第58話 赤と緑➁
現在のメンバーは……。
メインメンバー:レッド グリーン
控え :ステラ ブルー ブラック ピンク
浮島ステージ。
上空にいる黄色い鳥が、翼をはためかせ、大きく鳴いた。
「クエ――――ッ!」
クエー鳥は、攻撃をしかけてくるようだ。
≪羽根とばし≫
難度 ★★★
属性 無
使用回数 25/25
成功率 100%
説明 羽根を針のようにして、相手に飛ばす。
ビュッ! ビュッ! 翼を動かし、羽根を撃ちだしてきた。
そのスピードは速い。まるで、ボウガンのようである。
「……うおおっ!」
さっと体を逸らして、レッドは羽根を避ける。
ザクッ! ザクッ! と地面に刺さる。
「気のせいか? こいつ、あたしだけ狙ってるように見えるんだが」
それはあなたが剣を構えて素振りをしていたからだ。
目立っていて、危なそうな奴ほどヘイトが溜まる。
つまり、狙われやすくなる。
普段はブラックがいるから、気づきにくいだろうが。
盾職の次に狙われやすいのは、あなただぞ。
「クエ――――ッ!」
撃ちだしてくる羽根を、次は剣で弾いた。
キィン! キィン! まるで金属のような硬度である。
「今度は、こっちから行くぜ……はあああああっ!」
レッドは走って、クエー鳥の真下まで移動すると。
その場で背を屈めて、両足に力を溜める。
「ジャンプ!」
スキルを発動。上空へ高く飛び上がった。
「だああああっ! 喰らええええっ!」
そのまま、剣を振り上げる。
しかし――。
「クエ――――ッ!」
クエー鳥は翼を動かし、更に高度を上げる。
レッドの攻撃は……届かない。
「うがああああっ!」
手足をバタバタさせるが意味もなく。
スキルの効果が切れ、地面に落下する。
「ぎゃひっ!」
「むむー。よくもレッドをー」
グリーンが前に出た。
クエー鳥に狙いを定めて、弓を引く。
――キリリリリ……ヒュッ! ヒュッ!
矢が飛んでいく。
しかし――。
「クエ――――ッ!」
届かない。
途中で勢いを落として、シュルシュルと落下していく。
「ダメだ――。当たんなーい」
レッドもグリーンも攻撃が届いていない。
モンスターの高度が高すぎるのだ。
「クエ――――ッ!」
ビュッ! ビュッ! クエー鳥の攻撃。
さっきよりも、たくさんの羽根である。
「来るー。来るよー」
「うおおおおっ!」
二人して慌てふためき、右往左往している。
なんとか回避はできてるけど、大丈夫かな。
「どうしよー」
「このままじゃ、やられちまうぜ」
組み合わせ、ミスったかな。
レッドとグリーンは、まずかったかも。
「あっ、そうだー」
「なんだ。どうした?」
「私に任せてー」
グリーンが何か思いついたらしい。
両手を横に突き出し、声を張り上げた。
「ハリケーン!」
ビュウウウウウウゥッ! 突風が吹き荒れた。
「……うお……お……」
レッドが、ズルズルと地面に引きずられて行く。
この突風、きついのだ。私もよく飛ばされそうになる。
「……クエ――ッ……クエッ!」
モンスターも飛ばされかかっている。
――ズズ、ズズズズ……
スキルの『ハリケーン』にはノックバック効果がある。
そのため、クエー鳥はどんどん後ろに追いやられていくのだ。
とはいえ、これだけでは、まったくダメージは入らない。
ただ、遠ざかって行くだけだ。
「……おい。どうすんだ」
「……えっへへー」
グリーンが笑っている。
そのとき――。
バチ――ン! 酷い音がした。
クエー鳥が、何か固いものにぶつかったのだ。
「クエ?」
わけも分からないと言った様子で、首をかしげている。
「なるほどー」
案内係が、唸るように声を出した。
「見えない壁にぶつけたんですね。ステージのギミックを使いこなすとは、やりますね」
そんなことまで、考えてたのかな。
「そうだったんだー」
ほら。彼女、分かってないぞ。
ビュウウウウウッ! 風は強まっていく。
モンスターは風と壁の間に挟まれ、メキメキと音がしている。
逃げようにも、このステージはドーム状に見えない壁が張られているのだ。
どうしようもない。
メキメキッ! そのうち、ペチャンコになりそうだ。グリーンやりすぎ。
「クエ――――ッ!」
高度が下がってきた。
「ようし! 下がったな……」
レッドはしゃがみ、足に力を込める。
「ジャンプ!」
見えない壁に飛び、そこから更に……。
「ジャンプ!」
壁を蹴って、二段ジャンプ。
鳥の頭を超えることに成功。
ここまで来れば、彼女の間合いだ。
「はああああっ! 炎月斬り!」
炎を纏った刃が、モンスターの首を切断。
「……クエ……エ」
クエー鳥の討伐、達成である。
☆
続いてのメンバー……。
メインメンバー: ブルー ピンク
控え : ステラ レッド グリーン ブラック
ブルーから水晶玉を借りた。
私は映像を見ている。
ちなみに、何も心配していない。
だって、ブルーだし。ピンクもいるし。
赤緑コンビよりは、遥かに信頼できる。
次は『海』の間。
目の前には、海岸が広がっている。
「やはり、水辺のようですね」
「うん。でも、何もいないよ」
ピンクはキョロキョロと周りを見るが、たしかに何もいない。
「前には海があるし、魚のモンスターかな」
それだと、ピンクは遠距離攻撃がない。
彼女はそれを心配している。
「そうですね。とりあえず。ピンクさんはバフをお願いできますか」
「うん。マジックアップ。マジックアップ」
久々の説明だが、ピンクの職業『踊り子』には変わった特性がある。
それは能力アップを重ね掛けできるというもの。
したがって、彼女は一度に二回のバフをかけられる。
バフ一回分で、能力50%アップ。二回で100%アップ。つまり、二倍。
実際には複雑な計算がいるようだが……。
「どこから、来るのかな」
「そう、不安がらないでください。大人しく、待っていましょう」
すると、砂浜からムクムクと何かが這い出てきた。
「……」
そいつは得物を持ち上げ、背後から襲いかかってきた。
「危ない!」
咄嗟に、ピンクが気づいたことで、二人ともかわせた。
「海から来なかったよう」
「バックアタックを狙っていたようですね」
案内係の説明が入る。
「アワガニラ。蟹のモンスターです」
でっかいハサミをチョキチョキして、泡を吹いている。
「カ――ニ――ッ!」
カニと鳴いている。もっと捻れ!
敵に先制は取られたが、今度はこちらからだ。
「私がやりましょう」
手をかざして、呪文を唱える。
「ウォーターカッター!」
水の刃が発生するが、
――カン!
カニにはノーダメージ。
「……変です」
「何が?」
ブルーは案内係に質問した。
「このモンスター、耐性がありませんか?」
「よく気づきましたね。アワガニラは水属性無効です」
「……やはり」
ブルーは頭を抱えている。
「……困りましたね」
「なになに? どうかしたの?」
「……えっと……私の主要魔法は水属性で固めてあるんです。そうしてる方が、習得しやすいから」
つまり、彼女の魔法では、カニにダメージを与えられないのだ。
……おい。それじゃあ、どうやってアワガニラを倒すんだ。




