第61話 VSオバケスロット①
私の前に現れたのは、銀色の甲冑を纏った騎士だった。
「ナイトモード」
男はそう言った。
この姿は、ナイト、つまり騎士という職業のことか。
「攻撃をして来い。オレの準備は出来てるぜ」
誘ってるのか。
よし。受けてたとう。
私は剣で、奴の肩をまっすぐ突いた。
キィン! 鎧に阻まれる。
「……かった」
固すぎ!
というのも、装甲が分厚すぎるのだ。
ここまで厚いと、きっと重量もすごいんじゃないだろうか。
どうやって、歩くの? 魔族の謎パワー?
「ブレイブラッシュ!」
スキルを使用。今度は盾で受けたようだ。
この盾も、厚切りステーキ並みの重厚感がある。
「ふんっ」
押し戻すように剣を弾くと、右手の槍を振り回した。
「……神速!」
即座に後ろにさがる。
敵の槍は空を切った。
槍の間合いから出て、態勢を整える。
スピードは大したことないな。
やはり、騎士なので防御特化ということか。
しかし、私だけでは、上手くガードを崩せない。
一人で無理なら、仲間の力だ。
「レッド」
「任せろ! 炎月斬り!」
騎士は、盾で防御。
その隙に、私は『神速』で後ろへ回り込む。
「ブレイブラッシュ!」
背後から切りかかるが、騎士は防御できない。
盾は一枚しかないのだ。二人の攻撃を同時に受けることはできない。
「……ごっ」
ダメージが入った。鎧に衝撃を与えて、頭を揺らした。
『ブレイブラッシュ』はわりと威力が高いのだ。
きちんと受けないと、痛い目を見るぞ。
「どうしたの? もう降参?」
「……ふっ。それなら、盾を増やそう」
そう言うと、槍を捨てて、両手に二枚の盾を持った。
だったら、こっちは、更に人数を増やすだけだ。
「ブルー! メアリ!」
「ウォーターカッター!」
「ホーリー!」
魔法を飛ばして、甲冑の騎士を攻め立てる。
男はスキルの発動で受けるようだ。
「マジックシールド!」
ブラックも使う技だ。
バリアを張って、魔法を遮断する。これでダメージはほとんど入らない。
「次は、あたしだ! おりゃあああっ!」
騎士は盾を前に出した。
先ほどはそれで斬撃をはじかれている。
「そんなもの壊しちまえば問題ねえ! 爆裂断!」
刃が盾に当たった瞬間、爆発が引き起った。
ボンッ! と音がして、盾に大穴が空いた。
「どうだ! おら!」
「……」
騎士は盾をポイっと投げ捨てた。
「喰らえ! 炎月斬り!」
間髪を入れずに、追撃をかける。
敵は、もう一つの盾を構えて対応。
だが――。
ボンッ! さっきと同じ音がして、盾に穴が開いた。
「これはいったい……」
レッドは相手を指さして、大声で笑った。
「バカが! 引っかかったな! 今のは爆裂断だ」
「……やるな、お前」
盾は二つとも壊された。
「モードチェンジ!」
右のレバーをガチャリ。
胸部からスロットが出現し、回転を始める。
やがて、回転が止まり、絵柄が顔を出す。
絵柄は……ウィザード、ウィザード、ウィザード。
再び、闇がオバケスロットを包み込む。
中から、ガシャン、ガシャン、と音がして……。
魔法使いが姿を現した。
黒いローブに、とがった三角帽子。
「ウィザードモード」
見計らったように、 レッドが突っ込んでいった。
「だりゃああああっ!」
「……騒がしい奴だな」
魔法使いは、三角帽子を抑えながら、呪文を唱える。
「リフレクション」
ブイイイイン! 彼の周囲にバリアが発生した。
あれは見覚えがある。アイゴンと言うモンスターも使っていたものだ。
バリアの色は、赤!
まずい……。
「爆裂断!」
――バシン!
爆発による衝撃は、全てレッドに跳ね返った。
分厚い盾を破壊するほどの威力だ。そのダメージは凄まじい。
黒い煙を上げながら、レッドの体は吹き飛ばされる。
「先ほどの礼だ。取っておけ」
「……ごはっ」
そのまま、床に転がるレッド。
魔法使いはバサッとローブをめくり、杖を取り出した。
「……ダークショット!」
杖の先端から、黒い球体が発生。
レッドに向かって、放たれた。
「レッド!」
「……くそっ……」
思うように、体が動かせていない。
さすがに、反射の直撃は厳しいか。
「……ん……」
ブラックが寸前で駆け付けて、『マジックシールド』を発動する。
敵の魔法を遮断した。
「ブラック、ナイス! この隙に……」
私が背後から攻撃しよう。
「ブレイブラッシュ!」
「……リフレクション!」
目の前に、赤いバリアが立ちはだかった。
うん。読まれてるの知ってた。
「ウォーターカッター」
気を効かせたブルーが、魔法で援護。
赤いバリアは、物理だけを反射させる。魔法はできない。
「……ちっ。面倒な奴らだ」
身をよじって、水の刃を回避する。
だが、同時に『リフレクション』も解ける。
「隙あり!」
私は剣を走らせて、奴の右腕を切り落とした。
「ぐわああっ!」
魔族は痛みに震えている。
私から距離を取ろうとするが、逃がすか!
「神速……」
相手の懐に潜り込んで、その体を袈裟切りする。
思ったよりも、体力があるな。
奴は残った左腕で、レバーを握った。
「モードチェンジ!」
レバーをガチャリ!
スロットが回転。
絵柄は……ヒーラー、ヒーラー、ヒーラー。
またまた、闇に包まれるオバケスロット。
今度はどんな手を使ってくるんだ。




