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人間不信の万能勇者は六人に分裂するようです~「私が六人いれば、それがドリームパーティーだ!」~  作者: 朝昼夜
第10章 会長の登場。三体目の魔族『カースメイカー』との戦い。
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第93話 エクスプロージョン


 現在のメンバー……。


 メインメンバー:ステラ ブルー グリーン ブラック

   控え   :ピンク (ミリア)


 ピンクは置いてきた。

 悪いが、この戦いにはついていけそうもない。


 というのは、冗談で。

 ミリアが寂しがるからだ。

 ギルマスにも言われているし、彼女を一人にするのは避けておきたい。


 それに、四人編成の方が動きやすい。

 六人いると、棒立ちの人も増えてくるので。


 ――ブイイイイイイイン!


 ここは、広場か。昼間にも来たところだ。

 今は夜中だけあって、空は暗くて、月が出ている。


「転送陣は、起動できるみたいですね」

「うん」


 あいつは追ってこいと言ってたからな。

 本当に、私を仕留めるつもりでいるんだろう。


「町は普通だねー」


 たしかに。町の人々は、至って普通。

 いつも通りの生活を送っている。


 人形が暴れていれば、もっと騒ぎになっているはず。

 まだ、広場には来ていないってことだろうか。


「それはありえません」

「どうして?」


 ブルーは、私に説明した。


「ここは、中央広場。他の部屋に行くにしても、まずはここを通り抜けねばなりません」


 そういや、サモネアの町は、転送陣に絵が描いてあるんだったな。


「例えば、剣の絵なら、武器屋にしか飛べないの?」

「ええ。変更は無理だと思います」


 つまり、制御キーがあっても、目的地までは操作できないってことか。


「今、ステラさんの後ろにあるのが、屋敷に繋がる転送陣です」

「……ふむ」

「広場には、他に五つの転送陣がありますが。いずれも、あの噴水より奥にあります」


 ヴァイケンさんのいた噴水のことだ。


「というか、水あるじゃん」


 メアリは、水不足がどうとか、言ってたけど。


「とりあえず、グリーンさんに」

「よし! やって!」

「わかったー」


 グリーンが頭を抑えて、ムムムと唸った。


 彼女の感知は、魔物と人間はきっちりと区別ができる。

 たとえ、人ごみの中だろうと、おおよその人数までピタリと的中させる。


 魔族が先手を打って妨害をしてなければ、まず察知できるはずだが……。


「あーあー」

「おお。グリーン。何か見つけた?」

「あれー!」


 人形を発見!

 どうやら、彼女の感知に引っかかってしまったようだ。


「出てきたね。ようし。退治だ」


 私は剣を抜いて、戦闘の準備をする。


 さっきは油断してしまったが、所詮は一体の人形だ。

 私たち四人が集まれば、討伐は造作もない。


「待ってください。様子がおかしいですよ」


 うむ。ブルーの言う通りだ。

 人形は包丁を振り回したり、杖から魔法を放ったりもしていない。


 先ほどから、黙々と作業をしているようだ。

 あまりに熱中しているからか、私たちにも気づいてないと見える。


「何あれ? 箱?」


 一メートルほどの箱を開けようとしている。


 ――ガチャガチャ!


「……くっ……んん」


 力は足りてるようだけど。

 あのイモみたいな指で箱を開けるのは、さぞ難しいことだろう。


 彼の心中はお察しするが……。


「あいつ、何がしたいんだ?」


 ――カチッ!


 箱の蓋が開いた。

 中にはたくさんの人形が詰まっていたようだ。


 みんな、マギー人形だ。

 魔術師協会の不気味なマスコットである。


「……あの、私、先が読めましたけど」

「うん。私も」


 ガシャッと箱をひっくり返すと、地面に人形たちが転がった。

 その数は……ざっと百体はあるだろうか。


 彼らは、一様に声を発した。


「マギー!」「マギー!」「マギー!」


 そうして、全員が立ち上がり、包丁を突き付けたのだ。


「……こ、怖い」


 操れる人形は、一体だけじゃないのか。


「来ますよ」

「うん」

「マギー!」


 同時に三体が、私に襲い掛かってきた。


「……ジャンプ!」


 飛び上がって、回避。


 先ほど戦ってみたときは、かなり力が強かった。

 私のガードさえも、余裕で突き破ってくる。


「……ん……」


 ブラックが挑発を発動する。

 これで敵の注意を、私から逸らすことができる。


「マギー! マギー!」


 キィン! キィン!


 ブラックが攻撃を引き受けている隙に、私は空中から全体を見渡してみる。


「……たぶん、本体が……」


 いると思うのだ。

 制御キーを持ってる奴。


 私の予想では、そいつだけが痛みを感じ、ダメージを受ける。

 他の人形をいくら切ったところで意味はないはずだ。


「ダイダルウェーブ!」


 ブルーが高波を発生させ、人形たちを押し流した。

 その体はボロボロに崩れていく。 


「……マ、マギー」

「……うーん」


 見つからない。本体はどいつだ。

 マギー人形は、みんな同じ顔をしているのだ。


 これでは、さっぱり見分けがつかない。


 どこかから、声が響いた。 

 

「まずは、その目障りな盾職から潰すべきだな」


 ブラックのことを言っているのか。

 今のところ、包丁の攻撃は確実に受けきっている。


 彼女のガードは固い。

 きちんと防御に徹していれば、人形に破ることはできないだろう。


「……マギー」


 すると、人形の一体が、杖を振り上げた。


「……魔法か」


 しかし、彼女には『マジックガード』もあるのだ。

 あれで大抵の魔法はノーダメージに抑えられる。


「エクスプロージョン!」

「……なっ」


 自爆だと。

 人形が破裂し、小規模な爆発が引き起こった。


 だが、その程度ではブラックのガードは……。


「エクスプロージョン!」「エクスプロージョン!」「エクスプロージョン!」


 まさかの自爆の連打。

 人形たちが次々と破裂し、その身を散らしていく。


 ブラックは盾を前に出し、爆発の衝撃を押し殺す。


「エクスプロージョン!」「エクスプロージョン!」「エクスプロージョン!」


 自爆の連打はまだ続いている。

 こいつ、しつこいな……。


「……ん……」


 ――ピシッ!

 飛び散った破片の一部が、彼女の頬に傷を付けた。


 ほんのかすり傷に過ぎない。

 ダメージとも呼べないものだったが、魔族が勝ち誇ったように笑った。


「傷を負ったな!」


 人形たちが、杖を振り上げた。


「アディショナル!」「アディショナル!」「アディショナル!」


 今度は、付与魔法の連打。


 こいつ、ウザい。

 こんなごり押しで、ブラックのガードを。


「……ん……ん……」


 四方からの『アディショナル』により、彼女には複数の状態異常が付与された。

 

 毒、麻痺、火傷、凍傷。

 ついでに追加のダメージも受けてしまう。


 ブラックの体がぐらついた。

 麻痺にかかると、上手くガードができないのだ。


 それを見計らったように、人形たちが包丁で切りかかってくる。


「マギー! マギー!」

「……ん……ん……」


 ブラックの肩に包丁が突き刺さり、彼女がうめいた。


「……んぐっ!」

 

 まずいな。

 このままでは、ブラックが落とされてしまう。


 私はブラックを抱え上げて、スキルを発動した。


「……神速!」


「逃がすものか!」


 人形たちが追ってくる。


「グリーン」

「アローレイン!」


「マギー! マギー!」

 

 矢の雨をしのぎながら、迫ってくる。


「どうするんですか? 今のままでは集中砲火ですよ」

「……うん」


 広場で戦えば、取り囲まれてしまう。

 ブラックでも耐えられないのだ。当然、私たちでは受けきれないだろう。

 

「位置を変えるよ」

「はい」


 私たちは噴水を逸れて、転送陣に向かう。


「よし! ここだ!」


 魔方陣に入った。


「……転送開始!」


 ブイイイイイイン!

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