第75話 ランキング
「ランキング?」
つまり、ポイントに応じて、順位を付けてるってことか。
「ライバルたちと切磋琢磨し、しのぎを削り合う。これこそ、冒険者の醍醐味だと思いませんか」
何か、もっともらしいことを言ってる。
「おおっ! その通りだ! 強敵との殴り合いは燃えるぜ!」
「レッドさん。分かってくれますか」
まあ、私にも理解はできるぞ。
ランキングを駆け上がって行くのは、楽しいかもしれない。
「ステラさん。こちらです」
ズルズルと引っ張られて、壁の前に到着。
貼り紙には、順位が書かれている。
月間と週間と日間。三つに区分けされている。
「ここに乗ってるのは、百位以内ですね。ランク入りすると、月毎に賞金がもらえるようになります」
そうは言っても、この順位って国レベルの話だろう。
数えたことはないが、冒険者ってかなり多いよな。
そこから100位以内って、めちゃくちゃ凄いことなんじゃ……。
「あんまり知られてないですし」
「そうか。まず存在を知らない人もいるのか」
とにかく、見て行こうかな。
月間ランキング。
100位……99位……。
「……あっ」
「どうしたの?」
ピンクが訪ねてきたが、少し説明にくい。
「……ロイド君が、98位に」
「誰?」
「……私を追放した人」
……うぅ。思い出すと、涙が。
「辛かったね」
「うわああああん! ピンク!」
「よしよし。良い子だから泣かないで」
「……ぐすん」
抱きかかえて、頭を撫でてもらった。
……ピンク……ママ。
気を取り直して、次に行こう。
「と言っても、あとは知らない人ばっかり……ん?」
13位に見覚えのある名前が。
メアリ・クロフォード。
「メアリだ。ちゃっかり……というか、がっつり順位に入ってる」
13位って……。
頑張れば、トップテンにも食い込みそうじゃないか。
いつの間に冒険者をやっていたんだ
諜報活動で、忙しいんじゃなかったのか。
「それもポイントに含まれているのでは?」
と、ブルー。
彼女の言う通りかもしれない。
メアリは実力もあるので、普通にランク入りしてる可能性もあるが。
しかし、だとすると、メアリが言ってた『偉い方々』って。
もしや魔術師協会か?
「いや、詮索するのはよそうか」
大して興味もないしな。
「他に面白そうなものは……」
アサシン、剣聖……。
この二人が目立つ。順位が高くて、肩書がガチっぽい。
勇者や聖女も、十分ガチではあるんだけど。
どうも、かませというか。
戦闘特化な職業と比べてしまうとな。
その他は、魔法使いが多い。
やはり、魔術協会が絡んでいるからだろうか。
「ステラちゃん。見て」
ピンクが何か見つけたようだ。
「……どれどれ」
そこには、聖女メアリよりも驚きの名前が。
28位:マイ(マイコニド)
「いやいや。マイって……」
キノコ型の魔物なのだ。
人間の姿に近くても、それははっきりとわかると思う。
何故、モンスターが冒険者のランキングに。
「あと、28位って」
高すぎるだろ。
どうなってんだよ、冒険者。
「意味が分からない」
「じゃあ、直接、聞きに行けばいいだろ」
「……なるほど」
☆
というわけで、聖なる森。
その奥の洞窟までやってきた。
ややこしいので、今度からは『聖なる洞窟』と呼ぼう。
「そうか。28位だったか。報告してくれて感謝する」
マイは、まったく喜ぶ様子を見せない。
順位が多少上下したところで、大差はないのか。
きっと、普段から三十位前後なのだろう、
「ところで、マイって冒険者だったの?」
「そうだぞ」
「なんで隠してたの?」
「聞かれなかったから、答えなかっただけだ」
一応、彼女はモンスター。
討伐される側なのだが。
「一時期、お金が必要になって、アカリダケを売って歩いていたんだ。そしたら、冒険者にスカウトされてな。試験もあっさりパスできたし、やってみようかなと」
突っ込みどころが満載だ。
でも、ギルマスも人手不足だと嘆いてたし。
優秀なら、たとえモンスターでも採用するのか。
「ちゃんと証拠もあるぞ」
――キラリーン
銀色に輝いた。
「……くっ。眩しい」
この光は紛れもなく、冒険者カード。
そこでピンときた。
食堂のおじさんのことだ。
「もしかして、キノコ汁を作ってあげたことがある?」
「そんなこともあったな。できるだけ美味しく食べてもらいたくて」
おじさんは彼女の汁を飲んだわけだ。変な意味じゃなく。
「順位も高いけど」
「ああ、あれか。大したことじゃない」
イラってきた。
先日は、私もポイント増やそうと頑張ったのに。
「三十位以内って、めちゃくちゃ凄いよ」
「……ふっ」
「ああっ! 今、鼻で笑った! この場で切り刻んでやる!」
マイが肩をすくめた。
「実はな。ここだけの話なんだが」
彼女はひそひそ声で話した。
「……裏技があるんだ。それを知ってさえいれば、すぐにポイントが増やせる」
「……裏技?」
「……詳しくは、教えないぞ」
「……むむっ。意地悪!」
すると、後ろから声が響いた。
『マイ。教えてやれ』
「エリュシオン様。しかし」
『そのランキングとやらを上げておけば、いろいろと動きやすいのだろう』
「……ですが」
『ステラは役に立つ。今後のためを思えば、上策と言えよう』
「……はい。エリュシオン様が、そう言うのなら」
裏技。良いことを聞いたぞ。
マイも教えてくれるようだし、楽な方法なら続けてもいいかも。




