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人間不信の万能勇者は六人に分裂するようです~「私が六人いれば、それがドリームパーティーだ!」~  作者: 朝昼夜
第10章 会長の登場。三体目の魔族『カースメイカー』との戦い。
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第98話 VSカースメイカー➁


「喰らえ! ≪ツイン・シャドーエッジ≫!」


 敵の魔法が来る。


「……んぐう」


 しかも両腕で、がっちりと掴まれ、身動きが取れない。

 もう、ダメだ。魔法が飛んでくる……。


 そのとき。


 パタパタパタパタ! 上空からプロペラの音が。


「あれは……」


 ブルーの≪シードローン≫だ。


「ショット!」


 後ろから声が聞こえると、ドローンから散弾が発射された。

 チュインチュイン!


「……ぐおおあっ!」


 効いてるぞ。

 腕にポツポツと穴が開き、魔族がうめき声をあげている。


「……がああ……」


 面白いぐらい痛がると、私を掴んでいた腕がわずかに緩んだ。


「……今だ! えいっ!」


 両足で胴体を蹴り上げて、敵の拘束から、なんとか抜け出した。

 魔法が迫っている。


「……神速!」


 寸前で高速移動して、魔族から距離を離した。


「……あ、危なかった」


 もう少しで、やられるところだった。

 私の元にメアリが走ってきた。


「あんた前に出すぎよ」


 本当に、その通りだ。

 でも、あいつには魔法を撃たせたくなかったのだ。


「あの会長の呪いが……」


 いまだに誰も解くことができないのだ。

 そんなものにかけられてしまったら、大変なことになる。


「言いたいことは分かるわ。でも、それであなたがやられたら、本末転倒よ。誰があの魔族を倒すのよ」


 まったく、その通りだ。

 反省している。


「人形たちは、あらかた片付いたわ。ここからは、私とブルー。グリーンも使って、戦っていくわよ」

「ブラックは?」

「残りの人形を引き付けてもらってる」

「そう」


 まあ、十分に戦えている。


 あとは、敵の魔法をどう受けるか。

 それと決め手になる一撃だな。


「……うーん」

「どうしたの?」

「ちょっと気になることがあって」


 グリーンが前をさした。


「来るよー」


 本当だ。

 魔法を撃ちだそうとしている。


「シャドーエッジ!」


 どうやら、私を狙っているようだ。


 ちょうどいい。

 このまま、私が引き付けておこう。

 

「……神速!」


 私は高速移動で回避する。

 まずは一発目を回避。


 だが、奴には杖がもう一本ある。


「シャドーエッジ!」

「……ジャンプ!」


 高く飛び上がった。

 これで二発目を回避。


 強力な魔法には、溜め時間が必要だ。

 少なくとも、一分ほどは次の魔法が撃てないはず。


「この隙に……」


 スキルを発動。

 私は魔族に狙いを定める。


「≪エビルスキャン≫!」


 このスキルは、敵の正体を暴き出すだけではない。

 弱点までも探り当てるのだ。


 ピコンと音が鳴った。

 すると、敵のウィークポイントが。


 カースメイカーの弱点:水


「……やっぱりそうか」


 さっき、ドローンに攻撃されたときの反応が、おかしかったのだ。

 ピンクのバフがかかってるならともかく、素の威力であのダメージはありえない。


「それなら、ブルーに攻撃させよう」


 どの魔法でもいい。

 ドローンだろうと、バスターだろうと。


 とにかく、たくさん攻撃を当てれば、奴を落とせるはずだ。


「というわけなんだけど、いけそう?」

「はい。射程を考えれば、ドローンがいいでしょうね」


 パタパタパタパタ! 一気に四機が飛んでいく。


「あとは私たちが敵の気を逸らすよ」

「お願いします」


 あいつは、私に狙いを定めているのだ。

 このまま、近づいていき、目立つ行動を取っていればいい。


「カーススススッ」


 敵が笑い出した。

 嫌な予感がする。


「勇者ステラ。おまえの策はわかったぞ」

「嘘だよ。分かるはずがない」

「……」


 カースメイカーは黙って、私の後ろを見た。

 ブルーを見ているのだろうか。


「障害になるものは、先に潰すだけだ。会長のようにな」


 会長? それはブタに変えるということだろうか。

 どんな魔法かは知らないが……。


「やらせないよ! グリーン」

「シールアロー」


 魔族の足を、矢で射抜いた。

 特殊な模様が浮かび上がり、足に絡みつく。


「この封じにかかれば、移動は制限される。その間に、あなたは倒されるんだ」

「……こんなものでは、私は止められん!」


 影縫いのときも同じようなことを言っていたが。


 このスキルには耐性がないはず。

 大丈夫。はったりだ。


「喰らえ! ≪ツイン・シャドーエッジ≫!」


 そのとき、


 ――カチッ!


 照明が落ちた。


「……なに!?」


 真っ暗で、何も見えない。

 

 ――カチッ!


「……は?」


 私は驚く。

 そこには足しかないのだ。


「まさか、自分の足を切り落としたのか」

 

 腕を生やせるのだ。

 それなら、足だって生やすことができるはずだ。


「奴は……」

「きゃあああああっ!」

「ブルー」


 彼女にしては、珍しく甲高い叫びをあげている。


 本当に、まずい状況なのだ。


 ブルーは両腕で首を絞められ、もがき苦しんでいる。

 そして、その顔に向けて、二本の杖が突きつけられている。


「さあ、では、受けてもらうとしようか」


 彼女のシードローンは消えてしまっている。

 それに、この距離だと他の者も間に合わない。


「私が誇る究極の呪いを」

「……や、やめろ」

「≪ベイブ・カース≫」


 ≪ベイブ・カース≫

 難度  ★×7

 属性  闇

 使用回数 5/5

 成功率 100%

 説明 古代魔法の一つ。相手を醜いブタに変えてしまう。


 ブルーの体が暗闇に包まれると、その体がみるみる萎んでいく。


 やがて、出てきたのは……。


「ブヒヒッ! ブヒヒヒッ!」


 醜いブタであった。


「カースススススッ! これで私の障害になるものは潰した。この『カースメイカー』の勝利は決まった!」


 私は、ブルーを抱きかかえた。

 その姿は、太ったブタだ。どこから、どう見ても、醜いブタだ。


「でも……」


 それでも、ブルーは……。


「私の仲間だ! たとえ、あなたがどんな姿になったとしても、私はあなたを見捨てたりしない!」


 その言葉を聞いて、魔族は腹を抱えて笑った。


「気でも狂ったか? そんな奴に話しかけてなんになる! その醜い脂肪の塊が、おまえに何をしてくれるというんだ!」

「……くっ」

「所詮は食べるしか能のない獣だ! 仲間ではない! 臭くて汚いブタだ!」

「……うるさい」


 ブルーは醜くなんかない。

 能無しなんかじゃない。


「ブルーは、私の大切な……」

「ブヒヒッ! ブヒヒヒッ!」

「ブルー……」


 なんだ。

 今、変な感じが……。


「ブルー。もしかして、あなた……」


 私は立ち上がると、その醜いブタにたずねた。


「私の言ってることが分かるの?」


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