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第49話 探索開始


 ミリアは岩の前で、剣を構えた。


「……ふう」


 軽く、一息。

 それから、キッと睨みつけると、


「はあああああっ!」


 気合を入れて、スキルを発動。


「≪ブレイブラッシュ≫!」


≪ブレイブラッシュ≫

 難度  ★★★

 属性  無

 使用回数 25/25

 成功率 100%

 説明 安定してダメージを稼げる勇者の主力技。


 目の前の岩を一刀両断する。


  スパン! 


 大した力も要らず、大型モンスターにもそれなりのダメージを入れられる。

 私もよく使う勇者必携のスキルである。


「どうですか?」


 と、不安そうに私を見る。


「よくできてたよ。でも……」


 ブレイブラッシュは、実は無属性のスキル。

 今のでは、及第点はあげられない。


「ミリア。光属性を付加しよう。貸してみて」


 彼女から剣を借りると、上へ振り上げる。


「刃をよく見ててね」


 と、慣れた手つきで、剣に光を注ぎ込む。


 刃の根本が光り出し、ニュルニュルと蛇のように先端まで移動していく。

 そして、気づけば、光り輝く剣の完成である。


「これが光属性の付加ね。分かった?」

「はい」


 シュンと、刃から光がなくなった。


「勇者は光の使徒と呼ばれるほど、光に精通していた。光属性のスペシャリストだったの。属性付加もできないようじゃ、勇者とは呼べないね」


 と、ちょっとだけ、ミリアを煽ってみる。

 彼女は剣を返してもらうと、柄を握りしめ、ムムっと唸った。


 すると、刃の根本が光り出すが……。

 シュン! すぐに消えてしまう。


「……な、なんで」

「ははっ。慣れないうちはね。最初はみんな、そんなものだよ」


 でも、大切な技術である。


 魔物というのは、光属性に弱いものが多いのだ。

 ドラギドのような物理無効の相手にも、これで効くようになる。


「練習しておいてね」

「はい」


 ミリアは何か言いたそうにしている。


「ステラさん」

「なに?」

「≪マックスブレイブ≫は」

「教えるよ。これが終わったあとね」

「はい」


 ミリアは、気に入ってしまったようだが。

 あのスキルはデメリットが大きい上級者向けのスキルだ。


 一応、教えるが、基本は安定感のある≪ブレイブラッシュ≫を使わせればいいだろう。

 クエストの条件は『勇者の技』だから、なんでもいいわけだし。


 ☆


 今回のメンバー……。


 メインメンバー:ステラ レッド ブルー ピンク (ミリア)

  控え    :グリーン ブラック


「グリーンさんには、お休みしてもらいました。目的は決まっていますし、不意打ちの危険もないと判断しました」


 まあ、彼女は竹林あたりから出ずっぱりだったし、これは妥当な判断。


「ブラックさんも外しました。理由は、標的である魔物の性質に関係しています。あとで、説明します」


 メンバーは決まった。

 というわけで、出発。


 アルムスの町を出て、西に半日ほど。

 鬱蒼うっそうと生い茂る森。

 そこが今回の舞台となるダンジョンである。


「……グリーンはいなくてよかったのかよ」


 レッドは遠くを見ながら、眉をひそめる。


 樹木が太陽を覆い隠し、森の中は全体的に薄暗い。

 霧が深く、土も湿っていて、ジメジメしている。


「感知なら、私もできるよ」

「おまえのは、なんか不安だ」


 リーダーなのに、信用ないな。

 私の耳があれば、こうババっと敵の位置なんかが分かるのに。


「ちょっといいですか?」


 ブルーが話しかけてきた。

 そう言えば、転職の神殿に居残ってたな。


『用事がある』とか言って。

 何をしていたんだろう。


「新しい魔法を覚えてきたんです」

「ほんと?」

「はい。ドラギド戦ではずいぶんと手こずってしまったので」


 彼女は自分が足を引っ張ってたんじゃないかと気にしているようだ。

 普通に活躍していたけどね。


「やってみせて」

「はい。≪シードローン≫」


 ≪シードローン≫

 難度  ★★★★★

 属性  水

 使用回数 6/6

 成功率 100%

 説明 ドローン(無人航空機)を空に飛ばす。遠隔操縦が可能。攻撃魔法も撃てる。


 彼女の手のひらから、ドローンが出現。

 空へと飛び立った。


 パタパタパタパタ! プロペラが回っている。

 群青色で、角ばったフォルム。


「ほへえ……」


 固定砲台。チャージ砲。そして、次は無人航空機か。

 こんなのばっかりだな。彼女の趣味なんだろうか。


「グリーンさんの感知はたしかに強力ですが、これからは更に強力な魔物とも戦っていくことになるはずです」


 ドラギドは感知をすかしていた。

 あれ以上の魔物なら、当然すかしてくるだろう。


「そこで、シードローンを使います。あれが見たものはここに映し出せます」


 彼女は水晶玉を取り出した。

 どれどれ……。


「おお。私が映ってる。レッドもピンクも」


 思ったよりも鮮明な映像だ。

 何をしてるかもよく分かる。


「上空から探査が可能なのです」


 なるほど。これは凄い。

 ダンジョン探索にも応用が効きそうだ。入れないところを調べたり。


「前方に魔物がいないか、先に探査しておきますね」

「よろしく」


 パタパタパタパタ! 飛んでいく。当たり前だけど。


「俺たちも行こうぜ」

「うん」


 念には念を入れて、地図もチェック。

 このまま、まっすぐで問題ないようだ。


「おいおい。ほんとジメジメしてんな。ナメクジもいるぜ」

「地面もぬかるんでるよ。服が汚れちゃう」


 固いところを選んで歩くんだよ。根が張ってるところとかさ。

 君ら、それでも冒険者か?


「……あとは、ミリアか」


 今日のクエストは、女神様からの指定があるのだ。

 まずは彼女を活躍させないことには、何も始まらない。


「さて、ミリアは……」


 どこに行った?

 そうか。また、ピンクにベタベタしてるんだな。

 ミリアはピンクのことが大好きだからな。


「いや、いないな」


 じゃあ、どこに。

 キョロキョロしてみるけど、見当たらないぞ。


「何を探してるんですか?」

「何って、そりゃあ、ミリアを……って、え?」


 バ、バカな! いったい、どうなってる!?

 なんで、彼女が私にくっ付いているんだ。


「ぬかるみに足を取られないように」


 普通に答えてるけど、おかしい。

 今まで、ミリアは私から一メートルは離れて歩いていたのだ。


 それが今日は……密着している。


「……ミリア。近すぎない?」

「いけませんか?」


 いや、いいけど。最高だけど。

 

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