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第50話 反射の魔物


 今回のメンバー……。


 メインメンバー:ステラ レッド ブルー ピンク (ミリア)

  控え    :グリーン ブラック


「前方三百メートル先。敵です」


 ブルーの声を聞き、私は前に出た。


「種類は?」

「トレント。樹木の姿をしたモンスターです」


 トレントか。

 状態異常のような絡み手は使ってこない。

 力で押してくるタイプだな。やりやすい。


「ピンク。ミリアに、バフを」

「スピードアップ! スピードアップ!」


 ミリアの体が桃色の光を帯びた。

 更に、『パワーアップ』と『ガードアップ』も二回ずつかけてもらう。


 これだけ能力アップしておけば、問題ないだろう。


「レッド」

「おう!」


 彼女は剣を抜き、意気揚々と構えた。


「斬るんだな。どいつだ。どいつをぶった斬ればいい!」

「いえ、あなたは……煙を出して」

「……おう!」


 沈んだ声を出すんじゃない。

 あなたの剣もすぐに必要になるから。


「狼煙断!」


 ボフっと灰色の煙が噴き上がると、あたり一帯がモヤに包まれた。


 そんなに濃い煙ではない。

 これは敵の命中率を下げるためのものだ。


「前方数メートル先。魔物の影を確認」


 樹木のモンスターが、私の目にも見えた。

 隣のミリアに、指示を出す。


「落ち着いてやるんだよ。何かあっても、私たちがすぐに助けに行くからね」

「はい!」


 良い返事だ。

 それでは、行ってもらおう。


「……む、むむ」


 ミリアが力むと、刃が光り輝いた。


「はあああああっ!」


 勢いよく、切りかかる。


「キキ―!」


 トレントが鳴き、反応する。

 樹木なだけあって、ぬかるんだ地面でも足を取られたりしない。


 即座に、ミリアに攻撃を……。


 ――スカッ! スカッ!


 当たらないよ。

 さあ、ミリア。やってしまえ。


「ブレイブラッシュ!」


 スパン! 樹木の体が一刀両断。


「……キ……キキ」


 トレントは倒れた。


 ミリアが私の元へ駆け寄ってくる。


「どうでしたか?」


 おずおずとした様子で、私にたずねてくる。


「上出来。その調子だよ」


 すると、ミリアの表情が、ぱあっと明るくなった。


「はい!」


 その返事を聞いて、私は目頭が熱くなってくる。


 今までとは、まるで違う。

 子犬のように付き従ってくる彼女に、私は妙な戸惑いを覚えていた。


「……なんだこれ」


 この胸の内から、沸々とこみ上げてくる感情は。

 でも、ほろ苦くて、ちょっと甘酸っぱくて……。


「……はっ」


 これはまさか。ひょっとして……。


「……恋?」

「違うよ!」


 ピンクが速攻で否定した。


「恋じゃないから」

「マジで。違うの?」

「ミリアちゃんね。ステラちゃんのこと見直してたよ。自分が必死に攻撃してくるのに、全部かわされる。本当は凄い人なんだって」


 そうか。ミリアが私のことを……うぅ。ぐすん。


「それに丁寧に教えてくれるし、面倒見の人なんだって」


 そんなことまで……。


「あとは、あの変態っぽい視線だけ直してくれれば、完璧なのにって」

「……変態? どのあたりが」

「知らないよ。ミリアちゃんがそう言ってたの」


 でも、ミリアから好感を持たれてる。


「難しいことをしなくても、好感度アップできるんだよ」

「……そうなんだ」

「だから、部屋に入るのはやめてあげてね」

「……しないよ……」


 ……たぶん。


 というわけで、探索の続きをしよう。


 ☆


「500メートル先。発見しました」


 ブルーが≪シードローン≫を使って、上空から魔物の姿を捉えた。


「例のモンスターです」


 ついに、見つけたようだ。


「ブルー。映像を出してくれる?」

「はい。ここに」


 手のひら大の水晶を地面に置いた。

 みんなで集まり、それを見下ろす。


 映像は湖の上の様子だ。

 何かがプカプカと宙をさまよっている。


「こりゃなんだ。透明で丸いもんが」

「白い球体だけど。模様みたいなのがあるね」

「そこは瞳だよ。『アイゴン』って名前の目玉のモンスターなの」


 アイゴンは何をするでもなく、湖の上を行ったり来たりしている。

 

「こいつを倒せばいいんだろ」

「うん。でも、その前に……」


 このモンスターの能力について知っておきたい。

 少し試してみよう。


「ブルー。魔法を撃ってくれる?」


 彼女はコクと頷くと、ドローンの頭をモンスターに向けた。

 下部から銃口が出てくる。


 ブルーは手を振り、合図を送る。


「ショット!」


 掛け声とともに、魔法が発射。

 チュンチュン! 散弾のようだ。目玉に撃ち込まれる。


「キュルルルッ!」


 目玉は鳴くと、何かを出した。


 青い半透明のバリア。

 そこそこ分厚く、散弾をカバーできるほどには広い。


 そして――。


「キュルルッ!」


 バッシーン!


 奇妙な効果音とともに、散弾を跳ね返した。


 パタパタパタパタ! ドローンは旋回し、なんとか避けようとする。

 だが、跳弾は速く、避けきれない。


 ドローンに命中し、機体が揺れ動く。

 そこで、映像がプツンと途切れた。


「おい! 壊れちまったぞ」

「問題ありません。ドローンは探査用。これが正しい使い方ですよ」


 ブルーは、すでに二台目を飛ばしているようだ。

 この娘、仕事が早いな。

 

 で、今のが、≪リフレクション≫だ。

 魔法を反射させる効果がある。


「今度は、魔物のところまで近づいてみるよ。ついてきて」


 というわけで、湖のそばまでやってきた。

 

「ドローンで威嚇しておきました。すぐにこちらまで向かってくるかと」

「よし。それじゃあ、地上まで来たら、レッドの出番だよ」

「ようやく、あたしか。待ってたぜ」


 待ち構えていると、アイゴンがやってきた。


「何をやればいいんだ」

「そのまま、切り伏せて」

「了解」


 レッドが目玉のところまで駆け出した。


「キュッキュルッ!」


 瞳がギョロっと動く。

 レッドは気にせず、剣を振り抜いた。


「りゃああっ!」


 キィン!


 金属がぶつかる音。


 見ると、刃の前には赤いバリアが……。

 レッドの剣をしっかりと受けきっていた。

 

「おりゃああっ」

「キュルルルッ!」


 バッシーン!


 バリアは剣を跳ね返し。

 レッドは数メートルほど吹っ飛ばされる。


「ぐおおおおっ!」


 そのまま、木に叩きつけられる。

 あっ、もちろん、彼女は大丈夫だ。タフなので。


「今度は物理攻撃を……。これ、大丈夫なんですか?」

「はははっ」


 ビビらせすぎたか。


 バリアを作る。

 単純に考えれば、脅威に感じるだろう。

 自分の攻撃が跳ね返されてしまうのだから。


 しかし、このモンスター、実は明確な弱点が存在するのだ。


「バリアは一枚ずつしか出せない?」

「そう。赤いバリア。青いバリア。どちらか片方しか出せないの」

「それは、どういう……」

「つまりね。どちらか片方しか受けられないんだよ」


 そう、これがアイゴンの弱点。

 物理と魔法。両方の攻撃をされたら、対処ができないのだ。


「だから、今日はレッドちゃんとブルーちゃんがいるんだ」

「はい。それとアイゴンは自分から攻撃をしない。したがって、ブラックさんも外れました」


 その通り。私たちのパーティーには、剣士も魔法使いもいる。

 なので、はっきり言うと、楽勝なモンスター。


 つまり、女神様の用意してくれたボーナスクエスト。

 ほんと、ローザ様。最高! 大好き!


「じゃあ、クリアできるんですね」

「そうだよミリア。あなたは勇者のままでいいの」

「……やった」


 じゃあ、さっさとやっちゃうとするか。

 やれやれ。攻略法の分かったゲームほど、つまらないものはないね。


「レッド。ブルー。準備はいい?」

「おう!」

「はい!」


 二人は、それぞれ右と左に立った。

 そして、同時に攻撃。


「炎月斬り!」

「ウォーターカッター!」


 混乱したのか、赤青どちらのバリアも出せていない。

 両方の攻撃を喰らってしまう。


「キュキュルウウウウッ!」


 大ダメージ!

 これで、相手はバリアを出すこともできない。


「最後はミリア。あなたが決めてね」

「はい」


 ミリアが剣の光を注ぎ込んだ。

 刃が光を帯びて、輝いていく。


「はああああっ! ブレイブラッシュ!」

「キュッキュル!」


 目玉の一部が切れ、そこから血が流れた。

 だが、まだ浅い。


「……くっ」

「力が入りすぎだよ! 練習通りに!」

「はいっ!」


 もう一度。


「ブレイブ――」

「キュウウウ!」

「おい。逃げ出すぞ」


 私たちに囲まれてるんだ。

 どこに逃げるつもりだ。


「キュキュルル……」


 アイゴンは、後ろにあった湖に落ちた。

 ボチャン! そのまま、沈んでしまう。


「……そんな」

「大丈夫? すぐに浮かんでくるから」


 でも、予想よりも浮上が遅い。


 それに、なんだ。

 この悪寒は……。


「ねえ。ステラちゃん。あそこ見て。水面が光ってる」


 さらに、そこから、何かが浮かび上がろうとしている。


 あれは……目玉か。

 しかし、様子がおかしい。

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