、恍惚とした表情で俺を見つめていた。


「魔力補給も、兼ねています…♡

 あなたを助けられて…幸せ、です…♡」


 そして、また俺にキスをしてくる。

 今度は、さらに深く…


「れろぉ…ちゅる…♡」


 長い、長いキス。

 時間の感覚が失われていく。


 エルリックは、俺たちのやり取りを見て優しく微笑んでいた。


「素晴らしいチームワークですね。

 アリシア殿の治癒能力は、間違いなくSランク級です」

「そして、その魔力の源がタクヤ殿にあるというのは、実に興味深い」


 ミスティは、相変わらずメスガキモードに戻ろうとしていたがまだ震えが残っている。


「と、当然でしょぉ〜」


 彼女が鼻を高くする。

 でも、その声は明らかに震えている。


「あたいたちは最強なのよぉ〜」


 でも、その声は明らかに震えている。

 さっきの光景が、トラウマになっているのだろう。


「さっきの…山が消えたのは…たまたまよ…

 あたいだって…本気出せば…」


 ミスティの声がどんどん小さくなる。


「えっと…まあ…その…ごめん、嘘。無理」


 あっさりと諦めた。


「あたい、イケメンお兄ちゃんは絶対勝てない。

 というか、誰も勝てないでしょ、あんなの」


 その素直さは、逆に好感が持てた。


「でも…あたい、おじさんの隣にいるから…

 だから…少しだけ…安心」


 その小さい言葉に、俺の胸が少し温かくなった。




 ◇ ◇ ◇




 俺たちは、ヴェリアント王国の王宮に向かった。

 いよいよエルリックを王様に紹介し、側近たちに任務完了を報告する時が来た。


 この瞬間を、どれだけ待ち望んだことか。


 王宮の謁見の間に入ると、王様と側近たちが待っていた。

 側近たちの表情は明らかに俺たちを見下していた。

 その目には、侮蔑と嘲笑が混じっている。


 どうせ、エルリックなど連れて来られるはずがないと思っているのだろう。

 俺が失敗して、惨めに戻ってくることを期待している。


 最初に太った側近が、嘲笑うようないや、完全に馬鹿にした表情で口を開いた。


「おやおや、戻ってきたか」


 彼が鼻を高々と突き上げる。

 その態度は、まるで汚物でも見るかのようだった。


「で? エルリック・ルーデンフォルトはどこだ?

 まさか本当に連れて来たとは言うまいな? ん?」


 その声には、明らかな嘲りが込められている。


 他の側近たちも、ゲラゲラと笑い始める。


「はっはっは! 傑作だ!」

「虫けらが、何を血迷ったか!」

「身の程知らずにも、よくぞ戻ってきおったわ!」


 別の側近が、俺を指差して嘲笑う。

 その指は、まるで俺を射抜くかのように。


「まあ、見ろ! あの惨めな顔を!」

「失敗の二文字が顔に書いてあるぞ!」

「どうせ、プロイシェン王国に行ったものの、門前払いを食らったのだろう? なあ?」


 側近たちの嘲笑が、謁見の間に響き渡る。

 まるで、俺一人を嘲笑うための演劇会場のように。


「それとも、エルリックに会うことすらできなかったか?」

「いやいや、会えたとしてもその場で追い返されたに違いない!」

「下等な者が、最強の剣士に相手にされるはずがないからな! ははは!」


 彼らは完全に俺を馬鹿にしている。

 もう、隠そうともしていない。


「さあ、観念しろ」


 太った側近は傲慢を体現したものになっていた。


「お前の罪は許されない。牢獄で一生を過ごすがいい」

「いや、下水道の清掃でもさせましょうか」


 別の側近が意地悪く笑う。


「ゴミにはゴミの仕事が相応しい! そうだろう?」


 顔が見えないように俯いて微笑んだ。


 心の中で、カウントダウンが始まる。

 お前たちの人生が終わるまであと数秒。


「いいえ」


 一歩、堂々と前に出る。


「任務は…成功しました」


 謁見の間が、一瞬静まり返る。


「エルリック・ルーデンフォルト様です」


 その瞬間、側近たちの笑いが、ピタリと止まった。


 エルリックが前に出て、優雅に、しかし威厳を持って挨拶をする。


「初めまして。

 元プロイシェン王国騎士、エルリック・ルーデンフォルトと申します」


 その声は穏やかだが圧倒的な存在感を放っている。


「ヴェリアント王国にお世話になることになりました」


 謁見の間の空気が一変した。

 いや、空気が変わったどころではない。

 世界そのものが変わったかのような錯覚。


 側近たちの顔色が本当に一瞬で青ざめ、全員がガタガタと震え始める。

 王様も、言葉を失って絶句している。

 口が開いたまま、固まっている。


 まさか本当にエルリックを連れて来るとは思っていなかったのだ。

 いや、誰も思っていなかった。

 不可能だと、全員が確信していた。


 そして、エルリックから放たれる圧倒的な存在感が、謁見の間全体をを支配していた。


 彼がただそこに立っているだけで、空気が重くなる。

 呼吸が苦しくなる。

 まるで、神が降臨したかのような威圧感。


「これは…まさか…」


 彼の顔は完全に青を通り越して白くなり、額には大量の汗が滝のように浮かんでいる。


「本物の…エルリック・ルーデンフォルト…?」

「間違いありません」


 その声は穏やかだが圧倒的な力を秘めている。

 まるで、静かな海の底に潜む巨大な怪物のような。


 側近たちは、完全に恐れ慄いていた。


 太った側近が、ブルブルと全身を震わせている。


「そ、そんな…ま、まさか…」


 もはや、威厳のかけらもない。


「本当に…連れて来るなんて…」


 別の側近が、床にドサッとへたり込んだ。

 足が完全に力を失っている。


「あり、得ない…これは夢だ…悪夢だ…っ」


 他の側近たちも、次々と膝を崩していく。

 まるで、ドミノ倒しのように。


「我々は…何ということを…」

「あの時の約束…まさか…」

「土下座…全財産の半分…側近の座…」


 側近たちの顔から、見る見るうちに血の気が引いていく。


 彼らは、自分たちが言った約束を鮮明に思い出しているのだろう。

 そして、その約束を守らなければならない恐怖に、完全に支配されている。


 セリア大陸最強の剣士が本当にヴェリアント王国にやって来たのだ。

 これは、歴史的な出来事だった。

 いや、奇跡と呼ぶべきか。


「タクヤよ…

 本当に…やり遂げたのか…」

「はい」


 王様は、涙を浮かべていた。


「素晴らしい…」


 その動作は、感動で震えていた。


「そなたの罪は完全に許す。

 それどころか、この功績は王国の歴史に永遠に残るだろう」


 側近たちも、もはや俺に反論することはできなかった。

 不可能とされた任務を、俺が本当に成し遂げたのだから。

 彼らが「絶対に無理」と断言した任務を。


「エルリック殿…」


 王様がエルリックに向かって、深々と本当に深々と頭を下げる。


「我が王国へようこそ。

 心から……心から歓迎いたします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


 俺は、側近たちに向き直った。

 さあ、お楽しみの時間だ。


「さて」


 おっと、楽しみが口から漏れてしまった。


「約束を覚えていますよね?」


 側近たちの顔がさらに青ざめる。

 もう、青を通り越して灰色だ。


「も、もちろん…覚えて、いる…」


 太った側近が震え声を止められない。

 その声は、もはや蚊の鳴くような小ささだ。


「我々は…約束を…守る…」


 彼らは、もはや抵抗する気力もないようだった。

 完全に、戦意喪失している。


「では」


 俺の微笑みには、少しだけ復讐の喜びが混じっているかもしれない。


「まず、土下座からお願いします。

 王宮中の者の前で、とおっしゃいましたよね?」


 側近たちは、観念したように立ち上がった。

 いや立ち上がろうとしたが、足が震えて上手く立てない。

 膝が笑っている。


 彼らは、這うようにして謁見の間の中央に移動した。

 その姿は、まるで罰を受ける罪人のようだった。


 そして、王宮中の兵士たちや使用人たちが集められた。

 噂を聞きつけて、多くの人々が集まってくる。

 謁見の間は、あっという間に人で溢れかえった。

 みんな、この歴史的瞬間…いや、側近たちの屈辱の瞬間を目撃しようとしている。


「では、どうぞ」


 側近たちは全員が床に額を擦りつけて、土下座をした。


 かつて、俺を「虫けら」「下等な者」「身の程知らず」と罵った彼らが今は地面に這いつくばっている。

 何という、痛快な光景だろうか。


「申し訳ございませんでした!」


 太った側近のその声は、完全に泣いていた。


「我々の愚かさを…どうか、お許しください!」

「無礼の数々…深く、深くお詫び申し上げます!」


 他の側近たちも、次々と謝罪の言葉を口にする。


「タクヤ様を侮辱したこと…心から反省しております!」

「どうか…どうか、お許しを!」


 もうプライドもへったくれもない。

 プライドの高い貴族たちが、民衆の前で土下座をしている光景はまさに圧巻だった。


 王宮中の人々が、この光景を見て驚いている。

 そして、多くの者が、笑いを堪えている。


 側近たちの傲慢さは、王宮中で有名だった。

 彼らに虐げられてきた者も多い。

 彼らが屈辱を味わう姿を、密かに…いや、明らかに喜んでいる者も多いだろう。


「次に」


 まだまだ終わらない。


「全財産の半分の譲渡ですね」


 側近たちの顔がさらに歪む。

 もう、顔が顔の形を保っていない。


「そ、それも…守り、ます…」


 彼らは、完全に打ちのめされていた。

 人生が終わった顔をしている。


「そして、側近の座からの辞任」


 側近たちは、もはや何も言えなかった。

 ただ、ガクガクと震えるだけ。

 彼らは、自分たちの言葉の重さを身をもって知ることになった。


「我々は…約束を、守ります…」


 彼らが、震える手で契約書を取り出した。


「こ、これに…署名を…」


 彼の手は完全に震えていて、まともに字が書けない状態だった。

 ペンが、ガタガタと紙の上で踊っている。


 他の側近たちも、同じように契約書に署名していく。

 その字は、ミミズがのたくったような…

 いや、ミミズに失礼なレベルだ。


 全財産の半分を俺に譲渡する契約書。

 そして、側近の座から退く誓約書。

 彼らは、自分たちの傲慢さの代償を、今まさに、支払っているのだ。


「虫けら……でしたっけ?」


 わざとらしく彼らの言葉を繰り返す。

 この瞬間を、どれだけ待ち望んだことか。


「下等な者、身の程知らず。ゴミには、ゴミの仕事が相応しい。

 その言葉…全部お返しします」


 冷たく言おうとしたが、どこか楽しそうに聞こえたかもしれない。


「あなたたちこそ、身の程を知るべきでしたね」


 謁見の間にいる人々から拍手が起こった。

 最初は小さな拍手。

 それが、やがて大きな拍手に変わっていく。

 波のように広がっていく。


 王宮中の人々が、俺の勝利を祝福している。

 側近たちの横暴に苦しめられていた者たちがこの瞬間を、どれだけ待ち望んでいたことだろう。


 ああ、気持ちいい。


 復讐は、甘美だ。


 その時、アリシアが俺に抱きついてきた。


「すごい、です…あなたは本当に…すごい…♡」


 彼女の目は、完全に俺に夢中になっている。

 もう、俺以外何も見えていない。


「こんなに素晴らしい人を…私は、愛してしまいました…♡」


 そして、人々の前でも構わずキスをした。

 むしろ見せつけるようなキス。


「くちゅ…ちゅーる…♡」


 謁見の間にいる人々が、驚きの声を上げる。


「お、おい…あれは…」

「公衆の面前で…」


 でも、アリシアは全く気にしていない。

 彼女にとって、俺とのキスは呼吸と同じくらい…いや、呼吸以上に必要な行為なのだ。


「魔力補給、です…♡

 あなたの勝利を祝福する…特別な、魔力補給…♡」


 彼女は、また俺にキスをしてくる。

 今度は、さらに情熱的に。


「ちゅ…あっ…♡」


 今度は、さらに長いキス。

 五分…いや、十分以上続く。


 人々は、もはや何も言えなくなっている。

 ただ、呆然とその光景を見ているだけだ。


「素晴らしい絆ですね。

 真の愛とはこのようなものなのでしょう」


 いや、これは愛というより依存症だと思うが。

 まあ、いいか。


 ミスティは、複雑な表情をしていた。

 彼女は、俺の勝利を喜びながらもエルリックの存在に、まだ怯えている。


「おじさん…すごかった、わね…」


 その声は、珍しく素直だった。


「あたい…正直言って…おじさんができるとは思ってなかった…

 ごめん…信じてなくて…」


 彼女の声は、本当に素直だった。

 メスガキの仮面を被っていない、素の彼女。


「でも…おじさんは本当にやり遂げた…

 あの嫌味な側近たちを…完全に、叩きのめした…」

「あたい…少し…おじさんを見直したわ…」


 そして、彼女はいつものメスガキモードに戻ろうとする。


「ま、まあ…当然よね〜!」


 ミスティが鼻を高くする。

 でも、その仕草はどこか愛らしい。


「あたいのおじさんなんだから〜!

 これくらいできて当然なのよ!」


 彼女は、強がりを取り戻している。

 それが、彼女らしい。


 あと、俺はミスティのものではない。

 なるつまりもない。


「あたいが一緒にいたから成功したんだからね!

 あたいの力がなかったら、絶ー対に無理だったわ!」


 ぺったんな胸を張り上げる。


「ほら、あたいの無詠唱魔法がどれだけすごいか!

 おじさんは、あたいに感謝すべきよ! もっともーっと感謝すべき!」


 でもその直後、エルリックが近づいてきた。

 ミスティの顔が、一瞬で青ざめる。


「ひっ…お、おじさん…あたいを守って…」


 メスガキの仮面が、またパリーンと音を立てて剥がれ落ちた。


「あたい…やっぱり怖い…」


 ミスティが俺の服をギュッと掴む。


「イケメンお兄ちゃんは…化け物よ…

 人族じゃない…あんなの…」

「でも…味方で良かった…本当に、本当に良かった…敵だったら…あたいたち…山みたいに、消えてた…」


 その小さな体は、まだ震えていた。


 エルリックは、優しく微笑んだ。


「ミスティ殿、恐れることはありません。

 僕は、仲間を傷つけることはありません」

「あなたは、僕たちの本当に大切な仲間です」


 その言葉に、ミスティは少しだけ安心したようだった。

 でも、まだ震えは止まらない。

 トラウマは、簡単には消えない。


「う、うん…わかってる…わかってるけど…

 やっぱり…怖い…」


 側近たちは、もはや完全に打ちのめされていた。

 彼らは、床に這いつくばったまま動けない。

 まるで、魂が抜けたかのように。

 全財産の半分を失い、側近の座を失い、民衆の前で屈辱を味わった。


 かつての傲慢さは完全に、跡形もなく消え去っていた。


「我々は…愚かだった…

 タクヤ様を…侮っていた…

 身の程知らずは…我々の方、だった…」


 他の側近たちも、同じように後悔している。

 その顔には、深い後悔の色が浮かんでいた。


「許してください…」

「どうか…慈悲を…」

「あなたたちが俺に言った言葉を、覚えていますか?」

「虫けら、下等な者、身の程知らず。

 ゴミには、ゴミの仕事が相応しい」


 一つ一つ丁寧に繰り返す。


「その言葉の重さを、今しっかりと味わってください。これが、傲慢さの代償です」


 側近たちは、もはや何も言えなかった。

 ただ、涙を流すだけ。


 彼らは、自分たちの罪を深く理解している。

 そして、その罰を受け入れるしかない。


「でも、あなたたちにも、再起のチャンスはあります」

「今回の経験を糧に、真摯に生きてください。人を見下すのではなく尊重する生き方を学んでください。

 そうすれば自ずと…ね」


 側近たちの目に、わずかに希望の光が灯った。


「あ、ありがとうございます…

 タクヤ様の…お慈悲に…心から、感謝します…」


 彼らは、深々と頭を下げた。

 演技ではない、本物の感謝。


 俺は、ついに任務を完了した。

 指名手配の罪も許され、エルリックという最強の仲間も得た。


 困難な道のりだったが何とか、乗り越えることができた。


 でも、俺の心の奥では、別の問題が残っていた。

 ハルカからの魔神討伐命令だ。

 エルリックという強力な仲間を得たとはいえ、魔神たちとの戦いは容易ではない。

 特に、カリオペラのような予測不可能な存在もいる。


 でも今は少し希望が見えてきた。


 エルリックの規格外の力があれば、魔神にも対抗できるかもしれない。

 山を消し飛ばす力があれば、きっと。


「タクヤ殿。これから、どのような任務が待っているのですか?」

「実は…」


 魔神討伐の任務について説明しようとした。

 しかし、またアリシアが俺にキスをしてきた。


「ちゅー…ちゅるん…♡」

「アリシア、ちょっと待って…」


 でも、彼女は聞かない。

 完全に無視。


「魔力補給、です…♡」


 エンドレス・キス・タイム。


「ゆっくりで構いません」


 本当にようやく、アリシアが俺から離れた。


「はあ、はあ…それで、魔神討伐の任務なんだが…」


 俺が説明を再開しようとする。


 またキス。


「れろぉぉ…♡」

「アリシア…頼むから…」


 キス。


「話を…させてくれ…」


 キス。


 もはや、これはコントだ。


 ミスティが、呆れた声を上げた。


「ねえ、おじさん。いつまで、そのキス地獄が続くのよ。

 あたい、見てるだけで疲れるわ」


 でも、その声には少しだけ羨望が混じっている。

 本人は気づいていないだろうが。


「まあ…おじさんが幸せそうなら…いいけど…

 あたいも…いつか…そんな風に…」


 !?!?!?


 彼女の声は、ほとんど聞こえないくらい小さかった。

 風に消えそうなくらい。




 ◇ ◇ ◇




 ようやく、俺はエルリックに魔神討伐の任務について説明することができた。


 途中、何度もアリシアにキスを中断されたが。

 数えるのも嫌になるくらい。


「魔神、ですか」


 真剣な表情になった。

 その目には、戦士の光が宿っている。


「それは、確かに困難な任務ですね。

 でも、僕がいる限り、恐れることはありません」


 彼が、剣の柄にそっと手を置く。


「魔神であろうと、この剣の前には敵いません。

 かつて魔王の側近を三人、同時に相手にしたことがあります」


 エルリックが、まるで昨日の晩御飯の話をするかのように語る。


「彼らは、それぞれSランクを超える力を持っていました。でも、僕の剣は彼らを一瞬で斬り伏せました」

「ひっ…また、そんな話を…」


 彼女が俺にしがみついてくる。

 その小さな体が、ブルブルと震えている。


「おじさん…あたい、やっぱり怖い…」


 でも、同時に安心もしている。

 エルリックが味方であることの心強さ。

 それは、何物にも代えがたい。


「大丈夫だ」


 俺が、ミスティの頭を優しく撫でる。


「俺たちは、最強のチームだ」


「エルリックもいる、アリシアもいる、お前もいる。

 魔神だって倒せないはずがない。弱点だって必ずあるはずだ。」


 ミスティが、少しだけ微笑んだ。

 その笑顔は、子供らしい純粋なものだった。


「ふん…当然でしょ! あたいたちは、最強なんだから!

 魔神なんて、あたいの無詠唱魔法で一発よ! 一発!」


 でも、その声はまだ少し震えている。

 強がりと本音が、混じり合っている。


 アリシアは、また俺にキスをしてきた。

 もはや呼吸するような自然さで。


「あなたと一緒なら…どんな敵でも…倒せます…♡

 私の魔法は…あなたのために…♡」


「ちゅっ…っぱぁ…♡」


 もう、数えるのも諦めた。


 俺たちの新しい物語が、始まろうとしていた。

 魔神討伐という、さらに困難な任務が待っている。

 それは、命がけの戦いになるだろう。


 でも、世界最強剣士のエルリック。

 Sランク魔法使いのアリシア。

 天才無詠唱魔法使いのミスティ。

 そして、弱い俺。


 この四人なら、きっと何とかなる。

 いや、何とかするしかない。

 家族のため、この世界のため、そして俺自身のため。


 側近たちの屈辱的な敗北を目撃した人々が、俺たちに期待の眼差しを向けている。

 エルリックの圧倒的な力が、王国に希望をもたらした。


 でも、本当の戦いは、これからだ。

 魔神たちとの死闘が、俺たちを待っている。

 血と汗と涙の戦いが。


 そして、その先に待つものは…


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