表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/107

第51話 VSアイゴン①


 様子がおかしい。


 目玉の魔物『アイゴン』。

 私たちパーティーは、四人の力でそいつに手傷を負わせた。

 そして、あと一歩のところまで追いつめていた。


 最後はミリアでとどめ。そういう手はずだったのだが。


「キュルルルル」


 元気になってる!

 手傷なんかどこにもないし、ぴょんぴょんと跳ねまわっている。


「こちらに向かってきますね」


 ふわふわと湖を浮遊して、地面に降り立った。


 身構える私たち。

 しかし、目玉はその場を跳ねるだけで何もしてこない。


「よく分かんねーが、復活してるぞ」

「あと一歩だったのにね」


 本当だ。様子からして、やせ我慢しているという感じもしない。

 完全に全快していると言っていい。

 

 情報では、アイゴンにそんな能力はなかったはずだが……。


「ということは、考えられるのは……」


 ミリアか。彼女の『魔物活性化体質』が目玉に変化をもたらしたんだ。

 しかし、それならレベルアップもしてることになるけど……。


「ああ。もう面倒くせーな。いつまでじっと睨み合ってんだ」

 

 レッドはイライラしながら、剣を抜いた。


「あたしは行くぜ」

「待ってレッド。まだ、あいつの対策が……」

「バカか! 仕掛けなきゃ何も始まんねーだろうが!」


 レッドは飛び出した。

 正眼の構えで、モンスターに切りかかる。


「キュッキュ!」


 目玉は鳴くと、バリアを形成。

 赤い透明のバリアだ。物理攻撃を跳ね返すことができる。

 

「おまえの戦い方はもう割れてんだよ……とう!」


 レッドは直前でジャンプした。


「今だブルー! やれ!」

「はい……ウォーターカッター」


 水が刃状に変化。目玉に襲い掛かる。

 

「キュ……キュキュ」

「そのバリアじゃ、魔法を防げないだろ」


 バタバタして焦り出すが、避けられない。

 水の刃が、アイゴンに直撃する。


「キュウウウッ!」

「一丁上がりだぜ……ん?」


 予想外の事態。

 モンスターが倒れないのだ。


「変だな。体が切れてねぇ……それに、なんだ?」


 バチバチッ! アイゴンに電撃が走ると。

 

「体が紫色になって……いや、これは……」

「キュキュウウウ……」 

「……バリアか」


≪リフレクトオール≫

 難度  ★★★★★★

 属性  光

 使用回数 ∞

 成功率 100%

 説明 紫色のバリアを形成。物理・魔法を問わず、あらゆる攻撃を跳ね返す。

    反射ダメージ100%アップ。


「……まずい」


 私のところからでも分かる。

 アイゴンの体に凄まじいエネルギーが溜まって行くのだ。


 レッドは呆けている。

 もしも、あんな位置から反射ダメージを受けたりしたら……。


 エネルギーが一点に集中していく。

 レッドの顔を紫色の光が照らした。

 

「キュキュウ……」

「レッド!」


 反射が来る。

 私は前に踏み出して、叫んだ。


「……神速!」


 高速移動して、レッドの服を掴んだ。


「……おお」


 強引に引っ張って、彼女を転ばせる。

 紫色の光線が、レッドの体をかすめた。


 チリチリ! 服の一部が焦げる。

 おい、これ防具だぞ。熱には強いはずだぞ。


 それを焦がすって、どんな威力だ。


「ちょっと、ぼおっとしないでよ!」

「……すまねえ」


 でも、レッドが突っ込んでくれたおかげで、目玉の能力は判明した。

 物理は赤いバリア。魔法は青いバリア。


 先ほどまでは、二つのバリアを使い分けていた。

 そして、どちらか片方しか出せなかったのだ。  


 だが、≪リフレクトオール≫は紫のバリアで、物理と魔法の両方に対応している。


 これがアイゴンのレベルアップ。

 全ての攻撃を跳ね返せるってことか。


「どいてくれ。あたしが切る」

「無理よ。見たでしょ。凄い威力だったの」


 ブルーの魔法を、二倍の威力で跳ね返したのだ。

 レッドでも受けきるのはきつい。特攻は無理がある。


「じゃあ、どうすんだ?」

「うーん」


 まず、最初の対策として……。


「ピンク。バフだよ」

「ガードアップ! ガードアップ!」


 私たち全員に能力アップをかけてもらった。


「これで、どうなるんだ?」

「防御力を上げたから、反射ダメージを減らせる」

「ほへえ」


 でも、根本的な解決にはなってない。

 というか、攻撃しなきゃ反射は来ないし。


「やっぱ、攻めるしかなくねーか」

「そうだよね……って、ダメだよ! 反射が来ちゃう」

 

 あわあわ。私、考えろ。何か良い案は……。


「ステラさん。私に考えがあるのですが」

「おお。ブルー。何? 名案が浮かんだ?」

「えっと……」


 なるほど。良い案かも。採用。


 ☆


「≪シードローン≫!」


 ブルーの手のひらから、ドローンが出現。

 パタパタパタパタ! 空に飛び上がった。


「≪シードローン≫! ≪シードローン≫! ≪シードローン≫!」


 更に、二機、三機、四機、と、ドローンの数を増やしていく。

 

 パタパタパタパタ! 散らばって飛んでいき、目玉の怪物を取り囲んだ。


「バリアの大きさが変わってなかったんです」


 ブルーが説明する。


「あの大きさでは、180度までしかカバーできません」

「つまり、あいつには死角があるってこと?」

「死角と呼べるほどでもありません。頭上も背後も空いています。撃ち放題です」


 ふむ。それでは、やってもらうとしよう。


 ブルーが操縦することで、四機のドローンを自在に動かすことができる。

 ドローンはアイゴンを中心に円を描くように飛びまわっている。


「キュルキュルキュル……」


 アイゴンが目を回しそうになっている。目玉だけに。


「やります」

「うん。お願い」


 彼女はバッと手を振り、掛け声を出した。


「ショット!」


 ドローンの下部から銃口が出てきた。

 チュンチュン! 小気味良い音と共に、散弾が撃ち込まれる。


 四機は同時に攻撃。

 さらに散弾なので、ほとんど滅多撃ち状態。


 これでもか、というほど撃ち込みまくっている。

 ……ブルー。ストレスでも溜まってるのかな。


「……これでやれたはずです」


 シュウウウウ! 白い蒸気が上がっている。

 やがて、晴れていくと、そこには……。


「キュルルル」


 目玉がいた。ピンピンした様子だ。

 あれだけ散弾を受けたのに、まったく傷を負っていない。

 

 見ると、その表皮には紫の波紋が。


「キュルキュル!」


 散弾が紫色の光線になって、撃ち返された。


 パタパタパタパタ! 逃げきれない。

 ドローンたちが、反射ダメージの餌食に。


「ダメっぽいね」

「……はい」


 肩を落としてる。

 自信があったんだろうな。


 どうやら、≪リフレクションオール≫は盾というより鎧。

 全体を覆い尽くす膜のようなものらしい。


 それが分かっただけでも、十分だ。

 次に行こう。


 ☆


「……う……ウルトラアップ」


 ――ブックン!


 ぶくぶくピンクが、アイゴンを掴み上げ、ホールドをかけた。

 ミシミシ! 目玉が馬鹿力により、細長くなる。


 打撃じゃなければ反射されないのでは、と考えたのだが。


 ――バッシーン!


「きゃあああああっ!」


 ダメだったらしい。


「……ダメだ。対抗策が」


 私は思った。

 このまま、待ってればいいんじゃないか。


 どうせ、アイゴンは自分から攻撃してこない。

 待っていれば、日が暮れて夜になるのだ。


 そうすれば、相手も眠りにつき、その隙にグサリ!


 楽勝で討伐できるな。

 と、勇者にあるまじき考えが浮かんでいたのだが。


 どうやら、その考えは間違っていたようだ。


「キュルルルルル!」


 さっきと微妙に鳴き声が違う。

 

「……地面が揺れてるぞ」

「危険ですよ。みなさん、離れないように」


 そこで気づいた。


「……スキルか」


 反射だけではない。

 こいつはまだ能力を隠し持っていたのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ