第66話 食材探索
バーベキューセットを手に入れたので、美食クエストが受けられるようになった。
そして、今回はダンジョンに潜って、食材探索をすることになった。
今回のメンバー……。
メインメンバー:ステラ レッド グリーン ピンク
控え :ブルー ブラック
野生のドギーピッグがあらわれた!
「ブヒッ! ブヒブヒッ!」
鼻をフガフガさせて、草むらを歩いている。
「グリーン」
「影縫いー!」
――キリリリリ……シュッ……ストン!
矢が影に刺さる。
同時に、ブタの動きがピタリと止まった。
「レッド」
「おっしゃあ!」
駆け出していくと、ブタの体に剣を走らせた。
ブシュッと体から血が出て、横に倒れた。
「……ブヒ」
事切れると体が消えていき、そこからアイテムが現れた。
出てきたのは、『ドギーピッグの肉』。
見た目には、生肉である。
「食材なんて落とすのか? 初めて見たぞ」
「ドロップするモンスターは決まっているからね。このブタはよく落とすの」
と、こんなことをしてる場合ではない。
生肉である。地面に放置してたら汚い。
「ピンク」
「うん。用意できたよ」
じゃん! とバーベキューセットが置いてある。
私はお肉を掴むと、そこに突っ込んだ。
――チン!
生肉が変色し、黒っぽくなった。
「まずそうだな」
「腐りにくい状態になったの。むしろ、良いことだよ」
普通なら、ダンジョンを出る頃には腐ってしまう。
しかし、バーベキューセットに入れると、あら不思議。
生肉(保存)になって、腐敗しなくなるのだ。ついでに殺菌もしてくれるのだ。
「凄くない? とんでも技術の域だよね?」
「ああ。もう何でもいいよ。あたしは難しいこと考えたくないんだ」
先に進むとしようか。
食材探しはテキパキやって行かないとね。
「次は何を狩るんだ」
「ん? ドギーピッグだよ」
「ブタなら、今狩っただろうが」
「今度はレッドに倒して欲しいの。火属性の攻撃でね」
レッドは剣を抜くと、「むむっ」と唸った。
すると、刃が火に包まれ、炎の剣の完成である。
「ブタいたよー」
「ブヒッ! ブヒヒッ!」
「おらよっと」
――ザクッ!
「……ブヒ……ヒ」
体が消えていき、そこからアイテムが現れた。
出てきたのは、『まっかな焼き豚』だ。
「皿の上にのってんだが」
「調理済みでドロップすると、こうなるの」
豚肉はこんがりと焼かれており、湯気が立ち上っている。
嗅いでみると、香ばしい匂いがする。
どれ。一切れ味見してみるとしようか。
「んー。おいしい! みんなも食べてみなよ。冷めないうちに」
三人とも、一切れずつ持っていく。
「わー。からーい」
「ほんとだね。唐辛子でも入ってるみたい」
「まっかな焼き豚だからか」
しかし、中までしっかり火が通ってるし、お肉も柔らかかった。
「ドギーピッグは火属性の攻撃で倒すと、ドロップアイテムが変わります。今みたいに、焼き豚が出てくるんだよ」
「おう。これなら、また狩ってもいいな」
「他にも、水で湿らしたり、逆に風で乾燥させたり。状態異常で倒したりしてもドロップが変化します」
でも、一番多いのが火属性。
なので、食材探しはレッドの出番が、けっこう多めになる。
豚は見たので、モンスターを変えてみよう。
「ピンク。セクシーダンスをして」
「えええっ! わ、私!?」
木に止まった鳥モンスターに、踊りを披露。
「ピンクいいよ。かわいいよ。恥ずかしがらずに」
「うわあん! 止めてえっ!」
ボトっと、木から鳥が落下してきた。
消えていき、アイテムをドロップ。
出てきたのは、『クレイジー・チキン』。
手羽先である。
クレイジーな理由は不明。
そして、みんなで試食タイム。
手羽先を頬張ったまま、レッドが喋る。
「うめえな。こりゃいい。食材さがし最高だぜ」
「気に入ってもらってよかったよ」
「どうして混乱させるだけで、手羽先になるの?」
「なんでだろうね。モンスターに聞いてみたら?」
食材はドロップアイテムだけではない。
卵やミルク、山菜なども全て食材に含まれる。
「……えっと……はちきれ草は、これかな」
「違うよー。それはふくらみ草だよー」
「え? そうなの? じゃあ、はちきれは……」
「こっちー」
「……ふむ」
さっぱり、分からん。
「日が暮れて来たね」
「うん。今日はここまでにしようか」
☆
納品を済ませておこう。
調理済みでも、そこまで日持ちするものではないからな。
「……食堂か。ここでクエスト受けたんだよね」
中に入って、店員に食材を納品する。
「助かったよ。ありがとう」
クエストを一つ終えた。
それでは、次に……。
「わあああああっ!」
なんだ。お店の方が騒がしいけど。
行ってみると、おじさんが突っ伏して泣いていた。
周りの話だと、お酒を飲んでいるうちに、急に泣き出したらしい。
「俺はキノコ汁が食べたいんだよ! キノコ汁が!」
どうやら、キノコ汁が食べたいようだ。
私には関係ないが……。
「ねえ。あの男。前にモンスター競馬場で」
「ああ。万馬券を当てたらしいぜ」
え? 万馬券を当てたの?
「わああああっ! キノコ汁が食べたいよう! 金なら腐るほどあるのに! いくらでも払うのに!」
「……」
たくさん報酬をもらえそうだ。
キノコ汁を渡せば、いいんだよね。
それなら余裕だ。三分もかからない。
「グリーン。キノコ採って来たよね」
「あるよー」
「一つちょうだい」
受け取ったので、バーベキューセットに突っ込む。
――チン!
「……ふう。できた……キノコの天ぷらが」
ちょっと失敗しちゃったけど。
まあ、似たようなものだよね。
「いや、ダメだろ。料理が変わってんじゃねーか」
「いいんだよ。腹に入れば、全部一緒だよ」
おじさんに渡してみよう。
「どうぞ」
「違うんだよ! これじゃないんだよ!」
違うのか。キノコなのに。
「昔、冒険者が作ってくれた懐かしの味なんだ! 忘れられないんだよ!」
男は机に突っ伏せると、ワンワンと泣き出した。
「俺が食べたいのは、『聖なる森』にいる『マイコニド』がドロップする『アカリダケ』のキノコ汁なんだ。それ以外のキノコは認められない!」
新しい単語がたくさんでてきたな。
なんかよく分からないが。
これを取りに行けってことなのか?




