表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/107

25 竹林ダンジョン➁


 現在のメンバー……。


 メインメンバー:ステラ レッド ブルー グリーン ブラック ピンク

  控え    :なし



 只今、私たちは竹林のダンジョンを散策中。

 目指すは、タケノコが密集しているエリアである。


「……ちっ」


 先頭を歩くレッドが舌打ちをした。

 前方には竹が密集し、壁のように立ちはだかっている。


「おい。また行き止まりだぜ」

「地図通りに、道が繋がってませんね。引き返しましょう」

「これ何度目だよ」

 

 森や竹林のような植物ダンジョンはこういうことが多い。

 植物が生えてきて、道を塞いでしまうのだ。


 レッドは剣を抜いた。


「面倒だから、壁を壊そーぜ」

「植物に炎系の技を使うと、辺りに燃え移ってしまうかもしれません」

「なあにぃっ!」


 レッドは剣を収めると、手を振り回した。


「じゃあ、どうしろっていうんだよっ!」

「いえ。ですから、ここは大人しく引き返して……」

「ああー。みんなー。ちょっと待ってー……ムムー! ムムー!」


 グリーンが壁に手を触れて、唸る。

 なにか感知したのか、明後日の方向を指し示した。


「来るよー」


 私たちの背後から、ぞろぞろとモンスターが迫ってくる。

 数は二十ほど。だいたい猫ほどの大きさで、黒ずんだ緑色をしている。


 シャキーン! シャキーン!

 両手の鎌を擦り合わせ、口をもごもごさせている。


「グランマンティス。カマキリ型のモンスターですね」

「うぅ。私、ちょっと苦手かも」


 ピンクが私の背中に隠れた。

 うん。たしかに、カマキリって、イメージ的に気持ち悪い。


「あたしがやる。歩いてばかりで、飽きてきたところだったんだ」


 しかし、いきなり二十は多すぎである。

 普通に考えれば、近くにモンスターの巣でもあるのかもしれない。


 この位置では、私たちに逃げ場がないので、それも不安要素だ。

 念のため、戦う場所を変えておくことにする。


 ブルーが地面に手を付いて、呪文を唱えた。


「ダイダルウェーブ!」


 地面から、大きな波が発生し、カマキリたちに襲い掛かった。

 数が多く、一本道であったので、魔物たちには逃げ場がない。

 

 波は彼らを呑み込み、一気に奥まで流れていった。


「追いかけましょう。レッドさんは追撃をお願いします」

「おう」


 私たちはカマキリたちが流れていった奥まで向かう。

 念のため、グリーンには感知をしてもらい、慎重に進んでいく。




 カマキリたちが、道の端に転がっている。

 ピクピクッと体を動かすが、起き上がることはできない。


「やりすぎましたね」


 ブルーの魔法は強いからな。レッドの追撃は不要だったようだ。


「また、来るよー」


 みんなが、グリーンの指す方向に注目する。


 奥の道から、何かが走ってくる。

 あれは……。


「ミリア!?」


 血にまみれた右手をもう片方の手でかばっており、服もボロボロだ。

 彼女は何度も竹の根につまずきながらも、必死の形相で逃げている。


 後ろから、脅威が迫っているからだ。

 それは、ブゥウウン! と羽音を響かせ、巨大な鎌を縦横無尽に振りかざしている。


 グランマンティス。

 しかし、その大きさは先ほど見たものの比ではなく、その威圧感から竹林ダンジョンのボス格かと思われる。


 とにかく、ミリアが危険だ。まずは彼女をモンスターから引き離さないと。


「影縫いー!」


 キリリリリ……シュッ! シュッ!


 影に矢が刺さると、グランマンティスの動きがピタリと止まった。

 今のうちに助けに行こう。ピンクにスピードアップをかけてもらい、私は前に飛び出した。


 ミシミシと強引に剥がそうとしているが、その程度の力では『影縫い』のスキルは破れない。

 崩れそうになっているミリアの身体を抱きとめると、彼女に声をかけた。


「大丈夫? しっかりして」

「……」


 必死に走ったせいか声が出せなくなってるけど、意識はある。

 早く治療してあげよう。回復魔法のヒールを使って。


「……ん! んん!」

「こら。暴れないでよ。治療できないでしょ」


 手足をバタバタさせるから、上手に魔法が使えない。


「後ろに何かあるの?」

「んん!」

 

 振り向いてみると、グランマンティスが威嚇するような声を上げた。 

 

「シャアアアアッ!」


 そして、右手の鎌を横なぎに払おうとしている。


 彼女が暴れてた理由もよく分かる。

 このままいくと私たちは鎌によって身体を切断されていた。


 しかし、グランマンティスは影縫いで動けなかったはず。

 どうして、動けてるんだ?


 見ると、小さなカマキリたちが足元でうごめいている。


 その数は三十匹近く。

 そうか。奴らが影の矢を引き抜いたんだな。


 カキィン!


 盾を構えたブラックが、鎌を受け止めた。

 そして、その後ろでは、レッドが剣を構えている。


「よし! 防御はおまえ。攻撃はあたしだ」

「……ん……」


 カキィン! カキィン!


 鎌の二連撃を捌いた。そのタイミングで、レッドが動く。

 ブラックの肩を踏み台にして、モンスターの頭上まで飛び上がる。


「炎月斬り!」


 炎を纏った刃が伸びていく。

 ドサッと、鎌が地面に転がった。敵の右腕を根本から切断したのだ。


「シャアアアアッ!」


 痛がっているのか、悲鳴の混じった声を上げる。


 だが、すぐに切り替え、左の鎌で攻撃をしかける。

 空中にいるレッドを狙うつもりなのだろう。


「……ん……」


 ブラックは『挑発』を使って敵の攻撃を引き付けた。

 狙いを自分に変更させることに、成功する。


 カキィン!


 そして、盾であっさりと捌く。


「たりゃああっ」


 すかさず、レッドが敵の背中を切りつける。


 というか、息ぴったりだな。私が指示しなくても、しっかり連携できてるぞ。

 隠れて、予行練習でもしていたのか?


「アローレイン!」


 足元にいる小さなカマキリたちは、グリーンが撃ち落としていく。雨のように降らせるだけの大味な技だけど、多数を倒したいときには便利だ。


 その際は、ピンクの『パワーアップ』をかけてもらい、威力を上げてもらっている。

 ブラックには『ガードアップ』、レッドには『スピードアップ』と『パワーアップ』を。


 さすがに、六人が全員揃っていれば、攻守において隙がないな。

 というより、私が戦う必要もない。


 グランマンティスは満身創痍だ。

 もうあと一、二発の攻撃で倒れてしまうだろう。


 その間に、私は自分の仕事をしないと。

 とりあえず、敵の攻撃が届かない脇まで移動して。


「……はあ……はあ」


 ミリアの息が乱れて、体中が熱を帯びている。

 この腕のケガが原因か。


 たぶん私たちが来る前にやられたんだろうけど、出血が酷いな。

 魔法で傷口を塞がないといけない。


 私の『ヒール』なら、治せるはずだ。

 もともと、回復魔法は光属性だから、勇者である私の得意な魔法。

 たぶん、この魔法だけなら、ブルーよりも得意なはずだ。 


「待っててね。今、治すから」


 私は彼女の腕に手をかざし、呪文を唱えた。

  

「ヒール!」


 すると、ミリアの腕が光に包まれ……。


「……うっ、あああああっ!」


 突然、もがき苦しみだした。

 胸を押さえて、発作のように体を丸めている。


「どういうこと?」


 今のは、回復魔法だ。

 人間にダメージを与えるような効果はないはず。


「……いや、違う」


 そうじゃない。このときになって、私は忘れていた。

 ギルドマスターから聞かされたミリアの秘密。


 魔物活性化体質。

 彼女の持つ体質が、なんらかの作用を及ぼしたんだ。


「……まさか」


 嫌な予感がして、私は顔を上げた。


 その先では、グランマンティスが、金色に輝いていた。


 

 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ