第82話 メタルスライム
只今、リトルサモナーと交戦中。
敵の能力は、召喚したものをメタル化させる『メタリックサモン』。
「ケーケケケ!」
ボフっと音がして、モンスターを召喚。
「スラ―!」
今度の相手は、スライムたちか。
普段は青い液体のような体だが、今はメタル化している。
先ほど、カマキリと戦った感じでは。
物理には異様に強く、魔法は反射してしまう。
おそらく、このスライムも似たような性質だろう。
しかも、今までと違って複数同時に出してきた。
ざっと見て、10匹ほどはいる。
これは油断ならないぞ。
「……ん?」
隣にいるミリアの様子がおかしい。
そっちの方が気になってきた。
「きゃああああっ!」
「え? 何? いきなり、どうしたの?」
「きゃああっ! きゃあああっ!」
「叫ぶだけじゃ分からないってば」
何を興奮しているんだ。
スライムと言えば、その辺りをぴょんぴょんと飛び跳ねているだけだ。
まだ、危なくないし、怖くもない。
叫ぶ要素なんて、どこにもないんだけど。
「あれは、メタルスライムです!」
ミリアが迫真の顔で言った。
たしかに、メタル化したスライムだが、それがどうした。
「英雄時代。伝説の勇者はモンスターを倒すことで、自身の経験値を高めたと言われています」
経験値? まあ、敵との交戦を続けていれば、自然と経験は得られる。
たぶん、そういう意味だろう。経験値って。
「そのときに勇者が狩っていたのが、メタルスライム。その膨大な経験値により、レベルを一気に引き上げることができたとか」
「へえ。凄いモンスターなんだね」
「はい。まさにレベル上げの特効薬。戦うほどに、強くなっていくのです」
ふーん。昔の話なので脚色はあるだろうけど。
実は、普通に魔物を倒す方が効率が良かったり。
「くるよー」
グリーンの言うとおり、スライムが迫ってきた。
「スラ―!」
スライムたちが、ミリアに襲い掛かってきた。
「ええっ。私?」
さっき、スパークを使ったせいで目立っちゃったか。
三匹が一斉に、突進をかけてくる。
「ブラック」
「……ん……」
挑発を発動し、敵を引き付ける。
カン! カン! スライムが盾にぶつかってくる。
「スラ―!」「スララー!」
「……ん……」
ブラックがお返しとばかりに、盾で殴りつける。
しかし、スライムには効いていない。
元気よく飛び跳ねている。
「スララー!」「ララー」
「……ん……ん……」
五、六匹が集まってくると、ブラックを取り囲んできた。
そして、盾にぶつかってくる。カン! カン!
シュウウウウウッ!
盾から白い煙が出てきた。
「ブラックさんの盾が変ですよ」
「うん。あれはスライムの特性なの」
スライムは武器や防具を溶かしてしまうのだ。
ほっとくと、使い物にならなくなる。
「それってまずいんじゃ……」
「そうだね。対策を練らないと」
普通のスライムなら、一撃で倒すことができるんだけどな。
それはもう効率よく。さくさくと。
「そういえば、勇者ってどうやって倒してたの? たくさん狩ってたんだよね」
「えっとですね。それは会心の一撃というものを使って」
「会心って、クリティカルのこと?」
「ええ。こうバリバリ! ドッカーンと。格好よく!」
そうか。クリティカルね。
「貴重な情報をありがとう」
「いえいえ」
メタル系にも、きちんと攻略法があるのだ。
そして、勇者はそれを技として残している。
「あんまり好きじゃなかったけど」
使用後にデメリット系の技って、使いにくい。
そうは思わないだろうか。
「なるほどね。こうやって使うわけか」
では、このスライムたち。
さくっと、倒してやるとしよう。
「マックスブレイブ!」
≪マックスブレイブ≫
難度 ★★★★★
属性 光
使用回数 5/5
成功率 100%
説明 別名―勇者の怒り。一定時間、全ての攻撃が確定クリティカル。使用後、全能力↓↓
私が手を掲げると、空が雲で覆われ、そこから雷が落ちてきた。
力がみなぎってくる。
「……神速」
私はブラックの元まで駆け付ける。
「スラ―!」「スララー!」
まずは側にいる手頃なヤツから狙うとしよう。
剣を抜き放ち、スライムの頭に切りかかった。
「はああああっ!」
「スラ―!」
ゴン!と音がすると金属の体にヒビが入った。
「……浅かったか」
まだ要領は掴めないが、今度こそ。
「ブレイブラッシュ!」
――ゴシャ! よし、良い音だ。
敵の頭が完全に潰れ、メタルの表皮が粉々になる。
中から青い液体が出てきた。
メッキだったのか。てっきり、全身が金属だと。
「……ふっ。どうよ」
「ステラさん。凄いです」
ミリアが目を輝かせている。
「何を他人事みたいに。ミリア。あなたもやるんだよ」
「え? 私も?」
「教えたでしょう。今、使わないで、いつ使うの」
「……はい。マックスブレイブ!」
ミリアに力がみなぎってきた。
「スパークをやってみて」
「でも、それだとブラックさんも巻き込むことに」
「あの娘は大丈夫。たいして効かないから」
「はい」
彼女はブラックに接近していき、両手をかざした。
「スパーク!」
黄色の電撃が発生し、スライムたちに襲い掛かる。
ビリビリ! バリバリバリ!
「スラ―」「スララー」
「……効いてる」
クリティカルが出ているからだ。
基本的に、魔法は会心の一撃にはならない。
けど、一部の魔法は例外的に、クリティカルが発生する。
スパークもその一つ。あとはフレア系とかも。
「……スラー」
あっという間に、メタスラたちが黒焦げに。
「やりました!」
「うん。今のミリア、勇者みたいだよ」
伝説の勇者も、わりと効率プレイなのかな。
どうでもいいけど。
「ケーケケケ!」
「また、出して来ます」
「……しつこいな」
もうネタは割れた。
あとはクリティカルで、敵を殲滅していけばいいだけだ。
「スライムじゃないよー」
グリーンが何か感知したようだ。
「何が出てくるの?」
「えっとねー。もっと大きいのー カマキリよりも大きいものだよー」
え? カマキリより?
あいつ、2メートルぐらいあったけど。
「ケーケケケ!」
ボフっと音がして、モンスターが出現。
現れたのは……。




