表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/107

第60話 モードチェンジ!


「オレの名は『オバケスロット』。聖女メアリに、勇者ステラ。悪いが、ここでくだばってもらうぜ。魔王様のためにな」


 突如として、私たちの前に姿を現した謎の魔物『オバケスロット』。

 その異様な姿と、やけに自信満々な態度を見て、私は正気を保つのがやっとだった。


「……なっ」


 なんか、変なこと言ってる!

 私のこと『くたばれ』って言ってる。

 というか、魔王って何? 伝説の勇者が倒した魔王のこと?


「ステラ、知らなかったの? そろそろ、魔王が復活するって話」

「初耳です!」

「まだ噂話に過ぎないんだけど。こうして魔族が出張ってくるからには満更ウソではないのかもね」

「ま、魔族!? 魔族がどこにいるの!?」

「……最初から説明した方がいいかな」


 近年、魔族達の動きが活発になってきている。

 というわけで、聖女メアリは偉い方々からの命を受けて、調査を進めているのだ。


「ようやく、しっぽを掴めたかと思えば、この有様よ。もうイヤになるわ」

「ところで、偉い方々って?」

「これ以上は話せないわ。あなたを危険に巻き込みたくないから」


 只今、現在進行中で危険に巻き込まれているような……。


「スロロロロッ! 話は終わったか?」

「……むっ」

  

 とにかく、スロットのお化けを倒さないとな。

 メアリの安全を確保するまでは、クエスト達成とはいえない。


 しかし、『オバケスロット』か。

 初めて聞く名前だし、似たような種類の魔物にも会ったことがない。


 情報がなさすぎる。

 敵の能力も判明していないし、無策で突っ込むというのも。


「情報が欲しいのね。それなら、あいつの足元を見て」


 今、私たちがいるのは、部屋と部屋の間を繋ぐ通路。


 物置きのような場所で、周りには木の柱が何本も立っている。

 壁際には木箱が積まれてあり、メアリが『ホーリー』を放ったおかげで物が散乱している。


 そして、奴の足元に注目してみると、床の色が他より少し薄いことが分かる。

 木箱はカモフラージュ。ダンジョンに慣れている人には、バレバレだ。


「……トラップか」


 忘れそうだが、ここはテーマパークで、光の英雄コースなのだ。

 当然、通路にはトラップもある。気を抜いて歩く冒険者を罠に陥れるために。


「あいつはまだ気づいてないわ。あれを利用しましょう」


 意表を突くことはできるかもしれない。

 やってみよう。


「おおっ! 行くのか!」

「レッドはまだ待機。最初は私から」


 まずは小手調べ。


「……神速」


 相手にまっすぐ突っ込む。

 私は柄に手をかけ、鞘から抜こうとする。


 敵は……無反応。

 ……ちっ。余裕だな。


 直前でしゃがみ込み、足に力を溜める。


「ジャンプ!」


 スキルを利用し、飛び上がった。


 スロットマシンは、私を見上げている。

 視線誘導に成功。足元がお留守だぜ。


「グリーン」

「≪ハリケーン≫」


 ビュウウウウウウッ! 風が吹き荒れた。


「……くっ」


 この突風により、オバケスロットが引きずられる。

 ズズズズズ……。後ろにさがって行く。


 ――カチッ! トラップのスイッチが作動。

 床から、爆発が起こった。ドッカ――ン!


「ぐうおおおおっ!」


 ガレキがスロットマシンに飛び散った。

 マシンは黒いのだが、奴の体は白い擦り傷でいっぱいに。


 普通にダメージは入ってるな。

 少なくとも、固いタイプではないのか。


 ビュウウウウウッ! 風は更に強まって行く。


 さっき確認したところ、後ろにトラップがもう一つあった。

 あれも踏んでもらおう。


 ――カチッ! スイッチが起動。


 床から網が出現し、スロットマシンを絡めとった。

 そのまま、上に引っ張られる。


 拘束系の罠か。これは好都合。


「今よ。攻撃して」


 レッドとグリーンはスキルを使った。


「炎月斬り!」

「アローレイン!」


 炎の剣が、マシンを燃やし切る。

 矢の雨が降り注ぎ、体中が穴だらけに。


「ダイダルウェーブ!」


 ブルーも攻撃。

 波が振りかかると、機械の体がバチバチ言い出した。


「……ん……」


 ブラックもハンマーでボカスカ殴る。

 それ気に入っちゃったの?


「ブレイブラッシュ!」


 私もやっておく。

 壊れろ! 壊れろ!


「……ごがが……」


 スロットマシンから、いくつも部品が落ちていく。


 体は崩れ始める。

 腕や足も、すぐにも外れてしまいそうだ。


 押し切れるんじゃないか。

 そう思ってしまうほど、奴はボロボロだった。


「本当に、これだけだと思う?」

「メアリ」

「魔族っていうのはね。魔王に認められ、魔族と名乗ることを許された特別な魔物なの。私やあなたが女神に認められて、聖女や勇者と名乗ってるのと同じこと」


 メアリは、壊れたスロットマシンを見下ろし、声を落とした。


「……こいつらの力は、こんなものじゃないわ。こんなものじゃ……」


 そのとき、ピクッと魔族が動いた。


「……よく分かってるじゃねえか。そうさ。オレの力はこんなものじゃねえ」


 まだ立ち上がってくるのか。

 奴の体には、ガタが来ているというのに。


「教えてやろう。魔王様に認められた、このオレの能力を」


 オバケスロットは立ち上がると、右手をビシッと前に突き出した。


「へ――――んしん!」


 そうして、右のレバーをガチャリ。

 スロットが回転を始める。


 やがて、回転が止まり、三つの絵柄が顔を出す。

 絵柄は……ナイト、ナイト、ナイト。


 と同時に、奴の体を闇が覆い尽くした。

 ガシャッ、ガシャッと、中から音が響く。


 何をするつもりだ。


「モードチェンジ!」


 ≪モードチェンジ≫

 難度 ★×8

 属性  闇

 使用回数 ∞

 成功率 100%

 説明 出揃った絵柄により、姿と能力が変化する。


 私の目の前に、何かが降り立った。


「こいつは……」


 騎士だ。銀色の甲冑を纏った騎士。

 右手には身の丈ほどの槍。左手には盾。


「ナイトモード」


 騎士は立ち上がり、私に槍を向けた。


「さあ、始めようか。勇者ステラ。ここからが、本当の戦いだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ