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43/107

43 古城ダンジョン


 現在のメンバー……。


 メインメンバー:ステラ ブルー グリーン ブラック

   控え   :レッド ピンク (ミリア)


「本当にありましたね」


 お城だ。

 大昔、この地域は伯爵の所領であり、戦時中の要塞として建てられたという話だが。

 今でもほとんど変わらない形で残されている。


 しかし空は曇っており、日中でも薄暗い。

 付近の森からは白いモヤがかかり、瘴気であふれている。

 間違いなく、魔物が棲みついているだろう。


「ダンジョンと同じだよ。みんな注意してね」

「はい」

「わかったー」

「……ん……」


 霧の深い森を抜けて、城の前までやってきた。

 門は壊れており、庭では雑草が乱雑に生えている。


「あれは……」

「ガルルッ!」


 犬が放し飼いにされている。

 通常のものよりも大きく、体つきがより戦闘向きのものになっている。

 城の番犬として、使役されたものだろうか。


「ガウウウッ」

「ブレイブラッシュ!」

「……キャウン」


 スキルで一撃。

 凶暴そうではあったが、たいしたことはないな。


「わざわざやる必要はあるんですか?」

「だって、鳴かれると面倒だし」


 それに吸血鬼の使役するモンスターは、噛まれると厄介なのだ。

 いろんな状態異常を引き起こすこともある。


 できるだけ、きっちり処理していく。

 ギィッと扉を開けて、城の中へと侵入する。


「暗いよー」

「待って。今、ブルーが」

「ブライト!」


 魔法を使用。

 光が灯って、一気に明るくなった。

 入ってすぐ、お城の玄関ルームである。


「……」


 さっそくお出迎えか。

 黒いマントを羽織った紳士のような出で立ち。


「我が城へようこそ」


 ドラギドが二階の踊り場から、ゆっくりと降りてきた。


「おまえたちの目的については、おおよその検討は付いている。さらわれた者の解放、あるいは――」


 こちらを見つめて、笑みをこぼした。


「私の心臓を手に入れるつもりだな」

「……」


 バ、バレてる!

 気づかれちゃってる!


「私を切り刻んだとき、妙な反応をしていたからな。おまえなら、そこまで行きつくと思っていた」


 謎の信頼感!


 しかし、まずい。

 自分の弱点を知られたのだ。この男なら当然、対処はしてくるはず。


「心臓は厳重に保管させてもらった。見つけることはできても、手に入れることはできまい」


 やっぱり。

 これで、捜索が大変になった。


「念のために、おまえたちはここで始末させてもらおう。我が城を漁られるのは、気分が悪いのでな」


 そう言うと飛び上がり、私の手前で着地した。


「……ブラッドスキン!」


 右腕が血液のように赤くなる。

 ぐにゃあっと曲がると、かぎ爪へと変化する。


 キィン!


 寸前で剣を抜いて、ガード。

 ぐにゃり。右腕は更に変化し、爪が伸びてくる。


 私が首だけで避けると、後ろの壁に穴が開く。


「……」


 今度は左腕か。

 巨大なハンマーに変化すると、頭上に振り上げた。


「はああああっ!」


「神速!」


 スキルを使って、避ける。

 ハンマーは地を砕き、床にはクレーター上のくぼみができた。


「……ふん!」


 さらに、追撃をしかけようと距離を詰める。

 右腕を剣に変え、振り抜いてきた。


「ブレイブラッシュ!」


 キィン!


 攻撃をはじいた。 


「……もう」


 前より、なりふり構わなくなってる。

 これじゃあ、逃げられない。


 早く心臓を探さないといけないのに……。


「はああああ……な」


 ドラギドの顔色が変わると、右横に目を向けた。


「……ん……」


 ブラックが盾を構えて突進してきたのだ。


「……ちっ。また、おまえか」


 マントを翻し、ひらりと身をかわした。


 前は避けようともしなかったのに、今度はきっちりと回避している。


 スタンにかけられたことが、記憶に残ってるのだろう。

 あのときは、完全に意表を突かれたようだったから。


「……ん……」

「しつこい奴め……」


 そうか。それが分かってるから、ブラックは盾で突進を繰り返しているのだ。


 この突進は、ドラギドに恐怖を植え付けた。

 そして、ブラックはそれを利用しているわけだ。


「……ブラッドスキン!」


 キィン! キィン!


 もちろん、盾職の彼女には、防御することは簡単だ。

 両手の武器からの攻撃を、きっちりと捌いている。


「……ん……」


 更に突進を続ける。呆れるぐらい何度も。何度も。


「ああ! もうこいつはなんなのだ!」


 ドラギドは苛立ち、攻撃が単調になってきている。


「……ん……」

「ブラック。ここは任せろって?」


 彼女はコクコクと頷いた。


「行きましょう」

「うん」


 私たちはブラックを残し、先に進むことにした。


 ☆


「モンスターが迫ってきてるよ~」


 一階を探索中。廊下を歩いていると、グリーンが反応した。

 鎧を着たゴブリンの群れが襲いかかってきたのだ。


「私がやります。≪シーキャノン≫」


 床がせり上がり、砲台が出現。

 ガシュッ! ゴブリンの頭を吹き飛ばした。更に、ガシュッ! 続いて、足を。


 この魔法は固定砲台。

 動かすことはできないが、襲ってくるモンスターを自動で撃ってくれる。


 更に、わずかだが『挑発』の機能もあり、敵を引き付けることもできる。


「魔物が増えてきてますね」


 この城にいる魔物は、ドラギドが使役したものだ。

 魔物たちは、彼の命令に従い、忠実に動いている。


「となれば……」


 ドラギドは、きっと『心臓を守れ!』と命令しているはずだ。

 そこまで難しい命令はできないだろうし。


「魔物の行動から、心臓の位置を予測する、ということですか」

「うん。他にも、数の多い部屋とかは怪しい。それだけ、人員を割いてるってことだから」


 また、グリーンに無理させることになるが、各階のモンスター分布を作ってもらう。


「ムムー! ムムムー!」

「どんな感じ?」

「東側の通路の奥かなー。あと、北側のホール。それから、西側の……」


 わりとばらけてるな。


「絞れませんね」

「さすがに、ドラギドも予想してるか」


 魔物の量で絞れないなら、次は質だ。


「レベルの高い魔物を探して」

「やってみるー」


 また、グリーンがムムっと唸った。


「一番、敵が強いのは、西側の倉庫ー」


 倉庫か。

 さっきの敵の数が多い部屋でもあがってたし、間違いないな。


「じゃあ、倉庫へ出発だ!」

「おーう!」


 というわけで、やってきた。


「宝物庫ですね」

「うん」


 大切なものを保管するところだ。

 思ったより、そのまんまだった。


「ゲギャ! ゲギャ!」


 城で一番強いゴブリンが襲いかかってきた。


「アローレイン!」

「ゲギャ――――ッ!」


 矢の雨で、ハチの巣にした。


「宝箱がいくつもありますが」

「そうだね」


 これらを全て探していたら、日が暮れそうだ。


「あー。ステラー。見てみてー」

「なに? 何かいいものあった?」


 グリーンが教えてくれた宝箱を見た。


「怪しいよー」

「どれどれ……」


 うん。たしかに、怪しい。

 宝箱には数十個の錠前が付いており、鎖でぐるぐるに巻かれている。


 なんというか、『大切なものが入ってますよ』と教えてくれている。

 いや、厳重に保管したとは言っていた。言っていたけども。


「相手を欺くためのトラップでしょうか」

「そうだといいんだけどね」


 開けてみよう。


「レベルの高い錠前ですよ。しかも、何十個も付いてますが。開けられますか?」

「もう、ブルー。私を誰だと思ってるの?」


 このステラ・レイラントに開けられない宝箱なんてない。


 たとえ、神だろうと悪魔だろうと――。


「その幻想をぶっ壊す!」


 ――カチッ!


「……ふう。開いた」


 ジャスト三分。良い夢みちゃったぜ!


「あの、ステラさんって、勇者ですよね」

「そうだけど」

「いえ。分かってるなら、いいんですが」


 さて、中身を拝見しよう。


「鎖をほどいて、蓋を開けると……」


 そこには、心臓が入っていた。


「どうしよう。普通に心臓だった」


 でも、大昔は『大切なものは宝箱にしまう』という習わしがあった、と聞いたことがある。


 年老いたおじいちゃんは、自分の財産を宝箱にしまうことが多くて、泥棒に遭いやすい。

 悲しい話だ。私も気をつけよう。


「さて、それじゃあ……」


 そのときだった――。


 ガッシャーン! と激しい音が響き。


「ステラさん」

「……」


 そばの壁が、血のように赤くなると、ぐにゃっと曲がって行く。


「……まったく、面倒なヤツだった」

「ブラック!」


 登場してきたドラギドは、ブラックの首を掴んでいる。


「……ふん!」


 こちらに投げてきた彼女をキャッチ。


「大丈夫?」

「……ん……」


 よかった。大したケガはないようだ。


「それは私の心臓だ。返してもらおうか」


 ドラギドが指をクイっとさせると、心臓が浮かび上がり、彼の元へと飛んでいく。


「仕方ない。これはやりたくなかったのだが……」


 彼は上着のボタンを引きちぎると、両手で胸元を開き……。


 そこには、暗闇――何もない真っ黒な空間が広がっていた。


 心臓はその暗闇の中に呑み込まれていく。

 いったい、何をするつもりだ。


「おまえたち四人に、特別に見せてやる。この私、ドラギドの真の姿を――」


 すると、彼の目が赤く発光し、その口から牙が剥き出しになる。


「お、おごごご!」


 服が割け、大きく膨らんでいく。

 もがくように、胸をむしりながら、悲痛な声を上げ。


「ごご、ごががが……」


 やがて、その身体が人のものではなくなり。


 そして――。


「……なに……あれ」


 彼は真の姿に、変身を遂げようとしていた。




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