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人間不信の万能勇者は六人に分裂するようです~「私が六人いれば、それがドリームパーティーだ!」~  作者: 朝昼夜
第10章 会長の登場。三体目の魔族『カースメイカー』との戦い。
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第95話 シールアロー


 本屋から転送陣に乗り込み。

 私たちは、アイテム屋までやってきた。


 まず、目の前に飛び込んできたのは、袋詰めされたビスケット。瓶詰めされたジャム。栄養補給のためのサプリメントなど。


「携帯食料のようですね」

 

 冒険者には、こうしたアイテムが必要になる。


 ダンジョン探索は日替わりばかりでない。

 数日、あるいは数十日単位の時間がかかってしまうこともよくあるからだ。


「薬品棚は奥か」


 あと、一つか二つほど、棚を超えて行かないとならない。


「グリーン。敵はいる?」


 彼女はムムムっと唸ると、


「二十体いるー」


 本屋のときと同じだな。

 基本の配置は、この数ってことなんだろうか。


 だが、すぐに増えるだろう。

 さっさと先に進まないと。


「≪シードローン≫で削って行きますね」

「うん。お願い」


 私はブラックを背負ってるせいもあって、身軽に動くことはできない。

 グリーンの感知を頼りに、敵と鉢合わせないように心がける。


 ドローンが人形を八体ほど葬ったころ、私たちは奥の棚まで到達した。


「ここは……」


 煙玉や催涙弾、閃光弾など。

 魔物を無力化させるための補助アイテムが並んでいる。


「薬は次だよー」


 隙間から覗くと、隣にもう一つ棚がある。


「次の棚?」

「そうだよー。薬の匂いがするからー」


 うん。匂いね。

 私には店に入ってから、ずっと匂いがしてきてるけど。


 おかげで頭がクラクラするし、暗いからどこに何があるかも判別しづらい。


 そのとき、どこかから声が響いた。


「やらせはせんぞ」


 カースメイカー。

 屋敷の中でも聞いた奴の声だ。


「ステラさん!」

「……え?」


 見ると、マギーくん人形がいる。


「マギー! マギー!」


 約二十体ほど。

 つまり、グリーンの感知した全ての人形が集まってきている。


 その狙いは、私達ではないようだ。

 彼らは一様に、奥の棚へと歩み寄って行く。


「……あいつら、いったい何を」


 人形たちが一斉に杖を振り上げた。


「エクスプロージョン!」「エクスプロージョン!」「エクスプロージョン!」


 自爆の連打!

 衝撃で棚が傾くと、床から薬品が零れ落ちた。


 パリーン! パリーン!


「……ぎゃあっ! 薬品を……」


 更に、杖を振り上げた。


「エクスプロージョン!」「エクスプロージョン!」「エクスプロージョン!」


 ガシャン! ガシャン!


 薬品棚は、爆発によってめちゃくちゃになった。


「マギー!」


 人形の一体が、倒れた棚の上に飛び乗った。


「これで盾職は、回復できまいっ!」


 おのれ! カースメイカー!

 私たちの行動を読んで、先回りしていたんだな。


「……どうしよう」


 本当に、ヤバいんだけど。


「来ますよ」

「マギー!」


 私たちの前に、人形たちが現れた。

 包丁をギラつかせて、私たちに歩み寄ってくる。


 ……に、逃げないと。


「ああー! 後ろからもー!」


 こちらも包丁をブンブンと振り回している。

 完全に挟み撃ちされてしまった。


「あわわわ」


 私が慌てていると、誰かが声をかけていた。


「こっちだ、勇者」


 女の子の声だ。


「グリーン。何か言った?」

「言ってないよー」

「じゃあ、ブルー。あなたが」

「いえ、違いますが」


 誰だよ、いったい。


「下だ。勇者。床を見ろ」


 見ると、手が伸びている。


「うおっ!」


 床が外れ、そこから両目が覗いている。

 この下に、小部屋でもあるのだろうか。


「いいから、入れ。間に合わないぞ」

「うん」


 私たちは扉を開けて、床下へと侵入した。


「シュコー。シュコー」


 ガスマスクをした女性がいる。

 職業はアサシン。ランキングは四位だったかな。


「危なかったね」

「うおおっ! アサシンが喋ってるっ!」

「え? ボクは喋るけど。人間だし」 


 問題は、彼女が喋れるかどうかではない。


 何故、ここにいるのか。

 それを聞いてみよう。


「薬。欲しかったんだろ?」

「そうなの。でも、壊されちゃって」

「ほい……」


 アサシンは私にポーションを投げてよこした。


「飲ませてあげるといい。すぐに回復できるはずだ」


 私はブラックを寝かせて、薬をのませた。


「……ゴクリ」


 すると、見る見る顔色が良くなっていく。


「おおっ!」

「薬は先に安全な場所へ移動してある。奴らが割ったのは、空のガラス瓶さ」


 たしかに、液体の零れたような形跡はなかったな。


「これで行けるだろう。相手は魔族。奴らを倒すのは、勇者であるキミの役目のはずだ」

「いや、それが……」


 私は説明した。

 人形が多すぎて、本体の位置が掴めないのだと。


「……なんだ、そんなことか」


 アサシンは呆れたように、肩をすくめた。


「勇者には、闇の力を見抜くことができる。そういうスキルがあるのだと聞く」

「え? ないけど」

「あるはずだ。キミは勇者なんだから」

「……」


 そんなもの、あったっけ……。


「うーん……」


 私のスキルをチェック。

 ブレイブラッシュ……神速……マックスブレイブ……。


「やっぱり、ないような……」


「ステラー。ドラゴンさんにもらった奴だよー」


 ドラゴン? 神竜様のことか?

 何かもらったんだったかな……。


「……ああっ! ≪エビルスキャン≫!」


 神竜様は、伝説の勇者のスキルだと言っていた。

 これのことか!


「……行ける! このスキルは、敵の正体を暴き出す効果もあるんだ」


 お屋敷で会ったときに、怪しいと思っていたのだ。

 あの人に使用することができれば……。


 ――ガンガン! ガンガン!


 天井を叩く音がする。


「マギー」「マギー」「マギー」


 人形たちが天井を破壊し、床下に侵入しようとしているらしい。


「まずいですよ。一斉に襲いかかってこられたら」

「そうだよね。せっかく、ブラックも回復できたのに……」


 アサシンが前に出た。


「……シュコー! ボクがなんとかしよう」

「できるの?」

「ここは、アイテム屋。手元には、大量のアイテムがあるんだ。いくらでも、やりようはある」


 ――ヒョイッ! ヒョイッ!

 アサシンは扉を僅かに開けると、そこからアイテムを投げ込んだ。


 ――カラカラ! プシュウウウッ!

 何かが床に転がって、煙が噴き出るような音がする。


「ぐわあああああっ!」


 ……く、苦しんでる。

 よく見えないが、敵が痛がってるのがよく分かる。


「何を投げたの?」

「催涙弾(高品質)。浴びれば、一時間は涙が止まらないと言われる優れものさ」

「……それは辛そう」

「空調も自分で止めたようだから、自業自得だけどね」


 彼女は扉を開けて、私たちを先導した。


「シュコー! 今のうちだ。奥の転送陣へ」

「うん。みんなも行こう」


 私たちはバタバタと駆け出し、魔方陣へと向かっていく。


「……マギ」


 人形たちが床に転がっている

 みんな部屋に充満するガスにやられてしまったらしい。


「ああ、グリーン。ちょっと来てくれる?」

「キョウ。なになにー?」

「キミにスキルを教えてあげよう。手を貸してくれる?」

「はーい」


≪シールアロー≫

 難度  ★×8

 属性  無

 使用回数 15/15

 成功率 100%

 説明 各部位(頭・胴・腕・手・足)に矢を放つ。敵単体に『封じ』の効果。


「封じー?」

「そう。影縫いだと、魔族には効かないからね。今度からは、このスキルで敵を拘束するんだ」

「わかったー」

「いい子だ。さあ、キミもすぐに陣の中に入って」


 私たちは転送陣に乗り込んだ。

 

「……転送開始!」


 ブイイイイイイイイン! 

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