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人間不信の万能勇者は六人に分裂するようです~「私が六人いれば、それがドリームパーティーだ!」~  作者: 朝昼夜
第10章 会長の登場。三体目の魔族『カースメイカー』との戦い。
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第99話 VSカースメイカー③


 敵の魔法≪ベイブ・カース≫によって。

 ブルーが醜いブタに姿を変えてしまった。


 だが――。


「ブルー。まさか、私の言ってることが分かるの?」

「ブヒッ!」


 なんと、ブタなのに人語を理解してしまうのだ。

 さすが、ブルー! やっぱり、あなたは賢い!


「……で、どうするの?」


 メアリが私に聞いてきた。


「水属性が弱点だったんでしょ? このままじゃ、奴を倒せないわよ」

「……うーん」


 実際、その通りだ。

 ブルーの魔法が効くと分かったのに、彼女はブタに変えられてしまった。


 これでは戦うことはできても、決め手にかけてしまう。

 魔族の体力を削り切るには、回復力を上回るほどの大ダメージが必要なのに。


 まさに、敵の思惑通りってことか。

 私は苛立っていた。


「カースススススッ!」


 向こうも、勝った気でいるようだ。

 完全に祝杯モードである。


「私はイヤよ。ブタになるのなんて」

「ぐおおおおおっ! どうすればいいんだあっ!」


 そのとき――。


「ブヒヒヒヒッ!」


 ブルーが、私に顔を近づけてきた。


「なになに? どうしたの?」

「ブヒヒッ! ブヒヒヒヒッ!」

「ふむふむ。なるどね~」


 どうやら、お腹が空いてしまったようだ。


 仕方ない。

 バトル中は激しい運動により、多くのカロリーを消費してしまう。


 ブルーだって、間食ぐらい挟みたくなる。

 決して、ブタだからではないよね?


「ちょっと待ててよ……えっと……たしか」


 私はポケットをごそごそと漁ると。


「おおっ! あった。チョコレート」


 とてもカロリーの高いお菓子だ。

 これなら、ブルーも喜んでくれるに違いない。


「ほうらっ ブルー。お菓子だよ~」


 ――ガブッ!


「ぐおおっ! なんで噛むの!?」


 まさか、ビターチョコなのがダメなのか。


 やはり甘いものでなければ、ダメ。

 そういうことなんだろうか。


「待っててよ……たしか……」


 私はまたポケットをごそごそと漁ると、


「あったっ! ドーナツ!」


 更に、モナカとエクレアも追加しておこう。

 これでどうだ。


「ブヒヒッ!」


 ――ドシン!

 ブタは私に突進をしかけた。


「ごほおっ! どうして!」


 ……くっ。これでもダメだというのか。


 やはり、ケーキ。

 特大のホールケーキでなければ、満足しないと。


「違うわよ」

「え? じゃあ、ピザの特大サイズ? それとも、カレー? フライドチキン?」

「……まず、ご飯から離れなさいよ」


 お腹が空いてるんじゃないのか。


「たぶん、何かを伝えようとしてるんじゃないかしら」

「何かって?」

「さあね。あなたなら、分かるんじゃない?」


 仲間なのだから。

 メアリはそう言いたいんだろうけど。


「ブヒヒッ!」

「うーん。ブヒブヒ言ってるようにしか聞こえない」

「ブヒッ。ブヒッ」

「……ん?」


 このブタ、さっきから妙な動きをしているぞ。

 よく見ると、鼻から水が垂れていて、それが床に絵を……。


「これは……」


 魔法陣、だろうか。

 まあ、ブタにしては、よく描けた絵だと思うが。


「ということは、つまり……」


 どういうことだ?


「ブヒヒッ! ブヒヒヒッ!」


 ――ドシン!

 ブタによるタックルが炸裂。


「ごほおっ! 痛いっ! 痛いって!」


 なんか、怒ってる?

 痺れを切らしたのか、私にそっぽを向いた。


 そして、何やら力を溜めている。


 これは……魔法か。

 ブタが壁に向けて、魔法を放とうとしている。


「≪ブウブブウ≫!」


≪ブウブブウ≫

 難度  ★★★

 属性  水

 使用回数 15/15

 成功率 80%

 説明 水魔法。鼻から水を勢いよく噴き出す。


 ――プシュウウウッ!


 二つの鼻の穴から、水を噴射した。

 

「……凄い」


 魔法だ。ブタが魔法を放っている。

 ブタなのに、魔法を。


「でも、ブルー。あなたはそれでいいの?」


 仮にも、女の子なのに。鼻から水を噴射って……。

 何か大切なものをなくしてはいないか?


「ブヒヒッ! ブヒヒヒッ!」

「私を使ってくれって言ってるの?」

「ブヒッ!」

「そんな姿になってまで、パーティーのために戦いたいって」

「ブヒッ!」

「ブルー……」


 まったく、この娘はどこまで……。


「分かったよ、ブルー。私たちと一緒に戦おう」

「ブヒッ!」


 ようし。やってやるぞ。


 ☆


「カーススススッ! おまえたち、まだやる気なのか? とっくに逃げ出したと思っていたが」

「逃げるわけないだろう。あなたを倒す算段はすでに付いている」

「ほう。それは、まさか……」


 彼は私の足元にいるブルーを見ると、


「そのブタを使った作戦なのか?」

「そうだよ」

「やめておけ。ブタなどなんの役にも立たない! 悪いことは言わんから、早く小屋にぶち込んでおくんだな」

「……」


 カースメイカーと私たちの距離は、まだ離れている。

 ブルーの魔法を命中させるなら、もっと近づかなければならない。


 だが、奴には四本の腕と、二本の杖がある。

 いつものブルーならともかく、ブタの彼女を接近させるのはかなり困難。


「ブラック。あなたがブルーを守るんだよ」

「……ん……」


 魔族が杖を振り上げた。


「シャドーエッジ!」


 影の刃が、私たちに襲い掛かる。


「……神速!」

 

 右に走って、回避。


「……ふっ。シャドーエッジ!」


 もう一度、放ってきた。

 奴の魔法は杖の数。つまり、二発分あるのだ。


「……神速!」


 更に右に避けて、回避。


「……これで二発、撃たせた」


 ブラックに合図を送る。


「前に出て!」

「……ん……」


 ブラックがブタを引きつれ、前に進む。

 

「シャドーエッジ!」


 もう次の魔法か。今度はブラックの方に行く。

 ブラックは『マジックシールド』を使うことで、敵の魔法を遮断する。


「シャドーエッジ」

「セイントスピア!」


 光の槍で、敵の影の刃を撃ち落とす。

 これで、二発分。また、ブタを前へ。


「……ちっ」


 魔族がイライラしながら、舌打ちをする。

 

「勇者ステラ!」


 あいつは私の方へ向かってきている。

 いいぞ。予想通りだ。


 こいつはブルーのことを舐めている。

 だから、私のことを潰そうと考えてるのだ。


「……死ねえっ!」


 両手の爪で、私の体を引き割こうとしている。

 キィン! 剣でガード。


「シャドーエッジ!」

「……神速!」


 右に回り込むように回避。


「シャドーエッジ!」

「……ジャンプ!」


 飛び上がって躱した。


「……よし」


 これで二発目を撃たせた。

 詠唱の間に、わずかな隙ができる。


「今だよ。ブルー!」

「ブヒッ!」


 すでに、ブルーは魔族の背後まで来てる。

 放てるぞ! その距離なら!


「ブヒヒッ!」


 ブルーが力を溜めている。

 そして――。


「カーススススッ!」


 そのとき、魔族が笑い出した。


「勇者ステラ。どうやら、勘違いしているようだな」

「……え?」

「『私の魔法が二発しか撃てない』。おまえはそう思っているようだが」


 そう言うと、魔族が力を入れて、


「……ふん」


 ニョキっと、背中から新たな腕が生えてきた。


「……なっ」


 何!? 腕がもう一本生えて……。


 カースメイカーは勝ち誇るように言った。


「この時を待っていたのだ! おまえたちが、のこのこと現れて。この私に隙を晒すのをな!」


 魔族は杖を構えて、


「リフレクション!」


 呪文を唱える。


「さあ! 愚かなブタよ! 自らの魔法によって、その命を終わらすがいい!」

「……ブヒッ!」


 駄目だ。ブルーの詠唱は完了している。

 もう魔法を止めることができない。


「死ねえ! 消えろお!」

「……ブルー!」

「……」


 様子がおかしい。

 魔族の『リフレクション』が発動していないのだ。


「……これは、いったい」


 腕を見ると、そこには模様が浮かび上がっている。

 

「……しまった。これは狩人の」

「シールアロー」 


 グリーンの放った矢により、封じ効果が発生。


「……んぐっ……くっ」


 杖を上げきれてない。

 つまり、カースメイカーは魔法を使えないのだ。


 そして、今度はブルーの魔法が……。


「≪ブウブブウ≫!」

「ぐおおっ! や、やめろお!」


 プシュウウウウッ!

 鼻から水が勢いよく、噴き出す。


 魔族は防御もままならず、それを全身に浴びてしまう。


「ぎゃあああああっ!」


 その体中から白い煙が立ち込めて、表皮が溶けていく。

 あれだけ硬かった奴の表皮は曲がりくねり、柔らかくなってしまった。


「……な、何故だ。私がこんなブタなんかに」


 私はそいつに向かって剣を突きつけた。


「あなたの敗因は、ブルーを舐めていたことだ!」

「……くっ」

「最後は、私の技で終わらせてあげる」


 受けてみろ。

 私の奥義――。


「……流星!」


 鮮やかな光に包まれた。

 私の剣は、凄まじいスピードで、敵を切り刻む。

 十……二十……三十……


「……カ……カカス」


 敵の腕が切れ、足が切れ、頭が切れる……四十……五十……。まだ、続く。体が細切れになる。それでも、終わらない……六十……七十……粉々になり、跡形もなくなっていく。

 

「……」


 最後には、砂になった死体だけが残った。

 風に飛ばされ、どこかに流れていく。


 私は剣を収め、背を向けた。


「……ふう」


 カースメイカー。

 討伐完了だ。

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