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第78話 サモナーさんが来る


 「……幸運のしっぽか」


  神竜様のクエストで必要なアイテムだったのだが。

  二つ手に入ったので、一つもらってきてしまった。


「ドロップアイテムが二つだったんだよね」

「うん。たまにあるんだよ。ドロップが二つあること」


 ノーマルとレアドロが、2種類あるタイプだ。

 ハッピーラビットはそれが両方とも尻尾だったと。


「もぐもぐ。ところで、このカレーおいしいな」

「あたしが切って、煮込んだんだぜ」


 夕食当番は、レッドとブルーだったか。

 悪くない組み合わせだな。大雑把な人と、細かい人。


「でも、辛いかも。舌が痛い……」

「フルーツサラダも用意してますよ」

「ありがとブルー」


 で、幸運のしっぽの話だが。

 ミリアには要らないと言われたので、誰かにあげよう。


「はい。誰か欲しい人! 手を上げて!」

「……」


 誰も、手を上げないだと!


 もふもふでふわふわで、ケモナーが喜びそうな肌触りだぞ。

 かわいいだろ。私は要らないけど。


 そう思っていたら、一人が手を上げた。


「……レッド」


 あなた、興味あるの?

 意外なんだけど。


「効果を教えてくれよ」

「え? 幸運が上がるってだけだけど」


 それを聞くと、レッドの目が輝いた。


「欲しい! あたしにくれ!」

「いいけど。ファンシーだよ。もふもふだよ」

「ふぁんし? よく分かんねーが、別にいいよ」


 レッドはズボンの腰に、アクセサリーを引っかけた。


 白い綿毛のような装飾品で、かわいらしいが。

 本人が堂々とした佇まいだからか、変な感じはしない。


「これでいいな。あたしはラッキーになれるぞ」

「何? 幸運が欲しかったの?」

「ああ。運の良さって大事だろ? これで、戦いが楽になるぜ」


 レッドは財布を金ぴかにしちゃうタイプかな。

 あんなの意味ないよ。金運が上がったりしないからね。


「へへへ。それにな。新技もあるんだ」

「新技? どんなの?」

「秘密だ。けど、あたしのラッキーで、敵をぶった切る。任せとけ」

「……おお」


 魔族もいることだし、レッドの強化は望ましいところ。

 しかし、新技か。かっこいい響きだ。私も二つぐらい隠し持つかな。


「ごちそうさま」


 夕食は終了したので、後片付け。


「ステラさん。ちょっといいですか?」

「どしたの、ミリア」

「私の部屋まで来て欲しいんですが」

「部屋まで来て……」


 ついに、お誘いが来たか。

 長かったが、これでゴールイン……。


「お姉さまも一緒ですよ」

「……うん。知ってる」


 よく分からないが、行ってみよう。


「変な物音がするんです。それをお二人に確認してもらいたくて」


 ネズミだろうか。

 この家にはいないと思いたいけど。


「どうぞ」


 ミリアの部屋に入るのは、これで何度目だったか。


 桃色の壁紙に、カーテン。そして、カーペット。

 全体の彩色がピンクなのは、相変わらずのようだ。


「さてと、ネズミは……」


 明かりを灯しているので、室内は明るい。

 部屋の中を見渡してみるが、特に不審な点はない。


「物音もしないよ」


 ピンクの言う通りだ。

 室内は夜らしい静けさ。窓も閉めてあるので、風も吹いていない。


「気のせいなんじゃないの?」

「そ、そんなはずありません。よく探してください」


 そうは言われてもね。

 年頃の女の子の部屋を物色するってのも、気が引けるものだ。


「隠れられそうなのは……」


 このクローゼットの中だろうか。

 ――ガチャリ


「……くんくん」


 花の香りが……これはスミレか。

 どこかの貴族も愛したと言われる香りで……うん。ミリアの匂い。最高。


「何もないな」

 

 あとは、どこだろう。


「ベッドを見てください」


 ベッドを? やれやれ。困った娘だ。

 シーツに枕に……。布団を被って。

 

「……はあ……はあ。くんかくんか。スーハ―スーハ―!」


 やべえ! ミリアの匂い、たまんねえ!


「……ステラちゃん。さすがに、それは同性でも」


 ピンクが引いてる。


「誰が布団の中に入れって言ったんですか!」

「え? ベッドを見ろって」

「ベッドの下ですよ!」

「……ああ。下ね」


 床に顔をくっ付けて、下を覗いてみる。


「うーん。特に何も……ん?」

「ケケケ」


 何か見てはいけないものが、見えたような。


 坊主頭をした魔法使いの姿。

 こいつは昼間に見た……。


「ケケケッ」

「うわあああっ!」


 私は思わず起き上がって、ベッドから離れた。


「ステラちゃん。何かあったの? 凄い顔をしてるよ」

「……うん……うん」


 おいおい。どういうことなんだ。

 ここは家だぞ。町の中だぞ。


 どうして、モンスターがいるんだ。

 それって、侵入しちゃったってことじゃなのか?


 ヤバくないか。

 いや、絶対にヤバいぞ。


 しかも、この魔物は召喚術を使うのだ。

 下手すると、召喚に継ぐ召喚で、町が大惨事に。火の海に。


「あわあわ。あわわわわ」

「ステラちゃん。しっかり」


 なんとかしないと。

 すぐに、対処だ。こいつはすぐに処理を。


「ミリアはごめん。部屋から出て行ってね」

「え? え?」

「グリーン!」

「はーい」


 ドアを閉めて、鍵をかけておく。

 こうしておけば、ミリアには危険が及ばないだろう。


「グリーン! あいつの動きを止めて」

「うん。弓を出すねー」


 今は装備をしてないので、準備に少し手間取っている。

 とりあえず、さくっとやりたいところだが。


「ケケケッ!」


 だが、私たちが動くよりも先に、リトルサモナーが杖を出した。

 何か呪文を唱えようとしている。


「グリーン。早く」

「待ってー」


 魔物が声を出した。


「ケーケケ!」 

「ぎゃあああっ!」


 意味もないのに、目を閉じる。

 まずいぞ。飛んでくるぞ。


「……」

「……」

「……あれ?」


 何も来ない。

 グリーンの準備ができたようなので、影縫いをしてもらう。


「……ケケ」


 よし。固まった。

 魔法を使うには一定の動作が必要になるので、拘束状態では使用できない。


 今のうちに、私が剣で切り刻む。

 リトルサモナーは思ったより体力が高く、しぶといことで有名。


 しかし、連続で切り込めば、一分とかからず仕留められる。

 

 ――ドサッ!

 首を落としたことで、モンスターの体が消滅していく。


 そして、ドロップアイテムは召喚石。消費することで、召喚魔法が使えるアイテムだ。

 今はどうでもいいが、モンスターを倒した証拠にはなる。


「……ふう」


 一息つく。なんとかなったようだ。

 たぶん、私のミスだと思うので、今後は気を付けよう。


「終わりましたか?」

「うん。ごめんね。もう心配ないから」

「それはよかったです」


 だが、私の見立ては甘かったようだ。


「……ステラちゃん」

「……え?」


 ミリアの背中に何かが張り付いている。

 あれは……。


「リトルサモナー」


 どういうことだ。

 あいつは、つい先ほど私が倒したはず。


「……はっ。そういうことか」


 さっき、奴は呪文を唱えていた。

 あれは不発だと思ってたんだけど、そうじゃなかった。


「召喚してたんだ。自分と同じリトルサモナーを」


 つまり、自分を増やせるようなものか。

 このモンスター、見かけによらず、厄介だぞ。


「ケケケケ!」


 更に、まだ面倒なことが起ころうとしていた。

 奴の額から、ニョキっと一本の角が生えてきたのだ。


「……ミリアの魔物活性化体質か」


 まずいな。

 このモンスター、レベルアップしてやがる。

 

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